1.姉を追うように不登校になった隠れ繊細な子
我が家には、繊細な三姉妹(当時、小5、小2、年中)がいます。この体験談は、超繊細な姉と妹に挟まれた、活発だけど隠れ繊細な次女(通称:ろーちゃん)の話です。
ろーちゃんは、友達と遊ぶのが大好きでコミュニケーション能力も高く、得意なことも多くて、活発な子。とても甘えん坊な一面もあります。
当時、集団生活での困りごととして思いつくのは、次のことでした。
・興味や意味がないことを我慢してやるのが苦手
・「何もせず待つ」のが大の苦手
・誰かが怒られているのが苦手
・正義感が強く、秩序を乱すお友達が苦手
・自分に向けられた負の感情への不安が強い
誰でも苦手なんじゃないかなと思うことばかりではあります。
人の気持ちには敏感で繊細で、ネガティブな記憶を溜めやすい、ろーちゃん。
1年生のときに6年生の不良集団に注意し目を付けられて嫌がらせをされたり、嫌なことを言ってくる子がいたり、2年生でクラスが荒れて担任の先生が学期途中で退職したりと、学校のイメージは徐々に悪くなっていました。

当時5年生で五月雨登校していた長女が9月半ばに完全不登校となったとき、
「どうしてこんなにも集団生活に参加することが難しいんだろう…」
「繊細な子だとはわかっているのでこんなに寄り添ってきたのに…」
「私の子育て間違ってるのかな…」
と母としての自信をなくしていました。
そんな11月のある朝、ろーちゃんからポツリと「学校に行きたくない。」という言葉が。
「姉妹揃って!?」と、どん底の気持ちになりました。
当時年中の三女も行き渋りを繰り返しながらなんとか通う日々。
感情が大爆発した私は、つい「ろーちゃんは行けるでしょ?どうして学校に行きたくないの?」とあからさまに嫌な顔をして聞いてしまいました。
「だって、家がいいもん。かぁかが好きだもん。」
と言われ、
「かぁかが好きなら普通に学校に行ってよ…」
とこどもの前で泣いてしまうという、最悪な状況に。
完全なNG対応です。
当時、自分でも「こんなこと言っちゃいけない」とわかっていたのに、姉妹揃っての不登校となりそうな気配がショックすぎて、本音を心の内に留めることができませんでした。
図工だけ、校外学習だけ、など、本人が「その時間だけなら行く」と決めた時間に登校する数日を送り、12月のマラソン大会への参加を最後に、2年生は一度も学校へ足を運ぶことはありませんでした。
先生の家庭訪問も完全拒否。
お友達が休日に遊ぼうと誘ってくれても、場所が校庭だと知ると「それなら行かない!!」というほど学校に嫌悪感を示していました。
「学校に行きたくない」とつぶやいたあのときの対応を間違わなければ、どっぷり不登校になることはなかったかもしれないと、今でも後悔しています。

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2.不登校中のYouTube見過ぎ
ろーちゃんが不登校となった当時、短時間ながらも在宅で仕事をしていました。
仕事中は通信教育を勧めたり、なるべく手を動かした活動を勧めたりしていましたが、ろーちゃんはしだいにYouTube見過ぎが気になる状態に。
最初は「学校を休んでYouTubeを見せてるなんて!YouTube見過ぎの生活でいいことなんて何もない!」と罪悪感を感じたり、視聴時間が気になったりしていました。
ところが、YouTubeで見た料理や工作を再現したり、マイクラの操作方法を調べて実践したりする様子を見て、YouTubeもあながち悪くないかもと思い、やりたいことにつながるならいいかなという気持ちに変わっていきました。
不登校の間、ろーちゃんが最もはまったのは料理でした。
「作ってみたい!自分もやってみたい!」で、ほぼ毎日料理を作るように。
最初は「一緒にやって」と言い、仕事とのやりくりに難しさを感じていましたが、しだいに道具の場所も覚え、レシピはYouTubeで研究し、3ヶ月経つ頃には自分でなんでもできるようになりました。
こどもがYouTube見過ぎになることを諸悪の根源のように敵視しがちですが、大事なのは付き合い方。
こどもの「知りたい」の興味のたねから「やりたい」の行動スイッチを押すのに利用すれば、YouTubeは敵ではなくなります。
ろーちゃんは、好きをどんどん極めていきました。

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3.脳は好きな活動が大好き
ろーちゃんが3年生に進級してからは、完全不登校だったろーちゃんと長女が姉妹揃って五月雨登校で復帰しましたが、初夏から長女が完全不登校かつひきこもりになり、家ですら元気をなくし、その後9月には三女まで不登園に。
三姉妹揃ってほぼ家にいるという状況に、
「受け入れるだけでいいの!?」
「他に自分にできることはないの!?」
「もっとラクに楽しく社会とつながることはできないんだろうか…」
と葛藤していたとき、お家で脳を育てる『発達科学コミュニケーション』(以下、発コミュ)で繊細な子の育て方を教えているむらかみりりかさんに出会います。
「繊細さはギフト」
「繊細さは心と脳を育てれば強みに変えられる」
我が家のこどもたちみんなが抱える繊細さ。「こどもたちの繊細さを強みに変えたい」という思いで、11月から学び始めました。

発コミュを学び、
「脳は好きなことが大好き」
「行動することで脳が成長する」
「嫌々やらせても脳は成長しない」
「得意を伸ばせば苦手も伸びる」
ということを知り、「これまでの対応は間違ってなかったんだ!」とホッとしました。
不登校中、徹底的に好きな料理ができるよう「それしないで!今しないで!」を飲み込み、「やりたい!」を邪魔しないよう、今まで以上に気をつけることに。
そして、まず注力したのは、始めに学んだ肯定の徹底で親子の愛着の土台を整えること。
親子の愛着の土台が整うと、自分に自信がつき行動する力が湧いてくると教わりました。
4.肯定の徹底で自信がついた
特に力を入れて実施した肯定は以下の4つです。
①なんでもないことを実況中継
寝て起きただけでも、生きていることの全てを肯定ポイントとみなし、「手を洗ってるね」「くつろいでるね」と実況中継しました。
②ママの気持ちを伝える肯定
「ご飯食べてくれて嬉しい」「助かる〜」「ありがとうって言ってくれてありがとう」の感謝の気持ちを伝えました。
また、こどもが最も喜ぶ「お母さんのところに生まれてくれてありがとう」を伝える回数を増やしました。
③あいさつの肯定
寝る前の「大好き」や起きてきて笑顔の「おはよう」のハグをかかさないようにし、目が合ったらニコッと微笑みかけたり頭をなでたりハグしたりしました。
④切り替えたときに肯定
喧嘩の後や、すねた後に気持ちを切り替えて帰ってきたら、「さぁ、おやつにしよっか」と言葉とセットでハグして肯定しました。
YouTube見過ぎについても、否定的な注目はせず、「何みてるの??おっ〇〇の研究してるんだね!それ気になるよね!」と、興味を示す関わりにしました。
もともと明るかったろーちゃんですが、肯定の徹底で自分にどんどん自信がつき、自己肯定感がついてきました。

5.こども料理先生に挑戦
学校には体育や図工など参加したい授業だけに行きつつ、市の教育支援センターやこどもの居場所でも活動しているろーちゃん。
ろーちゃんの良さを引き出していくには、安心してのびのび活動する場が複数あるといいなと思っていました。
そこで、「釣りをしてみたい!」というろーちゃんの願いを叶える目的も兼ねて、「大人はアップデート!こどもは世界一自由に夢を見られる場所」をコンセプトとした場が開催する釣りイベントに参加してみることに。
ろーちゃんは、出会った人に「私、料理好きでね!こんなの作ったんだよ!」と、自分の好きや得意を大アピール。
仲良くなった主宰の方が、「そんなに好きなら教えてほしいな~。私だけじゃなくて何人か集めてこども先生してみる?」と誘ってくださいました。
ろーちゃんは迷わず「やる!!やりたい!!!」ととびつきました。
どんな人数ならできそうか、どんな内容でやりたいか、自分で考えて、迎えた当日。
発コミュを始めて2週間たった頃でした。
気合の入った本気の目で、まさに職人顔。
はじめてのこども先生で予定よりも時間がかかったり、ハプニングや想定外のこともありましたが、逃げ出さずに気持ちがしぼむこともなく最後までやりきり、大成功。
参加者の方にも喜んでいただけ、主宰の方にはろーちゃんの真剣さに感動していただけ、とても貴重な体験となりました。
これまで、失敗してはめげずに何度も挑戦し続けてきた料理での成功体験や、お手伝いへの「ありがとう」、外の世界での得意の披露で、「自分はできる!」の自己効力感もついてきたろーちゃん。
その後も、アーティストとのコラボスイーツを作成して披露したり、マルシェに出店し自作スイーツを販売したりと、応援してくれる大人の力を借りながら「やりたい!」をどんどん叶えています。
YouTube見過ぎのわが子を心配のまなざしだけで見つめつづけていたら、こんな楽しいことにはつながらなかっただろうなと思います。

6.自分の夢に向かって好きを追い続けてほしい
自分に自信をなくし、学校に行っていない自分を責める時期もあったろーちゃん。
今は、学校には参加したい活動だけ参加する自分を否定しておらず、自分がいきいきしていられる複数の居場所で楽しく活動しています。
ろーちゃんの夢は、甘いものも辛いものもなんでも出せる自分のお店を持つこと。
魚さばきを学んだり、こども食堂の作り手ボランティアに参加したり、マルシェで自作スイーツを販売したり、やりたいことにどんどん挑戦しています。
YouTube見過ぎでもYouTubeを敵視せず、「知りたい!」の興味のたねから「やりたい!」の行動スイッチを押す道具として利用すれば、強みはどんどん伸びます。
これからも、自分の夢に向かって好きを追い続けてほしいです。
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執筆者:たにぐちいろは
発達科学コミュニケーション





