１．自分の気持ちが言えないのは性格じゃなく脳のしくみ
みなさんのお子さんは自分の気持ちをはっきり言葉にすることができますか？
わが家の小学2年生の娘は、自分の気持ちを把握したり言葉にすることが苦手なタイプです。
繊細な子の脳は、ひといちばい敏感な感覚をもちながら、一方で、そこで感じた気持ちを言葉にすることが苦手です。
特に以下のような傾向があります。
・感情が先行し、言葉にする処理が追いつかない
・脳がストレスを感じ、フリーズしやすい
・「話さなきゃ」というプレッシャーが逆効果になる
たとえば、学校で嫌なことがあった時、頭の中では「悲しい」「悔しい」「どうしたらいいかわからない」といった感情がグルグル回っています。
しかし繊細な子は、それを言葉にする前に脳がフリーズしてしまい、「なんか嫌だ」「とにかくモヤモヤする！」と結果的に黙り込んでしまうのです。
「どうしたの？」と質問しても、本人も分からず、子どもはますます話せなくなってしまいます。
自分の気持ちが言えない子の本音とは、どうやったら見えてくるのでしょうか？
２．話せない子どもの本音とは？
実際に、私の娘もそうでした。
学校で嫌なことがあっても「どうしたの？」と聞くと、ただ黙ってしまい、余計に不機嫌になることがありました。
当時の私は、「何かあるなら言って！」と質問攻めにし、いつまでも黙ってうじうじしている娘にイライラ。
「じゃあもう勝手にいじけとき！」と突き放してしまったこともあります。
しかし、自分の気持ちが言えないのは脳のしくみが関係していると知り、「話さないんじゃなくて、話せないんだ」とはじめて娘の気持ちを理解することができました。
それ以降、私は無理に聞き出す対応を封印し、娘の気持ちを一緒に整理し引き出すお手伝いを心掛けていきました。
実際に行った具体的な対応方法について、次の章でお話しますね！
３．繊細な子が話しやすくなるカウンセラーモード
ある日の習い事後、お友達とバイバイするなり不機嫌モードに突入した娘は、妹にチクチクと嫌な言葉を言ったり、「なんか嫌！」「楽しくない！」と文句を言い始めました。
①大人の想いは一旦保留する
「おや？はじまった？」と思いつつ、「どうしたの？」「何があったの？」と聞きたくなる大人側の想いは一旦保留し、子どもの様子を静観しました。
②普段通りの表情、態度でありのままを受け止める
ママの不安や焦りが伝わると、子どもは余計に感情的になり、言葉にしづらくなります。
私が受け入れモードであると示すために、口角あげて優しい笑顔で、肩に手を回しスキンシップを取り、怒っているわが子をありのままに受け止めました。
すると「ママ、なんか最近モヤモヤする」と話しかけてきたのです。
➂気持ちを理解し引き出し、言葉と紐づける
そこからは「そうだったんだね、他には？」と質問し、「本当は〇〇したかったのにできなくて嫌だった」という回答に、「そっかそう思ったんだね、他には？」とまた質問します。
「昨日も〇〇だったんだよ」「悲しかった」など、娘が気持ちを出し切るまで、共感も否定もしない絶妙な言葉で、ただただ受け止めていきました。
「嫌だ」「怖い」というネガティブな言葉は、繊細な子の脳が漠然とした不安を強めるため、「それは思ったことと違うことがおきてビックリしたんだね」「〇〇がこうだったから悲しいと思ったんだね」と、感情を正しく理解できるように説明しました。
このように、自分の気持ちが言えない娘のペースに合わせた対応を続けることで、態度で表すのではなく、
４．「自分の気持ちが言えない」繊細な子の気持ちを引き出すためのSTEP0
ホームカウンセリングで気持ちを言葉にするお手伝いの前に、必ずやって欲しいことがあります。
それは、子どもがママに安心と信頼を感じられる「心のつながり」を強くすることです。
繊細な子が自分の気持ちが言えないのは、性格ではなく脳のしくみが関係しています。
「ママはいつも見てくれている」
「ママは分かってくれている」
「うまく言えないけど、ママに話してみよう」
勇気を出してママにSOSを出せる安心と信頼の関係を築くことが大切です。
たとえば…
目があったらニコッと微笑む
「〇〇ちゃん大好き」と穏やかな声で伝える
呼ばれたら「なあに？」と笑顔と穏やかな声で反応する
当たり前にできていることを「〇〇しているね」と実況中継するなどです。
お子さんが安心と信頼を感じられるように、笑顔で・穏やかな声で・ゆっくりと話すのがポイントです。
ママとの１対１の会話で、安心できる土台を作り、言葉にならない気持ちを、少しずつでもアウトプットしていく練習をしていきましょう。
それが、お子さんが自分から話し始める一歩につながります。
執筆者：ふじい あきな
（発達科学コミュニケーショントレーナー）
