1.「あと何回」が通じない繊細な子との公園時間
わが家には、ひといちばい敏感で何でも知りたがる博士ちゃんのミカ(通称)がいます。
現在小2のミカが年中の頃、外遊びが大好きで公園によく行っていました。しかし、いつもなかなか帰らない、「あと何回ね」が通じず、エンドレスに滑り台が続く・・・そんな姿に私はイライラしていました。楽しいはずの公園が、家に帰ってきた頃にはヘトヘト。
気持ちよく行って帰ってきたい気持ちで、事前に「何時までにしようか」「ママが帰ろうと言ったらおしまいできる?」など、おうちでお約束をしても全く効果なしでした。
お友達は「はーい、あと1回したら行くね」と帰っていく・・・なぜわが家の娘はそれができないんだろうと漠然とした不安を抱えていました。
2.公園から帰らない理由はわがままではない
そしてミカが年長になった頃、集団生活の苦手さから小学校生活が心配で、毎晩さまざまな育児書を調べていました。
やっとわが子に合ったものが見つかったと思えたのが「お家で脳を育てる発達科学コミュニケーション」でした。すぐに親子のコミュニケーションを学び始めることになり、繊細な子の心と脳の仕組みを知るうちに、ミカの公園から帰らない理由が紐解けていきました。
繊細な子は「危険」「不安」「イヤだ」などの自分の感情に敏感に反応します。そして人の不安やイヤだなと思っている雰囲気はさらに敏感に感じ取ってしまうのです。
楽しいことや遊びが終わる=イヤだな
公園から離れたらもう来れないかも=不安
ママがイライラしている=イヤだな
その結果=「帰らない!」となってしまう
このように初めは少しだけだった不安やストレスが、私が声をかけるたびに大きくなってしまっていたのです。
「何で他の子のようにできないんだろう・・・ミカがわがままなのかな」と感じていましたが、わがままでも甘えでもなく、脳の仕組み上、ただ起きやすい反応なだけだったということがわかりました。
3.繊細な子の”楽しい”を繋げる3つの工夫
親子で気持ちよく帰れるようになるために、私が実践した工夫を3つご紹介します。
①ママのイライラを手放そう
表情、声色、ため息などから、ママのイライラはすぐに伝わってしまいます。繊細な子は、ママのことが大好きだからこそ、ちょっとした変化も敏感にキャッチできるのです。残念ながら、ママの「バレていないだろう」は実はバレバレなのです。
普段から、笑顔で穏やかな声色のセットで話すことを意識してみましょう。
初めは作り笑顔でもOK!頑張っている自分へのご褒美もしっかりあげましょうね。
②終わりを一緒に決めよう
大人の都合で急に終わりを決めることは、子どもにとっては途中でブチっと切られている感覚なのかもしれません。例えば、45分ドラマを見ている際に、クライマックスを残したあと15分のところで「もうおしまいね」と言われているような感覚です。
自分で終わりを決めることは、安心に繋がり帰ることを受け入れやすくなります。
「そろそろ帰る時間だけど、おしまいの遊具どれにする?」
「滑り台とブランコ、どっちが最後がいいかな?」
「お気に入りの遊具はどれ?最後はママと一緒にそれで遊ぼうか」
③次のお楽しみをセットしよう
楽しいことから離れることは、繊細な子にとってとてもエネルギーのいることです。この先にも楽しいことがあるよと見通しを伝えてあげることで、気持ちの切り替えのお手伝いができます。
次のワクワクを一緒に考えて、楽しい気持ちのまま進めるサポートをしましょう。
「おうちに買って帰るのはジュースがいい?それともアイス?」
「今日のおやつ何にしようか?」
「お家で見る映画、一緒に選ぼう」
4.ママの笑顔が繊細な子の1番の安心材料
以前は、泣いて帰ることになったり、「帰らない!」と誰も居なくなるまで公園に居たり、楽しいはずの公園が帰る頃には、ぐったりでした。
それが今では、ミカの方から「あのうんてい最後まで出来たら今日のミッションクリアね!」と帰るタイミングを自分で決められるようになりました。私は、それを「OK~見てるね」と笑顔で待っていられるようにもなりました。
ママが変われば、子どもは必ず変わります。驚くほどにママの笑顔は子どもへ、子どもの笑顔はママへ連鎖します。毎日の小さな工夫を続けることで、親子の安心と信頼の関係が深まり、それが「今日楽しかったね」と笑顔で言い合えることに繋がっていきました。
うまくいかない日もありましたが、大切なのは「今日もよくやったね」とママも自分を労いながら、できることから少しずつ続けることなんだと、ミカが教えてくれました。
これからも親子で一緒に成長していける時間を、大切にしていきたいです。
執筆者:やまさき うみ
発達科学コミュニケーション