家庭でも学校でも怒られることが日常化してしまっている子は要注意。怒りっぽさは脳のクセとなってどんどん悪化してしまいます。まずはママが自分の怒りのループから抜け出すことでお家での対応を変えて、ADHDキッズを守っていきましょう。
1.日常化してしまっている子は要注意!叱られ続けると生まれる脳のクセ
学校で先生から注意ばかり受ける、友達とトラブルを起こす…やめさせなくてはというプレッシャーから家で厳しく叱っている、ということはありませんか?
昔ながらのしつけ育児である「できていないところを教える」のがいまだに深く根付いている日本の教育スタイル。
そんな環境にいる注意欠陥多動性障害(ADHD)グレーゾーンの子どもたちには、どうしても指摘や注意が増えてしまいがちです。
まだまだADHDに対しての認識も世間に十分に広まっていない状況のため、様々な子どもが集まる学校では誤解されやすく、問題児扱いされてしまうことも少なくありません。

ところが、ADHDキッズは特に怒られない方がいい理由があります。
なぜなら、ADHDタイプの子は叱られたり注意され続けると怒りっぽさが強くなってしまう傾向があるからなんです。 それは、先生に限らずパパやママから叱られても同じです。
子どもがたくさん叱られて怒りっぽい状態になっていることが続くと、些細なことでもカッとなったり、常にイライラしていてより怒りっぽくなってしまったりします。
ちょっと何かあるたびに癇癪を起こしたりして、いわゆるキレやすい状態になってしまうのです。
2.ADHDの子どもを怒りっぽい脳にさせる傷つき体験
怒りっぽさは脳のクセになりやすく、何かあるとすぐ怒ってなんとかしようとする脳の中のネットワークが太くなってしまいます。
ADHDグレーゾーンの子どもたちは、脳の感情をコントロールする部分に苦手さがあるため、怒りっぽさが増すとその傾向がさらに強くなります。
そして、残念ながらこの怒りっぽさは放っておいても落ち着いていきません。年齢と共に改善するどころか、むしろ悪化してしまうケースが多いのです。
そんな中、ADHDグレーゾーンの子どもは、学校などの集団生活では特に注意されたり怒られる経験が多くなりがちです。
その子自身の努力不足ではなく、脳の苦手さから起きやすい困りごととして次のようなことがあります。
・注意の持続が難しい
忘れ物やミスが多く、繰り返し注意されることで 「またできなかった」と感じ、「自分はダメだ」と思い込みやすい
・衝動性が強い
思ったことをすぐ口にしたり、行動に移してしまうため、 友達から「落ち着きがない」「変な子」と思われ、浮いてしまうことがある
・集中が続かない
じっとしているのが苦手で、静かにしていても、体を揺らしたり手遊びをしたりしてしまう。「真剣に取り組んでいない」と誤解され、努力が認められにくい
・気持ちや意図を表現するのが苦手
悪気がなくても「乱暴」「わざとやっている」と思われてしまうことがあり、本来の自分とは違うレッテルを貼られ、自信をなくしやすい
このような経験の積み重ねが、ADHDの子どもたちの傷つき体験となってしまうのです。

では、傷つき体験をため込んで怒りっぽい脳になってしまったADHDの子どもたちはどうなるのでしょうか。
そのまま高学年、中学生と歳を重ねていく中でエスカレートしていくと、二次障害を併発して不登校になったり、問題行動が増えてしまったり、非行と受け取られかねない行動をしてしまうこともあり、負のループに陥ってしまうのです。
このようなリスクが高いADHDキッズには叱られたり怒られる経験が本当によくないのです。
ADHDの特徴を持つ子どもは、ポジティブな記憶より、過去に失敗した経験や、思うようにできなかった、怒られたなどネガティブな記憶の方が残りやすく、嫌な記憶を長く引きずってしまいがちです。
そうなる前に、負のループから抜け出して脳のクセになってしまった怒りっぽさを断ち切ることが必要です。
3.ADHDキッズを守るためにママができる関わり方と環境づくり
もしもママがしつけ育児から抜け出せず、叱ってばかりになっている場合はお子さんを変えようとする前に、まずはママ自身が変わろうとする意識が大切です。
なぜかというと、怒ることが脳のクセになりやすいのと同様に、叱ることも脳のクセとなってエスカレートしていくからです。
お家が子どもにとっての安全基地になるのがベスト!
そのためにも、子どもの気持ちを肯定的に受け取ることで子どもが安心して落ち着けるようにしていくことが大切です。
お子さんの言動や、周りの目を気にしてしまいついついイライラしてしまったり、叱りたくなるようなこともあるかと思いますが、そこはグッと堪えてスルー。
良くない部分には目を瞑り、良いところに注目をしていくことが必要です。
子どもの失敗を責めるのではなく、できたことを一緒に喜ぶようにすること、「ダメ」と注意するよりも「こうすると助かるよ」と前向きに伝えることで、子どもは安心感を持って挑戦できるようになり、自信も積み重ねやすくなります。

そしてその次に、学校では先生に配慮をお願いする。
ただ「怒らないでください」「注意しないでください」と伝えるのではなく、家庭で心がけている関わり方やうまくいったことを共有することが大切です。
こうした関わりを先生にも知っていただくことで、家庭と学校の対応に一貫性が生まれ、ADHDキッズも安心して過ごせる環境を整えることにつながります。
ADHDキッズにとって、怒られることは良い結果を生みませんので、必要以上の注意や指摘が増えないよう、しっかりと子どもの関わり方を先生方へ伝え、可能な配慮はなにかをすり合わせしていきましょう。
ストレスを感じやすく、環境や関わる人によっても大きな影響を受けやすい発達障害の子どもたち。
お子さんがADHDグレーゾーンで怒りっぽさが心配ということであれば、まずはお家が子どもにとっての安全基地となるよう、叱られるのではなく気持ちを受けとめてもらえる環境を整えて、怒りっぽい脳のクセを無くしていきましょう。
執筆者:水本しおり
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)
まずは子どもたちに一番近い存在であるママやパパたちに、ADHDの子の怒りっぽさをなくす関わり方を知って欲しいと思っています。 やり方がわからない!ということであれば、ぜひ先延ばしにすることなく、すぐにでも一度ご相談くださいね!