感覚過敏で服を拒否する敏感な子が自ら着られるようになる脳の安心の範囲の広げ方

感覚過敏で服が着られないお子さんの対応に悩んでいませんか?専門家に相談しても解決せず4年間苦しんだわが家の敏感な息子。しかし、脳の安心の範囲を広げる関わりをしたことで、たった2カ月で服が着られるようになりました。本記事では、その親子の関わり方をお伝えします。

1.突然の感覚過敏で服が着られない敏感な子

 

感覚過敏で、子どもが服を着られないことに悩んでいませんか?

 

我が家には敏感な子(通称:優士)がいます。小さい頃は服にこだわる様子はありませんでした。しかし、1年生の終わりごろ、新型コロナウイルス感染症の影響で突然休校となった時期から

 

「この服、なんか変!」

「ゴワゴワするから着ない!」

 

服の感触に対して敏感になりました。

 

さらに、2年生になり学校が再開したときには、今まで普通に着ていた体操服や大好きな野球の練習着すら着られなくなりました。

 

 

2.誰に聞いても分からない感覚過敏の服の対応

 

優士の好みに合わせた対応を続けていいのか悩み、学校や専門機関に相談しました。しかし、

 

「もっと大変なお子さんたちがいるので優士君は大丈夫ですよ。」

「刺激を減らす対応はあっているので、様子を見ましょう。」

 

と、具体的な解決策は得られませんでした。

 

穴が開いても同じ服を着続ける

靴下を嫌がる

冬にズボンを履けなくなる

大好きなスキーでスキーウエアが着れなくなる

 

と、服に対する違和感がどんどん強くなり、ますます選べる服が減っていきました

 

 

3.感覚過敏と敏感な子の脳のしくみを知る

 

敏感なお子さんは感覚を受け取る脳の分野の成長が未熟なため、五感がとても良く働き、時に感覚過敏として違和感を持ち、日常生活の中で不便さを感じていることがあります。さらに、ストレスが続くと、脳の感情を司る部分が危険を感じやすくなり、より感覚が過敏になります。

 

そのため、聴覚、視覚、触覚、嗅覚、味覚などの感覚情報が脳で敏感に解釈されるため日常生活での不自由さが起こります。

 

音にこだわる   ⇒ お友達の話し声や先生が注意する声が気になる

見る物にこだわる ⇒ 部屋のカーテンを閉める、部屋に閉じこもる

肌触りにこだわる ⇒ いつもの服が突然着られなくなる

においにこだわる ⇒ 教室のにおいが気になり、登校をしぶりが出る

食べ物にこだわる ⇒ 決まったものしか食べられない

 

お子さんにこれらのような様子がある場合は、それは心と脳からのSOSです。敏感なお子さんは、不安や心配なことを認識して処理する力や言葉にする力が成長途中です。そのため、不安や心配事をどう表現したらいいか困ってしまうと、敏感なおこ子さん自身の安心する範囲の中に閉じこもるため、感覚過敏として表現されるのです。

 

優士は触覚過敏が強く、服の生地の感触に対して強い違和感を感じていました。

 

しかし、お家で脳の発達を育てる関りをしたことで、優士は2カ月で服を着られるようになりました。

 

 

4.感覚過敏を持つ敏感な子が服を着られるようになる親子の関り方

 

優士は触覚の感覚過敏が強かったのですが、発達科学コミュニケションを究める中で、とても効果があった関わり方をご紹介します。

 

①触覚過敏が強いときはお手伝いを増やす

 

触覚過敏が強いときには、「そっか、そっか~」とだけ伝え、過剰に反応することをやめ、刺激を減らしながら、お手伝いを増やすのが効果的です。

 

「20分になったら家出るね~」

「あと10分だからランドセル玄関に置いておくね~」

「体操服は着れないって連絡帳に書いておいたから先生に見せてね」

 

と、時間で動くことは淡々と伝え、余計なストレスをかけないようにしました。

 

 

②過敏さが落ち着いているときは安心の範囲を広げる

 

触覚過敏が落ち着いているときは、安心の範囲を広げる関わりをします。

 

「ポケカのやり方教えてくれる?」

「このYouTuber最近よく見てるよね? おすすめは?」

「気になってたパンケーキ屋さん行ってみようか」

 

優士が興味関心のある話題で会話を増やし、脳の中にある情報を自分の言葉で伝えることを意識しました。そして、外の世界に興味を持たせました

 

さらに、お皿洗いやお風呂掃除など、手足を使うお手伝いを増やし、触覚の刺激に少しずつ慣れさせました

 

③触覚過敏が落ち着いているときは自分軸を育てる

 

触覚過敏があると「周りに迷惑をかけてしまう」とネガティブに捉えてしまいますが、自分軸を育むことで過敏さは少しずつ落ち着いていきます

 

「お肉とお魚どっちが食べたい?」

「今日の散歩はどこのルート行く?」

「公園と釣りどっち行く?」

 

日常生活の中で選択肢を与え、自分で決める経験を増やしました。

 

時には

「今日行きたくない」

「え~めんどくさい」

こんなことも言います。

 

それに対しては

「OK~、今日はそんな気分じゃないんだね」

と、さらっと返し

 

「嫌と言っても大丈夫だった」

「わがままを言っても大丈夫だった」

 

家の中から安心できる範囲を広げました。

 

 

5.安心の範囲が広がり服が着られるようになった敏感な子

 

3つの関わりを続けた結果、優士はたったカ月でさわぐことなく服を着られるようになりました。

 

感覚過敏を持つ敏感な子が、服を着られるようになるには、無理に治そうとせず、安心の範囲を広げることが大切です。

 

お子さんによって感覚過敏の表現や感じ方は違うと思います。きっと敏感な子のママは、お子さんの過敏さで周りに迷惑を掛けないように、お子さんが外で困らないようにと、日常生活の中で様々な工夫をされていると思います。

 

「感覚過敏の服問題」で悩んでいるママは、「安心の範囲を広げる関わり」を試してみて下さい。少しずつ服が着られるようになりますよ。

 

執筆者:増山陽香

(発達科学コミュニケーショントレーナー)

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