1.子どもあるある「今やろうと思ってたのに」
我が家には、マイペースで頑固な息子、りゅう君(当時小2)がいます。
そんなりゅう君との毎日は、こんなやり取りの連続・・・
- 好きなお肉ばかり食べてごはんが手つかず⇒「ちゃんとごはんも食べて!」
- 宿題の時間がきても始めない⇒「時計見て!もう時間だよ!」
- 登校ギリギリまで裸足⇒「靴下はきなさい!」
そんな時決まって返ってくるのは『今やろうと思ってたのに』
「言い訳しないで早くやりなさいー!」と言う私に、ご機嫌ナナメのりゅう君。
行動はどんどん遅くなり、「昨日も言ったでしょ?」「何回言わせるの~」「次はあれ、次はこれでしょ!」私の指示は増え、お世話が増え…。
「もう3年生になるし、そろそろ自立してほしいのに。私が言わないと動こうともしない」
そんな私が、「先に言ってしまうから、子どもが動かなくなる」という衝撃の事実を知ったのは、「発達科学コミュニケーション」を学んですぐのことでした。
2.子どもが遅いのではなく、母が早過ぎた
りゅう君は、小2の2学期にお友達と小さなトラブルがあり、学校の行き渋りがひどくなっていました。
学校に行きたくない、朝の準備も自分じゃできない、このままこの子はどうなってしまうんだろう。
漠然とした不安を抱える中、子育ての情報を検索していると、脳科学に基づいた親子のコミュニケーションで、子どもの力を伸ばすペアレントトレーニング「発達科学コミュニケーション」を発見。
その中でも「繊細な子のココロと脳を強くする親子のかかわり方」を専門に教えている、むらかみりりかさんが目にとまりました。
「どこにも行きたくないと言っていた子が挑戦できる子になった!」というりりかさん親子の成長ストーリーを知り、私たち親子もこうなりたい!という一心で学ぶことを決めました。
わが子を「繊細な子」と思ったことはなかったのですが、学ぶほどに『繊細な子の脳のしくみ』が、りゅう君の言動に現れていたと確信しました。
- 行きたくない!が多いのは、見通しが立たないことを脳が不安に感じているから
- 友達付き合いが苦手なのは、いろんな情報を脳で処理するのに時間がかかり、言いたいことが言えないから
- 外と家での様子にギャップがあるのは、繊細な子は安心の範囲が狭いから
りゅう君に当てはまることばかりで、これまでの心配が、繊細な心と脳を育てていく決心に変わっていきました。
特に大きな学びは、自分の脳で気づき、考え、行動する事を繰り返し経験していくことで、脳が育ち、挑戦出来るようになるということ。
私は、指示や指摘をすることで、行動を促しているつもりでしたが、実はこの先回りしてお世話することが、自立を遠ざけ、指示待ち人間になってしまう原因だったのです。
準備が出来たタイミングではなく、親が動いてほしいタイミングで指示が飛んでくる毎日に、「今やろうと思ってたのに」と言いたくなるのも当然のこと。
言い訳じゃなかったんだと気づかされました。
良かれと思ってやっていたことが、子どもの脳が育つ機会を奪っていたと知り衝撃を受けた私。
その日からもっとりゅう君の様子を観察してみることにしました。
3.大事なのは、子どもが「気づく」まで、母が「待つ」こと
とある朝、お着替えやランドセルの準備をするりゅう君。
全く靴下を履く気配がありません。
「もう!早く履いて!」と靴下を渡すのが、今までの私。
「今やろうと思ってたのに」と怒るのが、今までのりゅう君。
「言い訳ばっかりして!」と繰り返すのが、いつものパターンでした。
ここはぐっとこらえて待ってみると、出発ギリギリのランドセルを背負った状態で「靴下~靴下~」と、自分で取りに行き、靴下を履いているではありませんか!
これがりゅう君のタイミングなのか!
言い訳だと決めつけていた「今やろうと思ってたのに!」は、「自分のタイミングでやらせてよ!」というりゅう君の心の声だったのかもしれません。
自分で「気づく」ことさえできれば、その後は考えて行動することが出来る。
つまり、私が待てれば、息子は自立出来る!
これからは、りゅう君が自分で気づくまで待とうと決めました。
4.指示から「気づかせる声かけ」へシフトチェンジ!
また別の朝、一人でズボンを履くりゅう君。
(すぐハンカチ入れちゃってよ~忘れそう~)と思って見ていると、しばらくしてハンカチもティッシュもポケットに入れました。
待つことの大事さを痛感する日々でしたが、忙しい朝の時間、待ってばかりもいられません。
どうしても今やってほしい!というタイミングもありますよね?
そんな時は、「気づかせる」声掛けに変換するのがおススメです。
例えば、
- 水筒持ったの??⇒今日暑いね~たくさんお水飲もうね
- 歯磨きしなさい!⇒おかあさん歯磨きしてくるね
- 教科書入れたの?⇒あれ?まだやってない準備あったっけ?
「○○しなさい!」と言ってしまえば簡単なのですが、それでは子どもの脳は育たず、自立から遠ざかってしまいます。
私が頭をフル回転させて、気づかせる声掛けに変換していくと、りゅう君が言い訳のように言っていた「今やろうと思ったのに」は聞かなくなっていきました。
5.息子が自ら動くようになった!
りゅう君が3年生になった今、自分で着替えをし、歯を磨き、ランドセルの準備が出来るようになりました。
気づかせる声掛けすらしなくても、動けるようになったのです。
今もついつい「○○しなさい」と言いたくなる時がありますが、その時は「脳を育てるチャンス!」と思い、待つようにしています。
それが自立への近道だから。
これからも子どもの可能性を信じ、子どもの脳を育てる関わりを続けていこうと思います。
執筆者 かなうち りこ
発達科学コミュニケーション