宿泊学習に行ってみたい! 繊細な不登校の高学年女子が自分で作戦を立てられたママの声かけ

監修: むらかみりりか
発達科学コミュニケーション マスタートレーナー

繊細な不登校のお子さんが高学年になり宿泊学習に参加したいと希望したのに、いざとなると不安で動けなくなってしまうことはありませんか?宿泊学習に参加するための準備に立ち向かう子どもから、不安を聞き出し本人が立てた作戦で再び動き出せた記録です!

1.不登校の娘が初めての宿泊学習に参加を希望

 

わが家には些細なことで傷つきやすい繊細な気質の娘千帆(小学4年生)がいます。

 

千帆は小学1年生の秋頃から学校の話題と言えば「イヤだったこと」ばかり話すようになりました。その一つ一つが積み重なり、小学校3年生からは「学校なんて大嫌い」とついに不登校になってしまいました。

 

不登校のまま4年生になり、初めての宿泊学習があることを知ると「不登校だけれど宿泊学習は行ってみたいな」とささやかながら参加を希望したのです。

 

ところが、母である私も、宿泊学習が実際どのようなものなのか、どのような準備がいるのか、詳しく見通しを立てられずにいました。

 

私と千帆は、担任の先生とは新年度になって数回会った程度でしたが、まずは宿泊学習のことを教えてもらおうと計画を立てました。

 

千帆は「学校が大嫌い!」でしたから「先生に聞きに行く」、これだけでもとてもハードルの高いことでした。

 

少しでも前向きな気持ちで学校に行けるよう、「先生に聞きに行く」ことのほかに二つ楽しみを考えました。

 

①顔なじみの先生がいる職員室に登校し、そこにこっそり置いてあるおもちゃで遊ばせてもらう。

 

②給食が千帆の好きな焼きそばの日に、短時間だけ行く。

 

 

2.「やっぱり行きたくない!」繊細な娘が部屋の隅でフリーズ

 

繊細な千帆は、習い事でも、家族のお出かけでも、「行く」と言っていたことなのに、出発直前になると「やっぱり行きたくない」と言って、部屋の隅に隠れたり、トイレから出てこなかったりすることがありました。

 

この日も、学校に出発直前で、千帆は部屋の隅でフリーズしてしまいました。

 

 

 

3.繊細な子の脳の特徴に合ったママの対応

 

①繊細な子の脳の特徴

 

この半年ほど前、不登校になった千帆が外出もしなくなってしまったことに、私はどうすればいいのか分からず困り果てていました。

 

自己流では解決することが難しいと判断し、繊細な子の心と脳を強くする親子の関わりを専門に教えているむらかみりりかさんに出会い、「発達科学コミュニケーション(以下、発コミュ)」を学び始めていました。

 

「やっぱり行きたくない」の原因は繊細な子の脳にありました。

 

何か行動しようとするとき、繊細な子の脳は過去のネガティブな記憶から「また嫌なことが起きるかも」「やめておいた方が良い」と、不安を大きくさせ、行動をストップさせてしまうのです。

 

 

 

②基本の肯定のテクニック

 

子どもに何か行動させようとするときにまず取り組みたいことは、好ましい行動を肯定していくことです。

 

なぜかというと、この肯定が不安を小さくしていくからです。「不安だけれどやってみる、自分はやれる」という自信になるのです。

 

反対に好ましくない行動に目が行っても注意や指摘をせず、見て見ぬふりをすることもポイントです。好ましくない行動はスルーします。

 

③肯定から始まるホームカウンセリング

 

日々の肯定を続けていくと、ママがまるでカウンセラーさんのように子どもから解決策を引き出せるようになります。

 

実は千帆がフリーズしたときの私は、内心は

 

「ずっと不登校でクラスのみんなに会うこともなかったのに、1泊2日の宿泊学習なんて、やっぱり本人の不安と怖さは相当なもの。行かせてあげたいけど無理なのかな」

 

と半分は諦める気持ちもありました。

 

しかし、半分は、やるだけやってみてから、あとのことを考えればいいか!という気持ちもありました。

 

フリーズしている千帆はスルーしたまま、発コミュのテキストを開いてササッとホームカウンセリングの手順をおさらいしました。

 

具体的な不安が聞き出せれば、学校に向かう糸口が見つかるのではないかと考えたのです。

 

◇ホームカウンセリング基本の流れ
①まずよく観察して態度を保留

②具体的な不安を受容

③子どもの捉え方を理解

④心の準備が整い子どもから解決策が出てくるのを待つ

 

4.繊細な子の不安を解消するホームカウンセリング

 

 

 

①保留:フリーズしたままの千帆を観察

 

千帆は今、不安から、感情を司る脳のエリアが活発に働いています。

 

脳の別のエリアが働き出すと、感情がおちつき、考えることができるようになります。そのため、感情に寄り添うのではなく、目から情報を入れてみることにしました。

 

ホワイトボード作戦です!

 

今日の目的を3つ書き出し、「今日やることって何だったっけ~?」と優しく声をかけました。

 

1、職員室にあるおもちゃで遊ぶこと
2、給食の焼きそばを食べること
3、宿泊学習のことを担任の先生に教えてもらうこと

 

すると、もぞもぞと動き出した娘が話し出しました。脳の働きが切り替わりました!

 

②受容:具体的な不安

 

「焼きそば食べたいけど、担任の先生が嫌なんだよ」

 

私は全て「そうなんだね~」と受け止めます。

 

③理解:本当の理由

 

「前にちょっと学校に行ったとき、1人でおもちゃで遊びたかったのに、担任の先生が一緒にしようって、しつこいのが嫌だったんだよ〜」

 

④解決策:千帆の作戦

 

「別の先生のいる部屋に行って算数ドリルでもやって、職員室戻って給食を食べれば良いと思う!」

 

私は、千帆が自分の思いを言葉で伝えてくれたこと、新しい作戦を立てたことを肯定しました。

 

「不安だなって思ったこと理由教えてくれてありがとね!ママなんでかな?って思っていたから、話してくれて嬉しかったし、新しい作戦いいね!」

 

内心は「担任の先生も千帆との心の距離を縮めようとしてくれているのにも申し訳ないな」と思いましたが、発言内容の良し悪しにフォーカスせず肯定を貫きます!

 

5.ひとつじゃない!不登校でも宿泊学習参加を叶える親子の道のり

 

 

 

ほどなくして新しい作戦を立てた千帆と私は校門に着きました。もう給食室からは焼きそばの良い匂いが漂ってきています。

 

この時点では、肝心の宿泊学習のことを、担任の先生に自分で聞くことができるのか分かりませんでした。

 

「焼きそば良い匂いだね〜。そういえば今日、宿泊学習のこと聞くのって、どうするんだっけ〜?」と千帆に聞いてみました。

 

「担任の先生には聞きたくない。なんでも知っている校長先生に聞く」と言うのです。すかさず私は「校長先生に聞くのいいね!」と千帆の考えを肯定!

 

職員玄関に着くと千帆は、意外なほどすんなりと私と別れ、職員室に入っていきました。

 

そして、午後になり千帆が帰ってきました。今日の3つの目的のことを聞くと……

 

「今日、校長先生に宿泊学習のこと聞いてくるの忘れちゃったよ。今度水泳学習があるから学校行こうかな。その時に担任の先生に聞くね」と。

 

今度はまた別の作戦を考えていたのです!宿泊学習までの道のりは何通りもあります。これからも千帆は不安で動けなくなってしまうこともあるでしょう。

 

不登校ではあるけれど、娘の「やりたい」を叶えていくために発コミュのメソッドをどんどん活かしていきたいです。

 

6.部屋の隅でフリーズしていた娘は自分で考えて行動できる6年生に!

 

以前の私たちは、学校での活動に参加するたびに、親子で手に汗を握るような思いをしていました。

 

「行けるかな」
「やっぱり無理かな」

 

そんな不安の中で、毎回、勇気を振り絞るようにして一歩を踏み出していたのです。

 

私の頭の中も、

 

「次は何を言おう」
「今、千帆の脳はどんな状態なんだろう?」

 

と、いつもフル回転でした。

 

だけど今は、毎回が“親子の大勝負”ではなくなりました。

 

千帆は、クラブ活動や委員会活動など、特別に大きな行事ではない日常の学校生活の中でも、

 

「行きたいんだけどさ~」
「あれがいやなんだよな〜」
「うーん。でも今日は〇〇するって先生言ってたし・・・」
「じゃあ、中休みから行くって言うのはどうかな?」

 

と、娘自身が迷いながらも考え、どんな一歩なら自分が行動できるかを選べる場面がどんどん増えていきました。 

 

私は、以前と変わらず、千帆が迷いながらも考えを整理している言葉を

 

「へぇ~そう思ってるんだねぇ」

 

受け止めるだけ。

 

今では、ほとんどホワイトボードを出すこともありません。

 

改めて今、親子の安心できる関わりが整うことで、子どもは自分の不安を言葉にし、その不安を自分で安心に変える力を育てていけるのだと感じています。

 

執筆者:あなんしほ
発達科学コミュニケーション

 

監修: むらかみりりか
(『HSC繊細な子の育て方がわかる!ペアレントトレーニング』著者)

準拠理論:
本記事は発達科学コミュニケーションに基づき執筆されています


この記事を書いた人
あなんしほ

発達科学コミュニケーション トレーナー

小学3年生から不登校になったわが子は家では元気なのに、学校や習い事、お出かけになると「やっぱりやめた」と立ち止まることが続きました。

「どうしたら自分から一歩を踏み出せるんだろう」
そんな思いで試行錯誤を重ねる中で、発達科学コミュニケーションと出会い、子どもの行動を「心と脳の現在地」という視点から見られるようになりました。

現在は、不登校の繊細な小学生を育てるママへ向けて、家では元気なのに外への一歩になると立ち止まってしまう子が、「行きたい」を「行けた」につなげていくためのヒントを、夏休み・学校行事・お出かけなどの具体例を交えながら発信しています。

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