九九につまずく子にできない理由があります。 それはママの教え方が悪いのでも、子どもの努力が足りないわけでもありません。この記事では、つまずきの正体と、今日からできるやさしいサポート方法をお伝えします。
かけ算九九でつまずく理由
九九がなかなか覚えられない子は、
「さんしちにじゅういち」「ごろくさんじゅう」など、
数字の“音”をただの言葉として暗記している状態になりやすいです。
本来九九とは、
数量 × 繰り返しを表す“数学の言葉”。
ところが、
その「数量」のイメージが頭の中で立ち上がっていないと、
ただの聞き慣れない呪文のように聞こえてしまいます。
たとえば「3×4=12」。
●●●+●●●+●●●+●●● のように、
「3が4つある」イメージがつながらないまま覚えようとすると、
どうしても頭に残りにくいのです。

つまり、かけ算九九でつまずいている子どもは、
“音” → “数量のイメージ” への橋渡しがまだ弱いだけ。
これは発達段階としてとても自然なことで、焦る必要はありません。
むしろ、ママが
「九九は呪文じゃないんだよ。数の仲間の言葉なんだよ」
と やさしく伝えられると、
子どもは安心して学び始めます。
数字カードや積み木、ブロックなど、
「目で見える数」を使って数のまとまりを実感させるだけで、
九九の理解がグッとスムーズになります。
かけ算九九でつまずく子の発達特性
九九を難しく感じる子には、いくつかの共通する“脳のクセ”があります。
これは 必ずしも「特別な支援が必要」「障害かも」という意味ではありません。
子どもの得意・不得意 を知って必要なサポートをすることが大切です。
① 聞いた言葉が記憶に残りにくい
九九はリズムで覚える部分が大きいため、
聴覚情報の保持が苦手な子は覚えにくさを感じます。
② 数量のイメージ化がゆっくり
具体物を目で見て量の違いをつかむ力がまだ育っている途中の場合、
「7が8つ分」のような“抽象的な数量”を捉えにくいのです。
③ ワーキングメモリが少ない
九九は「言葉+数字+順番」を同時に扱うため脳の負荷が高い学習。
脳で処理できる情報量が小さい子には、すぐに混乱が起きます。
④ スピードを求められるとパニック
九九はどうしても早口での暗唱文化が根強いですよね。
しかし、テンポについていけない子は自信をなくしやすく、
「九九=苦手」という気持ちが先に育ってしまいます

ポイントは、
子どもが怠けているのではなく、
脳の得意・不得意が関係しているだけと知ることです。
これを理解しているだけで、
ママの声かけは優しく・正確になり、
子どもの表情が驚くほど変わります。
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九九独特の言葉の攻略法
九九には「ににんがし」「しちしちしじゅうく」など、
日常では使わない“昔の日本語表現”がたくさんあります。
そのため、意味がわかる前に音だけ覚えさせられることが、
つまずきの大きな原因です。
では、どうすればいいのか?
① 意味のある言葉に置き換える
「4が3つ集まったら12」
「5を6回足すと30」
このように“日本語として意味が通る言い方”に言い換えるだけで、
子どもの理解は一気に深まります。
② 具体物で「まとまり」を理解
積み木やブロックを
3個×4列、5個×6列 のように並べると、
「かけ算って、数をまとめて数える方法なんだ」
という感覚が生まれます。
ここを飛ばすと、
どれだけ暗唱しても覚えられません。
③苦手な九九だけ 絵カード で”見える化”
例えば、「しちに(七二)」が苦手なら、
・数式:7×2=14
・九九の読み方:しちに じゅうし
・イメージ図:7が2つあることがかわる絵
という3つをまとめた絵カードにすると、
音→数量のイメージ が自然につながります。
④ 正解より「できた!」の快感で脳を育てることを優先
九九は「間違えるとダメ」と思いがちですが、
学習効果が高まるのは脳の “成功体験と安心感” 。
少しでも覚えたら、
「ここまで言えたね!」
「最初よりスムーズになってきたね」
と、できていることに注目してあげると、
脳が「またやりたい!」と動き出します。

九九につまずくのは才能の欠如ではなく、
数量のつながりをつかむ準備がまだ整っていないだけ。
ママが正しいサポートをすれば、子どもは必ず伸びます。
焦らず、比べず、
「できた!」が積み重なる環境をつくってあげること。
それが、算数好きの入り口になります。
執筆者:草なぎりみ (発達科学コミュニケーショントレーナー)





