我慢ができない発達障害グレーゾーンの子どもが落ちついて考えられるようになる対応

いくら説明しても、やりたいことがあると我慢ができない発達障害グレーゾーンのお子さんにイライラしていませんか?実はワーキングメモリが関係しているんです。今回は、実際にあった出来事と対応方法をお話します。
 

我慢ができない発達障害グレーゾーンの息子

 

わが家には、発達障害グレーゾーンの小学生の息子が2人いるのですが、今回は小学校6年生の息子のお話です。

 

息子は、やりたいことがあると気持ちが抑えられず我慢ができません。また、落ち着いて考えることができず自分の言いたいことや伝えたいことを整理して伝えるのが苦手です。

 

ある時、こんな出来事がありました。

 

ゲームセンターによくあるメダルゲーム。たくさんメダルが残っていると使い切れないため、期限付きでゲームセンターで保管してくれるところも多いと思います。

 

楽しく遊んだあと、メダルが余ってしまい使いきれなかったので、息子と相談して預けることにしたのです。

 

すると帰ってきてすぐ、こんなことを言い出しました。

 

「いつ、あのゲームセンターに行ける?」

 

この時は、行きたくて楽しみにしているんだろうと思い「パパと相談しておくね。」と伝えました。

 

しかし、「早く行かないとメダルがなくなっちゃう!」と怒りだしてしまったのです。「30日以内に行かないとメダルなくなっちゃう!」「早く連れてって!」と怒りのスピードは止まらず、どんどん激しくなっていきました。

 

そこで私は「メダルは30日以内なら預かってくれるから大丈夫だよ。今度の土曜日は習い事があったよね。日曜日はこんな用事があるんじゃなかった?」と言葉で説明しました。

 

「知ってるよ!」「だけど、早く行かないとなくなっちゃうよ!」と習い事などの用事を覚えていたり、いつまでメダルを預かってくれるかは理解しているようでしたが、頭の中で情報の整理が追いつかず、我慢できずに怒り続けていました。

 

 

 

「だから、今説明したでしょ!」「ちゃんと聞いてた?」と怒ってしまい、親子喧嘩になってしまったのです。

 

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なぜ我慢ができないの?

 

やりたいことがあると我慢ができない情報の整理ができず混乱してしまう発達障害グレーゾーンのお子さんはいませんか?

 

ここからは、発達障害グレーゾーンの我慢ができない理由をお話していきますね。

 

感情のコントロールが苦手

 

我慢ができない、カッとなりすぐ怒るなど、発達障害グレーゾーンの中でも注意欠陥多動性障害(ADHD)の特性を持っているとこんな場面がよく見られますよね。

 

これはワガママではなく脳の機能が未熟なのです。

 

私たちの頭の中には司令塔があって、その司令塔の指示に従って行動しています。

 

大人なら「やりたい!」「嫌だ!」と思っても、「ちょっと考えてみようかな」「嫌だけど少し我慢してみよう」と考えることができますが、発達障害グレーゾーンの子はこの機能が未熟で上手に働きません

 

また、「ここまで待てばできる」と見通しを持つことも苦手なので、やりたいと思ったらやりたい!我慢ができない!となってしまうのです。

 

 

 

ワーキングメモリが弱い

 

息子は、小学校4年生の時にWISC-IV(ウィスクフォー)を受けています。

 

WISC-IVとは、年長から高校1年生ぐらいまでのお子さんと対象とした発達検査です。「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリ」「処理速度」の4つそれぞれに得点が出るので、そこから得意や苦手がわかります。

 

受けた時の結果は、「ワーキングメモリ」と「処理速度」の結果が少し低く、目で見て判断することは得意だが、耳で聞いて判断することが苦手という結果が出ました。また、処理する能力が未熟なので、次々と情報を処理するのが苦手という傾向がありました。

 

WISC-IVの「ワーキングメモリ」は、耳で聞き取った情報を覚えておいて実行する力がどのぐらいあるのかわかります。

 

また、ワーキングメモリとは、記憶するだけでなく、目や耳から入ってきた情報を一時的に覚えておきながら、処理するという働きをしています。

 

今回のように言葉の情報を使いながら考えるのが苦手な子は「言語性ワーキングメモリ」が弱いのです。

 

言語性ワーキングメモリは、言葉の情報を覚えながら、言葉の意味を探したり、言葉と言葉をつなげたりして、入ってきた情報を理解できるように働いています。

 

しかし発達障害グレーゾーンの子は、このワーキングメモリが小さいので、たくさんの情報が入ってくるとこぼれおちてしまったり、処理するのがゆっくりになってしまうということが起こります。

 

 

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我慢ができない子が落ち着いて考えられるようになる対応

 

聞いた情報を整理しきれずパニックを起こしてしまった長男ですが、ある工夫で解決することができました。

 

ここからは、実際にわが家で試した方法をお伝えしますね。

 

我慢ができない子が落ち着いて考えられるようになる対応は「目で見て分かる工夫をすること」「気持ちを受け止め、分かる言葉で伝えること」です!

 

情報を文字やイラストにする

 

そんなに難しくないし、言えばわかるだろうと思い伝えていました。しかし息子は聞いた情報を拾うことはできますが、それらの情報をつなげるのが難しかったのです。

 

そこで、すべての情報を紙に書き出すことにしました。日付や時間、この日ならこのぐらいの時間が空いていると簡単な表にして息子に見せました。

 

もし、文字だけでわかりにくい子はイラストを使うと伝わりやすいですよ。実際に、カレンダーに書き込んだり、本人がわかりやすく書くことをオススメします。

 

気持ちを受け止め、わかる言葉で伝える

 

息子は、衝動性が強く、不安になるとどうしていいかわからなくなってしまいます。また、先を見通す力も弱いため、予定などはわかっているけれど頭の中で整理ができなくなっていました。

 

ここでのポイントは、気持ちを受け止めること、ダラダラと長い言葉やわかりにくい言葉で伝えると伝わらないため、情報を伝えるときは短く、わかる言葉で伝えることです。

 

私はまず「早く行きたいよね。」と本人が思っていることをそのまま言葉にしました。次に「30日間の意味を知らないのではないか」と考え「9月◯日に行ったよね。30日間っていうのは、1ヶ月と同じなんだけど10月◯日までは預かってくれるという意味だよ。わかるかな?」紙に書いた情報を見ながら聞くと「わかる。」と答えてくれました。

 

そして、「ここが土曜日の予定だよ。」「次が日曜日の予定だよ。」「この週とこの週なら少し長く時間がとれそうだね。」と1つずつ、文字を見ながら短く伝えました。

 

短くわかる言葉で伝えることで、ワーキングメモリへの負担を減らすこともできます

 

するとうなずきながら落ち着いて聞いてくれ、「じゃあこの週でいいか、パパに相談してみる!」と決めることができました。

 

 

 

「そうだね!」「落ち着いて考えることができたね!」と会話を終わらせることができました。

 

いかがでしたか?

 

我慢ができない子はワガママではありません。自分の気持ちが抑えづらかったり、ワーキングメモリが小さく情報をうまく整理することができないことにつまずいているのです。

 

お子さんの状態をよく観察して、

 

・気持ちを受け止める

・見て分かる情報に置き換える

・短く、わかりやすく伝える

・できた時に肯定で終わる

 

ことがポイントです!

 

ぜひ、試してみてくださいね。

 

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執筆者:松田あいり

(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

 

 

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