「怖いからムリ」挑戦できない繊細な子がピースサインで発表会を終えられた「できた」の貯金

「繊細な子だから挑戦できないのは仕方がない」そんな思いを抱いていませんか?はじめてのことも、1人でやることも怖くて挑戦できなかった繊細な子が、はじめてピアノの発表会に挑戦し、堂々と弾ききることができた「できた」の貯金による背中の押し方を紹介します。

 

1.「怖いからムリ」好きなことでも挑戦できない繊細な子

 

我が家の三男みっくん(7歳)は、挑戦することがとても苦手な繊細な子です。
4歳から始めた大好きなピアノも、発表会に出ることだけは「怖いからムリ」とずっと拒否してきました。

 

はじめての場所、1人でやること・・・みっくんにとって「はじめて」と「1人で」は、不安のスイッチ。 たとえ好きなことでも、「怖いからムリ」と、挑戦できない気持ちのほうが勝ってしまいます。


どうすれば「やってみる!」という気持ちを引き出せるのか。どうしたら「できた!」という経験を重ね、自信につなげられるのか、わたしは頭を悩ませていました。

 

 

2.「発表会はムリ」の一言にも希望を抱いたある経験

 

7歳の1月、いったんピアノをやめていたみっくんですが、新しい先生と出会い、3月からまたレッスンを始めることになりました。

 

通いはじめてからほどなく、先生から「6月に発表会があるんだよ」と声をかけられたときのこと。やっぱりみっくんの返事は、「発表会はムリ」の一言でした。

 

「繊細な子にとって、大きなステージの上に1人で立つことはハードルが高いよね」

「このまま挑戦できないのかな、ピアノは楽しんでるんだし、発表会には出られなくてもいいのかな」

 

それまでのわたしなら、ここで諦めていたと思います。

 

けれど、この時わたしの中には「もしかしたら発表会に出るって気持ちを引き出せるかも」という希望がありました。


「教室が怖い」と学校にいけなくなったみっくんが、あることをきっかけに、笑顔で登校できるようになった経験をしたばかりだったからです。

 

 

3.繊細な子に特化した親子の関わり方との出会い

 

小学1年生の3学期、みっくんは毎朝「教室は怖い、行きたくない」と涙を流して登校を拒否。

 

「このまま不登校になって、不安感もますます大きくなってしまうのかな・・・」と悩んでいた時に出会ったのが、お家で脳を育てる発達科学コミュニケーション(発コミュ)のトレーナー、むらかみりりかさんでした。

 

「親子の関わりで、繊細な子でも挑戦できるようになる」
その言葉に勇気づけられ、わたしは学んだ中からまず2つのことを実践しました。

 

①肯定の声かけを続け、否定的な注目はしない

肯定的な声かけが多いと、「またやろう!」と、自分から動けるようになり、否定的な声かけが多いと、「僕なんて」「どうせできない」が強くなってますます挑戦できない状態になってしまいます。

 

 たとえば「挨拶できたね、大きな声だったらもっとカッコよかったね」は、優しく言っても「大きな声でできなかった」と否定的に伝わってしまいます。


それよりも「挨拶できたね!」だけを伝えることで、「またやろう」につながると知りました。

 

②不安へは共感をしない 

「怖いよね」「行きたくないよね」と共感すると、繊細な子は不安がますます大きくなってしまいます。

 

不安を口にした時には「そうだね」と受け止めるだけにとどめると、深刻になりすぎずに不安な気持ちが消化されることもあると学びました。

 

この2つの関わりを意識して続けた結果、みっくんは3月には毎朝笑顔で教室へ通えるようになったのです。

 

 

4.「できた」の貯金で芽生えた「挑戦する気持ち」

 

「学校に行けたように、今度は発表会に挑戦できるかもしれない」

 そんな思いが、わたしの中にはありました。

 

そこで、意識したのが、「褒めっぱなしで終わる声かけ」でした。

 

というのも、ピアノの練習となるとついつい「〇〇した方がよかったね」「今のところ音が違うよ」という否定の声かけを、わたしがしてしまいがちだったからです。

 

たとえば、音が間違えていても「元気に弾けたね、素敵だったからもう一回聴きたいな!」、レッスン中に姿勢が崩れていても「レッスンの最後までニコニコだったね!」と、できていることだけを言葉にして伝えます

 

先生もみっくんの特性を理解してくださり、毎回「できてるよ」の声をかけてくださいました。

 

「できた!」の貯金をコツコツためて1ヶ月が経とうとしていた4月。


「6月に発表会があるんだけど、出てみない?」という先生の問いかけに、
みっくんは、ちいさな声で「今は出てもいいかなって気持ち」と答えたのです。

 

「3年間拒否し続けた発表会に、出てもいいって言ったの?!」

嬉しいよりも先に、驚きの気持ちでいっぱいになりました。

 

「『できたね』のハナマルを伝え続けて、本当によかった!!」

 

 

5.笑顔でピース!繊細な子が挑戦できた初めての発表会

 

そして本番当日。舞台袖でリハーサルの順番を待つみっくんの目から涙がこぼれていました。 「やっぱり無理」「怖いよ」と小さな声。

 

わたしは「そうなんだね」と受け止めながら、にっこり笑ってこう伝えました。

 

 「たくさん練習してきて、朝もとても元気に弾けたよね。」

「リハーサルで、どんな風に舞台に出ればいいのか、確認できるんだよ。」

しばらくすると、「落ち着いてきたから、リハーサルやってみる」と、みっくんから声をかけてくれました。

 

本番前も「緊張する」「普通に座ってるけど、泣きそうなんだよ」と言いながらも表情は穏やか。気持ちを言葉にすることで、不安な気持ちを消化しているようでした。

 

そしてついに本番!今までで一番しっかりとした音で演奏したみっくん。無事に1人のステージを終えることができました!!

 

 

発表会のあとは「がんばったでしょ!」「できた!」「ピース!」と嬉しそうに笑顔を見せてくれたみっくん。

家族みんなで「今日の頑張り大賞だね!!」「かっこよかったよ!」と、たくさんのハナマルを贈りました。

 

繊細な子だから挑戦できないのは仕方がない・・・そんな風に諦めていたこともありましたが、親子の関りを変えることで、不安を大きくしすぎず挑戦できる経験ができました。

わたしにとってもみっくんにとっても、大きな財産です。

 

「怖い」「ムリ」という気持ちが大きくて挑戦できない繊細な子も、「できた」を積み重ねていけば、「やってみる!」の気持ちが芽生えてきます。

 

繊細な子だから・・・と諦めそうな時に、「肯定の声かけ」と「不安な気持ちには共感しない」という関わり方がヒントになると嬉しいです。

 

執筆者:みやざわちひろ
発達科学コミュニケーション

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