息子が爪を噛んでしまうのには3つの理由がありました。その理由がわかったとき、「やめさせる」という子どもの行動を変えるのでなく、ストレスを抜いて自信を育てることにしました!息子は自然と変わっていき今では爪を噛むことはなくなっています。
1.爪噛みはSOSのサイン!小学2年の息子が私に教えてくれたこと
「爪…どんどん短くなってきてる」
ふと気づくと、息子の爪がすべて丸く削れたように短くなっていました。血が出るほどではないけれど、明らかに爪を噛んだ跡。
何度見ても胸がざわつき、「このままでいいのかな…やめさせないと」そう思い続けていました。
実はこれは、息子の心のSOSのサインだったのです。
息子は注意欠如・多動症(ADHDグレーゾーン)の診断がある小学2年生。感覚の過敏さや気持ちの切り替えの難しさがあり、毎朝の登校はとても高いハードルになっていました。
「学校行きたくない」と口にした日から登校しぶりが始まりました。
玄関を出ても、昇降口の手前でピタッと止まってしまう。担任の先生が迎えに来てくれても、そのまま動けず、涙がポロポロこぼれる。通学路の途中で立ち尽くすことも何度もありました。

そんな息子の状態をなんとかしたいと学び始めた発達科学コミュニケーションで、学校に行かせることは息子にとって良い対応ではないとわかったので無理矢理手を引っ張って連れていくようなことはしませんでした。
ただわかっていても、胸の奥では「このままじゃダメだ」「学校には行かせなきゃ」「生活リズムは守らせなきゃ」と、焦りと不安でいっぱいだったのです。
そしてその空気は、きっと息子にも伝わっていたと思います。
そのときの”必死な私”は、息子にとって安心できる存在ではなかったのかもしれません。
息子は見えにくいサインを出しながら、毎朝必死でがんばっていたんです。
爪を噛むという行動も、息子なりの必死に頑張っているSOSの形だったのだと後になって気づきました。
2.ADHDグレーゾーンの子が爪を噛む3つの理由
ADHDグレーゾーンの子どもが爪を噛む背景には特性が関係しています。
①ストレスや不安、緊張の反応
ADHDグレーゾーンの子どもは、環境の変化や人間関係、ちょっとしたことでストレスを感じやすい傾向があります。
特に「また忘れたの?」「早くして!」などの言葉は、本人にとっては努力を否定されたように受け取りやすく、それが不安や緊張になっていることがあります。
その結果、無意識に爪を噛むという行動になっていて、これは見えにくいストレスサインの現れなのです。

②爪の長さが気になってしまう感覚
ADHDグレーゾーンの子には、感覚に過敏な一面もあります。
爪の長さ、ざらつき、引っかかりなど、大人にとっては気にならないような細かな感覚が、本人にとっては非常に不快で、それを整えようとして噛んでしまうことも。
ほんの少しの違和感でも気になり、噛んで整える行動に出る、それが次第にクセとなっていくことがあります。
③退屈なときの“自己刺激”
ADHDグレーゾーンの脳は、何もしない状態が苦手で、刺激を求める傾向があります。
静かな場面や移動中など、「何かしていたい」気持ちが高まり、指や口を使って刺激を得ようとすることがあるのです。
爪噛みもその一つで、気づかないうちに習慣化しているかもしれません。
このように、ADHDグレーゾーンの子の爪噛みには、一見わかりづらいけれど発達特性に根ざした理由があります。
ただのクセに見えても、それは心と感覚のバランスをとるための行動であることが多いです。
だからこそ、「やめさせよう」とする前に、まずはその行動の意味や背景に目を向けることが爪を噛まない方法につながるのです。
3.爪を噛まない方法とは?ADHDグレーゾーン小学生の息子に効果があった実践法
では、その行動の意味に目を向けたうえで、どう関わればいいでしょうか?
私が実際に試して、息子に効果があった爪を噛まない方法は、「ストレスを抜いて安心させること」「できていることを見つけて、それを言葉で伝えること」です。
私たちは、小学3年の5月に「学校に行かない」という選択をしました。
無理やり登校するよりも、まずはストレスを抜いて心の安心を優先したかったからです。
そこから私は、できていないことに目を向けるのをやめ、「できていることを肯定する」ことに集中しました。
たとえば、
「今日は元気に起きられたね」
「今、自分で着替えてるんだね」
「ママもそう思うよ」
「お返事してくれてありがとう」など、子どもの小さな“できた”を見つけて、すぐに肯定・共感・感謝を伝えるようにしました。
すると、いつの間にか息子は爪を噛む回数が減り、ある日こう言ったのです。
「ママ、爪切って」
そのとき、指先にちゃんと伸びた爪があるのを見て、胸がいっぱいになりました。

ADHDグレーゾーンの子にとって、爪を噛まない方法とは、叱ることでも、矯正することでもなく、ストレスを抜いて自信を育てることなんだと実感したのです。
そして、その関わりを続けていくうちに、爪噛みがなくなっただけでなく他の行動も少しずつ良くなっていきました。
自信がついて行動力があがり、色々なお手伝いにも取り組めるようになったのです。
「ご飯炊いて」と頼んだときは、以前は嫌がっていた息子が「お米はどれくらい入れたらいいの?」「4回すすいだけど、もういい?」と自分で確認しながら動けるようになって、爪を噛んでストレスを抱えていたときには見られなかった笑顔が出るようになりました。
今では爪を噛むことはもうありません。少しずつ自信が育ち、外に出る挑戦も始めました!
焦らず、責めず、まずは“自信を持つこと”から、それがきっと一番の近道になりますよ。
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執筆者:長谷川アン
(発達科学コミュニケーション STELLA*Schoolアンバサダー)
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