1.友達作りが苦手な繊細な子どもの登園しぶり
友達作りが苦手な繊細な子は、お友達のちょっとした言葉や態度に敏感で、「きらわれた」などとネガティブな思い込みを持ってしまいがちです。
「ほいくえんにいきたくない」
「〇〇くんと遊びたかったのにいれてもらえなかった」
「〇〇くんと遊びたかったのにあそべなかった」
「ぼく友達いない」
こんなことをお子さんから聞いてしまうと、親としても心配になりますよね。
「それはイヤだったね」「悲しかったね」と寄り添い共感しても変わらない…と悩まれていませんか?
わが家の4歳の息子(通称スカイくん)は繊細なタイプで、ネガティブ思考が強い子です。
年少の頃、保育園から帰ると毎日のように「ほいくえんいきたくない」「おにごっこにいれてもらえなかった」「〇〇くんにダメっていわれた」とイヤだったできごとの話しが止まらない子でした。
「今日もイヤなこと言われたの?」
「お友達とうまく関われていないのかな?」
そんなふうにとても心配になり、スカイくんが「いきたくない」「イヤだった」とネガティブなことを言うたびに、私は「行きたくないよねぇ。分かるよ」「イヤだよねぇ」「悲しいね」とスカイくんの気持ちに寄り添い、共感していました。
しかし、スカイくんの「いきたくない」というネガティブな感情に共感すればするほど、スカイくんの「いきたくない!」はヒートアップしているように感じていました。
2.ネガティブ発言への寄り添い、共感は逆効果
なぜ繊細な子どものネガティブな感情に「イヤだったね」と寄り添ったり、共感したりするのは逆効果なのでしょうか?
1つ目の理由は、繊細な子の脳は他人の感情にとても敏感に反応することです。
「ママが言っていることは絶対だ!」と感じている繊細な子にとって、ママから「それはイヤだったね」と共感されると、「ママもイヤって言ってる!やっぱりイヤなことなんだ!」とネガティブな感情がどんどんどんどん大きくなってしまいます。
2つ目の理由は、繊細な子の脳はポジティブな感情よりもネガティブな感情と経験が脳に強く残ることです。
園で99コ楽しいことがあっても、1つのイヤだったできごとが、ネガティブな感情と記憶として繊細な子の脳に強く残りやすいのです。
「おにごっこにいれてもらえなかった」「〇〇くんにダメっていわれた」などのお友達とうまくいかなかった記憶が強く残り、「ぼくは友達いない」「どうせきらわれてる」「どうせなかよくなれない」とネガティブに思い込み、どんどん自信をなくしていきます。
すると、「友達=イヤ」「園=イヤな場所」と思い込んでしまい、登園しぶりが悪化してしまうのです。
つまり、友達作りが苦手な繊細な子の登園しぶりを卒業するためには、このような繊細な子の脳について理解した上でコミュニケーションをとってあげることが必要なのです。
3.お友達作りが苦手な繊細な子の登園しぶりは脳の記憶の上書き保存で卒業
では、どうすればお友達作りが苦手な繊細な子の登園しぶりを卒業できるのでしょうか。
私がスカイくんに実践して効果バツグンだった秘策をご紹介します。
◆気持ちを受け止める
まず、ネガティブな感情には否定も肯定もせず受け止めてあげます。
例えば、こんなふうに声をかけてみましょう!
NG「行きたくないよねぇ」「それはイヤだったね」
OK「そうなんだねぇ」
否定も肯定もせず、穏やかな表情でただ気持ちをそのまま受け止めます。
さらに、スキンシップをとりながらだとより効果的なんですよ。
なぜなら、 皮膚刺激(スキンシップ)は感情を司る脳のエリアと深く関係しており、安心感を生み出すホルモンが分泌されるからです。
「抱っこしながら」「手を握りながら」「膝の上に座らせながら」話すことで、お子さんの気持ちが少しずつ落ち着いていきますよ。
◆ポジティブな感情で記憶の上書き保存
次に、ネガティブな感情をそのままにせず、楽しかったことを思い出させて、ネガティブな感情をポジティブな感情で記憶の上書き保存をすることが大切です。
例えば、
「先生が、〇〇くんと一緒にブロックで楽しそうに遊んでたって言ってたよ!何作ったのかな?」
「ママがお迎えに行った時、〇〇くんと楽しそうにお話ししてたね!」
と声をかけてポジティブな感情を引き出します。
ポジティブな記憶を引き出す会話を続けていると、 「保育園=楽しい場所」 に上書き保存されていきます。
このような対応で、「友達いない」と言っていたスカイくんは、「〇〇くんとこんなことしたよ!」とお友達との楽しかったことを自分から話してくれるようになり、さらには「早く保育園に行きたい」とまで言うようになりました。
登園しぶりに悩んでいるママは、ぜひ試してみてくださいね!
執筆者:まるやま あやか
(発達科学コミュニケーショントレーナー)