1.繊細な子の「学校を休む基準」に迷いながら続ける登校
我が家には感受性が豊かな繊細さん(通称優士)がいます。5年生に進級してから、帰宅すると決まって話していました。
「鬼ごっごするとオレばっかり鬼にされる」
「○○と○○が△△と遊ばせないようにしてくる」
「学校なんてめんどくさい」
学校での様子が気になるため、担任に相談すると
「学校では心配なく過ごしていますよ。連れてきていただければ大丈夫です」
と言われていました。しかし、優士は、担任が話す様子と家での様子は大きく異なるため、優士の中でストレスを抱えているように感じていました。それでも、仕事も忙しく休めないため、学校休む基準を決めようか悩んでいましたが決められずに過ごしていました。優士は毎日登校はしているものの、ストレスが増えるのではないかと不安が募る日々を過ごしていました。
2.感覚過敏と癇癪が酷くなる繊細な子
優士は朝になると、感情的になることが増えていました。
「このシャツじゃないと嫌だ!」
「このズボンはおかしいから昨日の出して!」
「なんでだよ!カーペットずらすなって言ってるだろ」
「クソ!!!(壁を殴る)」
洋服や環境の少しの変化に対する過敏さが増していき、朝から兄弟喧嘩も増えるようになっていきました。「気にし過ぎだよ。人のことは気にしなくていいから」と止めると、逆に優士を怒らせてしまい、激しい癇癪を起こすようになっていました。
3.頑張って登校する繊細な子の脳のストレスサイン
繊細なお子さんは、周りの人や環境など、どんな状況か敏感に察知し、自分がどう動こうか考えて行動しています。しかし、受け取った情報を処理する力や感じて考えたことを言葉で伝えるにする力の成長が追い付かないため、繊細な子の脳はストレスが溜まりやすいのです。
この繊細な子の脳のストレスのサインとして身体の不調がないか、お父さんやお母さんがよく観察してあげてほしいのです。
例えば、
1週間以上、毎日頭が痛い、お腹が痛いと言っている
夜、寝つきが悪くなったり、悪夢を頻繁に見るようになった
朝の支度時に癇癪が増え、身支度に時間が掛かるようになった
食欲が明らかに落ちたり、好きなものすら食べなくなった
このように、病気でないのに「最近うちの子ちょっと変?!」と感じていたら、それは学校休む基準を考えるサインかもしれません。「学校に行きたくない」を直接言えず、脳のストレスサインとして身体で表現しているかもしれません。
4.脳のストレスサインを見逃さない!「学校休む基準」を考えた母の気付き
①頑張ることが正解じゃないことに気付いた母
「最近お腹痛いって言い続けてるな・・」
「イライラ増えてるな・・」
「今日はずいぶんYouTubeばっかり見ているな・・」
「カーペットの1センチのずれ?!気にし過ぎにもほどがあるんだけど・・」
優士の様子に違和感を感じ、「何かあったの?」と聞いても「うるさい!何もない」と言うため、担任の「大丈夫」を信じて登校を続けていました。しかしある朝、登校前に夫と優士が大喧嘩
「もう学校辞めてやる!」
大泣きして部屋から出られなくなりました。
「これ以上無理させたら壊れてしまう」と直感した私は、「少し休もうか?」と提案し、学校を休む決断をしました。
②安心の場作りがストレス回復に繋がる第一歩
「学校を休む」選択は逃げることではなく、繊細な子の脳ストレスを和らげる時間だったと、今なら分かります。
当時の私は「このまま不登校になったらどうしよう。仕事に影響してしまう」と焦っていたのも事実です。そのため、優士の生活リズムを崩さないように、朝は決まった時間に起こし、夜のゲームやYouTubeを制限していました。また、学校でストレスを抱えていないか心配だったので、学校の様子を毎日確認していました。しかし、この関わりが、優士のストレスを増やしていたのです。
「学校を休もうか?」と声を掛けた日は、優士がとてもホッとした表情を見せていました。その姿を見て、「無理に登校させることが正解でない」と気付いたのです。そして、どうしたら優士の脳のストレスを和らげ、回復できるのか考え、学校に行くかどうかよりも、安心できる環境作りを大事にしようと思うようになりました。そのため、今ならこうします。
・朝は無理に起こさず、自然に目覚める時間を待つ
・学校の話を無理に聞き出さず、優士が話したいタイミングでゆっくり聞く
・自然が好きな2号君に合わせて、一緒にお出かけをしてゆったりする
優士は自分から「学校行きたくない」と言えずストレスサインを出していました。そのため、無理に生活を続けようとせず、心と脳を回復する時間として休むことを大切にします。
5.学校休む選択が導く繊細な子の未来
私は今でも、優士のストレスサインに気づいていたのに、無理をさせてしまったと後悔が残っています。今なら、優士を問い詰める質問や、無理なアドバイスはせず、安心して話せる環境を作るはずです。学校を休む時間をもっと大切にしていたら、優士の心と脳の回復を早く進めることができたかもしれません。
繊細な子は、学校という環境で十分過ぎる程がんばっています。そのため、時には「休む」ことを選択することで、心や脳の負担を軽減し、早めに元気を取り戻すことができるのです。学校休むという選択肢は、決してネガティブなものではなく、心と脳、身体をリフレッシュする大切な時間になります。
「学校休む基準」に迷うお父さん・お母さん。ぜひ、お子さんの脳のストレスサインに耳を傾け、心の声を大切にすることをお勧めします。
発達科学コミュニケーショントレーナー
増山陽香