字を書くのが苦手な「書字障害グレーゾーン」とは?
学習障害(LD)は全体的な知的発達に遅れはないのですが、勉強の苦手が目立ち学習面で様々な困難がある状態で、発達障害の1つです。
LDには大きく分けて3つのタイプがあります。
・書くことが苦手な書字障害
・読むことが苦手な読字障害
・計算が苦手な算数障害
また上記の3タイプそれぞれについて、他の発達障害と同様に、明確に障害の診断がつかないグレーゾーンと呼ばれる状態が存在します。
この3つのLDグレーゾーンの中でも圧倒的に多いのが書字障害グレーゾーンで、一番見落とされやすいタイプでもあります。なぜ見落とされやすいかと言うと書字障害グレーゾーンは
・字を書くことを嫌がるが、書こうと思えば書ける
・平仮名は書けるのに漢字が書けない
・雑な時もあるが、ゆっくり書けばなんとかキレイに書ける
などいつも出来ないわけではなく、頑張ればなんとかなる場面も多いのです。
頑張ればできるので、周りからは「怠けている」「やらないだけ」と思われがちですが、そうではありません。
本人も一生懸命やろうとしているのですが、「やろうとしているけどできない」ことを理解することが必要です。
できるのにやらない子に
学習習慣が身に付く!
優しい叱り方がわかります!
↓↓↓
書くことを嫌がる子のSOSサイン
書字障害グレーゾーンは漢字学習が難しくなる小学校3年生で気づくケースが多いのですが、努力不足と思われるだけで気付かれぬまま、大人になってからわかるというケースも少なくありません。
例えばわが家の発達障害グレーゾーンの息子は
・字は書けるけど汚い
・漢字が書けない
・作文が書けない
・ノートなど書くことを極端に嫌がる
など、書字障害にもグレーゾーンがあると知るまでは、発達の特性によるSOSサインを見逃していました。
実は漢字が書けない、字を書くことの苦手には
・視覚認知の弱さ
→見たものを正確に捉える力
・音韻処理力の弱さ
→文字を音にする力、書くときには音を文字にすることが必要
・協調運動の苦手
→手と足、目と手など体の違う機能を同時に動かすこと
など複数の脳機能の弱さが関係しており、この中でも特に関連が深いと言われているのが視覚認知の弱さです。
視覚認知の力が弱いと
・物の管理ができない
・怪我や事故を起こしやすくなる
・人の顔をなかなか覚えられない
・仕事でのミスが増える
など、学校の勉強が苦手になるだけではなく、社会生活を送る上で躓きやすくなることにも注意が必要です。
漢字が書けない子にやり直し、何度も書かせることは逆効果
書字だけでなく社会生活にも影響が出てしまうなら、字を書けるようにしなければと思い、繰り返し何度も書かせたり練習させなければと思ってしまうのではないでしょうか?
ですがこの対応では逆効果なんです。
書字障害グレーゾーンの子どもは脳に特性があり、1人ひとりに合った覚え方や学び方が違います。
学校で教わる繰り返し書かせるという学習スタイルは、書くことが苦手な書字障害グレーゾーンの子には辛く、きちんと書けなかったり書いてもやり直しが多いなど、ますます書くことが嫌になってしまいます。
脳は嬉しい、楽しいと感じた時など、ポジティブな感情の時に発達します。逆に嫌だ、楽しくないと感じている時のネガティブな感情で取り組んでも脳はフリーズして発達は進まないのです。脳の発達のためにも、お子さんのためにも正しい対応が大切なのです。
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書かせるのをやめたら、漢字が書けるようになった!
書字障害グレーゾーンの子に正しい対応をするためには、
・書くことにこだわらない
・できる時もあれば出来ない時もある
・子どもにとって何が辛いかを理解してあげる
ことが大切です。
息子はやり直しや繰り返し書かされることが多かったので、気づいた時には書くことを拒否し、書く授業や宿題はフリーズし何も出来ずにいましたが、担任の先生と息子の状態を共有し本人が出来ることを本人が決めて取り組むことを始めました。
どうしたのかというと学校では板書やプリントは出来る時は自分で書き、出来ない時はタブレットの活用をお願いしました。
絶対に書かなくてはいけないと思い、苦しかった息子はタブレットの活用があるだけで授業にも積極的に参加し、自分の考えをタブレットに入力し、発言するなど出来ることが増えていきました。
家でも漢字や計算ドリルの宿題は書くことが多いので、どこまでなら出来そうか、自分でここまでと決めたところまで取り組み、字が汚くても間違っていても書いたことを肯定し褒めました。
「自分で決めて頑張ったね」
「力強く書けたね」
「この字キレイに書けてるね」
と頑張ったこと、出来たことに注目し肯定しました。
「今日は書けそうにない」と言った時は
「そっか。今日はやめとく?それともお母さんが下に書いて、それをなぞってみる?」
と提案し息子がすると言えば下に青ペンで書き、息子はなぞるだけでいいようにサポートします。
書いている途中では「キレイになぞれてるね」と声をかけたり
終わった時は「全部書けたね」や「すぐに終わったね」と肯定します。
計算ドリルは式や答えは代筆し、答えは一緒に声を出して考え、問題ひとつひとつに
「そうそう!合ってる!」や「おしい!」と楽しく取り組んでいきました。
もしも「やらない」を選んでも「そっかそっか。また出来る時にしよう」と明るく受け入れ、途中までで終わってしまっても「ここまで出来たね」と頑張ったことを認めてあげることが大切です。子どもを肯定することで気持ちが前向きになり、苦手なことにも取り組むようになっていきます。
漢字が書けない子に書かせなければならないという常識をなくして対応したところ、こんな変化がありました。
大嫌いな漢字テストではずっと0点や10点しか取れなかった息子が、60点や70点が取れるようになったのです!
息子に合った方法を続けていたら、自然に注意深く見ることができるようになり、ドリルを何回も見て覚えるようにしたり、間違った問題をよく見て間違い探しをするように楽しみながら気づけるようになりました。
書くことを減らし自分に合う学習方法を見つけることができました。
書かせないことで書字に対する拒否感が減り、ネガティブな感情からポジティブな感情に変わる。そのおかげで息子の脳は書くことにこだわっていた時よりも発達していることを実感しています。
ぜひ、試してみてくださいね。
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執筆者:原田たえみ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)