洋服にこだわりが強く季節が変わっても同じ服を着たがる子ども
気温差が激しい季節に、暑くても寒くても同じ服しか着ないという子はいませんか?
洋服へのこだわりが強い子の状況は様々です。
- タグがちくちくする
- ぬい目が当たって嫌だ
- 制服を着たがらない
着られる服が限られる子に、困ってしまうママもいらっしゃるのではないでしょうか。
小1の息子も洋服のこだわりが強いので、ほとんど同じ服しか着ないです。
- 靴下に模様があると、裏地の糸が気になるので着ない
- ズボンはピタッとした同じメーカーのものじゃないと着ない
- トレーナーは縫い目が太いので着ない
- 重ね着はゴワゴワするから、冬でも下着は着ない
息子が着られる洋服を探し求め、たくさんの服がタンスの肥やしになっていきました。
これなら着れる!と思って買っても、「いやだ!」と強く怒りをぶつけてくる息子に、「またか…」「なんで!」とイライラすることもありました。
息子は不登校です。
「少しずつ外に出られるようになったな~」と思っていたのも束の間、寒暖差の激しい季節が苦手です。
洋服を気温に合わせて変えられず、寒くても半袖など同じ服しか着ないのです。
「寒い!」「暑い!」「外は嫌だ!」と言い、イライラし始めます。
「また外出拒否になってしまう…」
服へのこだわりの強さのせいで、外にも出られないなんて…。
ズボンの少しのたるみもゆるせず、「足にしわがあたるから気になっていや!」と怒り出す様子に、「肌の感覚が敏感すぎない?感覚過敏というものなのかな?」とネット検索をしたりしていました。
同じ服しか着ない2つの理由
同じ服しか着ないなどのこだわりが強い場合、2つの理由が関係しています。
(1)感覚過敏
感覚過敏のある人は、脳が「小さな刺激」を「大きな問題」として受け取ります。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚などの感覚を強く感じ取ります。
周囲の音が気になり集中できないなど、生活に支障が出てくる状態です。
息子も触覚に過敏さがあり、長袖が肌にあたり、しめつけを感じたり、チクチクしたりするため、寒くても半袖を着る方が安心できるのです。
これは本人のわがままではなく、脳の仕組みが影響しているのです。
(2)変化が苦手
もう一つ、「変化が苦手」という脳の特性も関係しています。
人間の脳には、本能的に変化を嫌う仕組みがあります。
これは動物の脳が、環境の変化を危険なものとして感じ取るようにできているからです。
敏感な子どもや発達障害がある子ほど、この変化を強く感じ、不安に思いやすいのです。
季節が変わると気温が大きく変化し風が冷たくなったり、暖かくなったり、肌への刺激を強く感じる子にとっては不快で仕方ありません。
また、半袖から長袖に変えると、肌に触れる感覚や動きやすさが変わります。
この「いつもと違う」という感覚が大きなストレスになり、同じ服しか着ないことにつながるのです。
感覚過敏でもこだわりの強さを和らげる方法
同じ服しか着ようとしないこだわりが強い子には、どう対応したら良いでしょうか。
(1)本人の感覚を尊重する
洋服へのこだわりは、わがままではありません。
洋服へのこだわりに対して、「こっちの服でもいいじゃない!」などの否定的な言葉をかけるのはNGです。
感覚過敏を無理やり解消しようとすると、ストレスが増して逆効果になります。
生活に支障が出ないようであれば、無理にいつもと違う服を着せる必要はありません。
感覚過敏はストレスが減ったり、脳が成長すると自然と和らいでいきます。
脳の成長には、肯定的な会話が大切です。
(2)脳が喜ぶ!安心&楽しい声かけ
「同じ服しか着ないせいで、外に出なくなってしまった」
など生活に支障が出てしまう子の場合はどうしたらいいでしょうか。
① どんな服を持っているか思い出させる
感覚過敏でさらに変化が苦手な場合、「ちがう服はイヤだ!」という感情で頭がいっぱい。
どんな洋服を持っていたかすら、思い出していないかもしれません。
そこで! 「お洋服屋さんですよ~!」と言って、何枚も洋服を並べることで
- 自分が持っていた洋服を思い出す
- 自分が着たい服を選べる
- 楽しそうだから、見て見ようと好奇心がわく
という3つの目的を達成することができます。
我が家はこの方法で、寒い日に長袖を着るきっかけを作ることができました!
② ハードルを下げる魔法の枕詞「できるかどうかは別として」
いつもと違う服を並べたら、「ママは着させようとするんだ」と警戒するでしょう。
そこで、
「着るかどうかは別として、お客さん見ていってね~」
とハードルを下げる言葉をかけます。
「できるかどうかは別として」という言葉は、こだわりが強い子にぴったりの枕詞です。
息子は、この言葉で不安を乗り越えた経験が何回もあります。
ママの会話でこだわりが強い子が衣替えをした!
実際に、我が家でお店屋さんごっこをしたところ、大成功!
「まずは、自分の長袖の服を思い出してもらおう。すぐに着なくてもいいや。」
程度に思っていたのですが、息子は…
「あ~、こんな服あったね…。じゃあ、これ!」と洋服を一着選んだのです!
私はうれしくて、楽しいテンションで 「お買い上げ、ありがとうございます~♪」 と返しました。
さらに!!息子は、長袖の服を着たんです!!
私は内心「え!着るんだ!」とびっくり。
「長袖着たね!」 「うわあ、この服かっこいいねえ。よく似合ってるよ」 と笑顔で肯定の言葉をかけました。
この日を境に、寒い時には長袖を着ることに慣れていきました。
こだわりが強い、感覚過敏がある子には無理強いは禁物、本人の感覚を尊重することが一番大切です。
また、脳は楽しいことが大好きなので、子どもの好奇心をくすぐる声かけで、一気にステップアップすることもあります。
我が家の例は低学年向きですが、年齢が大きいお子さんだったら、YouTube実況風にする等、お子さんの興味に合わせてアレンジするのもいいですね。
<執筆者>
発達科学コミュニケーションアンバサダー
松原みのり