1.新しい環境が苦手な繊細な子
新しい環境が苦手な子どもは、変化にとても敏感で、進級・進学の時期に登園渋りやお家でのグズグズが増えて困っていませんか?
わが家の年少の息子(通称スカイくん)も、新しい環境が苦手な繊細なタイプで、進級・進学が近づくタイミングでは、「いきたくない」「おでこいたい」と登園渋りをするようになりました。
落ち着いていたはずの癇癪も少し現れ、自分で服を着る、片付けをする、園の支度をするなどの今までできていたことができなくなる場面が増えたのです。
私はつい「お風呂に入る時間だよ」「いつまで遊んでるの?」「片付けなさい」「もう寝る時間だよ」などの指示や注意を繰り返していました。
しかし、一向に改善する気配はありませんでした。
2.3学期にストレスを感じやすい理由
3学期は、新しい学年への準備期間として先生からの要求レベルが上がります。
園では、「年中さんになるから」というような言葉が使われるようになります。
繊細な子は他人の感情にとても敏感に反応するので、園では頑張り過ぎてしまい疲れて脳にストレスがかかります。
その結果、繊細な子の進級・進学への不安が高まってしまうのです。
そうなると、お家では、気持ちの切り替えや行動の切り替えにエネルギーが回せなくなり、行動をコントロールできず、今までできていたことが一時的にできなくなってしまうのです。
スカイくんも、園では背筋をピンと伸ばして先生の話を200%集中して聞き、脳は疲れてくたくたの状態でした。
家では、「つかれた」「ねむたい」と言って遊ぶエネルギーがなくなっていたり、些細なことでワーッと泣いたり怒ったり、なかなかお風呂に入れなかったり、テレビをやめられなかったりする様子がありました。
このような状況で、「お風呂入りなさい」「いつまでテレビ観てるの?」など、できていないことに注目されると、「ぼく、できてないんだ」と自信をなくしてしまいます。
進級・進学への不安がある繊細な子には、新しい環境にスムーズに慣れるためにも、3学期の今、「できる!」「大丈夫!」と思える自信をつけることが大切なのです。
3.進級・進学に必要な自信が育つ「スルー」と「肯定」
では、進級・進学に向けて繊細な子に安心感と「できる!」「大丈夫!」と思える自信を育てるためには、どのような対応をしていけばいいのでしょうか?
具体的に見ていきましょう。ポイントは2つです。
まず一つ目は、指示や注意などの否定の注目をなくすことです。
「いつお風呂入るの?」
「片付けなさい」
「もう寝る時間だよ」
「早くテレビ消しなさい」
このようなできていないことへの声かけは、繊細な子の自信を奪ってしまいます。
そのため、スカイくんのできていないことには、勇気をもってスルーしました。
二つ目は、当たり前にできていることに肯定的な注目をすることです。
好ましくない行動以外は、すべて好ましい行動です。
「〇〇くん起きてきたんだね!おはよう」
「トイレに行ったんだね」
「座ってご飯を食べているんだね」
「手を洗ったんだね」
「本読んでいるんだね」
など、実況中継のように声をかけるのがおすすめです。
「できていること」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、何かを成し遂げた時ではなく、お子さんがしていることをそのまま言葉にするだけで十分です。
このように肯定的な注目をすることで、お子さんの中に成功体験の記憶を積み重ねることができ、「ぼくできるんだ!」という自信と安心感を育てることができます。
ぜひ、初めてのことが苦手な繊細な子の小さな「できた!」を見つけて肯定することで、安心感と自信を育てていきましょう!
これが、園でも「ぼくなら大丈夫!」「ぼくならできる!」と思える力に繋がり、進級・進学もスムーズに適応できますよ。
ぜひ試してみてくださいね。
執筆者:まるやま あやか
(発達科学コミュニケーショントレーナー)