1.朝の行き渋りに働くママは朝からヘトヘト
わが家には、ひろくんという小学校1年生の繊細な男の子がいます。
ひろくんが年長のころは、毎朝のように「行きたくない!」と泣いたり怒ったりしていて、朝の時間が本当に大変でした。
平日の朝の行き渋りって、思っている以上に心が削られますよね。
仕事に向かう前なのに、もうヘトヘトになってしまうこともあると思います。
わが子が「行きたくない!」と泣くと、頭の中には仕事や時間の不安が一気に押し寄せます。
“早く行ってくれないと、仕事に間に合わない”
“このあとの予定が狂ってしまう”
そんな焦りがあると、つい声を荒げてしまうこともあります。
「わがまま言わないで!ちゃんと行って!」
「ママも遅刻しちゃうでしょ!」
言ってもおさまらないってわかっているのに、気づいたらキツい言い方になってしまう。
泣いているひろくんの手を引いて無理やり連れて行ったあと、「またひどい言い方しちゃった…」と罪悪感を感じながら仕事に向かう。
どうにかしたいけど、どうしたらいいかわからない・・そんな日々が続いていました。

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2.繊細な子の朝が辛くなる理由
ひろくんの育児での悩みは尽きませんでした。保育園への行き渋りから始まり、こだわりの強さや癇癪、いつ困りごとが起きるだろうと気を遣いながら生活をしていました。
どうにかしたいと模索する中で出会ったのが、お家で脳を育てる「発達科学コミュニケーション」(以下発コミュ)でした。
ママのコミュニケーションを変えることで子どもの脳を伸ばせる、という言葉に希望を感じ、発コミュを学び始めました。
学ぶうちにわかったことは、繊細な子の脳はとても敏感だということです。
その敏感さゆえ、小さな変化や刺激もキャッチして処理しようとしてしまうから、1日が終わるころにはエネルギーを使い果たして、脳はお疲れ状態。
さらに、イヤだったことや不安な記憶ほど強く残りやすいという特徴があります。
日中のイヤだった出来事が夜になっても頭の中に残り、気持ちがまた戻ってきやすいんです。
本来、睡眠は記憶や感情を整理する大事な時間。
けれど、寝る直前まで不安やモヤモヤを抱えていると、整理が追いつかず、次の日の朝にそのまま残ってしまうことがあります。
すると、「また今日もイヤなことがあるかも…」という気持ちになって、朝になると行き渋りにつながっていくのです。
私も以前は、「朝の行き渋りをどうにかしなきゃ」とばかり考えていました。
だけど、本当に見直すべきは「夜」のほうでした。夜の安心を整えることで、翌朝のスタートがぐっと楽になるんです。

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3.行き渋りを和らげる寝る前のポジティブな親子会話
繊細な子の脳は、不安やイヤな出来事を強く記憶しやすい、と先ほどお伝えしましたが、時間が経っても記憶や感情が戻ってきやすい、という特徴もあります。
だからこそ、睡眠の前には気持ちをほぐし、安心で1日を終えることが、翌朝のスムーズなスタートにつながります。
そのために、夜寝る前に今日できたことや嬉しかったことを一緒に振り返ることが効果的です。
いきなりは出てこないかもしれませんが、そんな時は質問形式にしてみましょう。
「今日いちばん楽しかったことは?」
「今日うれしかったことは?」
すぐに答えが出てこない時、矢継ぎ早に次の質問をせずに、子どもが話し始めるまで待ってあげましょう。
子どもの脳の処理は大人が思うよりずっとゆっくりなんです。
それでも出てこない時は、ママから発表してみることも効果的です。
「お昼ご飯の〇〇がおいしかった」
「天気が良くて気持ちよかった」
こんなふうに、ささいなことで大丈夫。「そんな小さなことでいいんだ」と子どものハードルが下がり、安心して話せるようになります。
繊細な子は、ついネガティブな気持ちに目が向きがち。
だからこそ、ポジティブな感情を言葉にして一緒に確認することで、もしイヤなことがあったとしても「今日はいい日だったかも」という安心を感じることができます。
寝る前にポジティブな気持ちを思い出すことが、質の良い睡眠につながり、「明日も大丈夫かも」という安心を作ってくれます。
この小さな積み重ねが、翌朝の行き渋りを和らげてくれるんです。

4.明日の「朝の楽しみ」を仕込む
睡眠の前の安心づくりと合わせて、「明日の朝にちょっと楽しみがある」という状態を作っておくのも、とても効果的です。
朝がつらい子にとって、前日から「朝の楽しみ」があるだけで心のハードルがぐっと下がるんです。
たとえば、こんな工夫がおすすめです。
・朝ごはんを一緒に決める
・朝やる小さな遊びを約束する
わが家では、寝る前に次の日の朝ごはんをよく一緒に決めています。
先日も息子が「オムライスがいい!」と言ったので、翌朝はオムライスに。
オムライス大好きな息子なので、わが家ではケチャップライスを大量に作り、小分けにして冷凍ストックしてあります。なので朝はケチャップライスを温めて卵で巻くだけ。
こんな風にママ自身がラクになる工夫もあるといいかもしれません。
そして好きなメニューだと自然と気分が上がり、食事も進みやすく、朝の準備もスムーズでした。
余裕がある日は、朝に10分だけゲームをする日もあります。
「明日は〇〇しようね」と寝る前に約束しておくと、翌朝の表情が明らかに違うことがあります。
ポイントは、ママの負担にならない“ちょっとした楽しみ”を仕込むことです。

5.ママも自分にやさしい言葉を
わが家の息子は夜の親子会話の時間を作り、明日の「朝の楽しみ」を一緒に考えたことで、翌朝の機嫌が段違いに変わりました。
朝の行き渋りは、夜のちょっとした工夫で変えていけます。
その上で、一番大切にしてほしいことがあります。それは、ママ自身にもやさしい言葉をかけてあげること。
繊細な子を育てる中で、私たちはたくさんの困りごとにぶつかったり、わが子のことを考えて、工夫したりしながら、毎日を乗り越えています。
だからこそ、寝る前にぜひこんな風に、自分に声をかけてあげてください。
「今日もうまくいかないこともあったけど、ここまで頑張った私えらい!!」
こうした自分へのやさしい声かけは、心の疲れをゆるめてくれます。ママの安心や落ち着きはそのまま子どもへ伝わります。
ママが満たされていると、子どもも安心しやすくなるんです。
まずママ自身を満たしてから、子どもに安心を届けましょう。

執筆者:にしやまともか
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