1.お手伝いなんてムリ…と思っていた子どもとの毎日
当時年中だった我が家の息子アサヒは、ママと離れるのが不安な、少し怖がりで繊細な一人っ子です。
「食べたお皿下げてね」「お菓子の袋捨ててね」と言っても返事はなし。お手伝いなんて、我が子にはまだ無理だと思っていました。
私自身も、「早く片づけて!」「自分のことは自分でやって!」と、ついイライラして強く言ってしまう毎日。
このままでは、何でもやってもらうのが当たり前になってしまいそうで、不安ばかりが募っていました。
2.「ありがとう」が、繊細な子の行動のスイッチになる
幼稚園に入ってから癇癪や登園しぶりに悩み、繊細な息子の将来が不安だった私が出会ったのは、繊細な子の心と脳を強くする親子の関わり方を専門に教えている、むらかみりりかさんでした。
そこで、おうちで脳を育てる「発達科学コミュニケーション」というメソッドを知り、「アサヒへの対応に迷うことがなくなるかも!」「今から学べばアサヒの将来が明るくなるかもしれない!」と年少の3学期から学び始めていました。
その学びの中で印象的だったのは、子どもの脳はママの「ありがとう」「助かったよ」の言葉が大好きだということ。
ママが喜んでいると感じると、「自分の行動に意味があった」と実感し、子どもの自主的な行動力が引き出されていくのです。
お手伝いを通して「ママに必要とされている」と感じることは、子どもにとって心の安心につながります。
まさに、お手伝いは子どもがそれを体験できる絶好のチャンス!そう気づいた時、「うちの子にもできるかも」と希望が湧いてきました。
3.子どもが“できた!”を実感!お手伝いで育つ行動力
そこで私は、お手伝いを楽しみながら子どもが自信を持てるように「お手伝いでおこづかいゲット作戦」として、「お手伝いシール表」を作成。
お手伝いを1つするとシールを1枚貼り、シール1枚=5円としておこづかいに交換できるルールにしました。
お手伝いのミッションはシンプルに3つに絞りました。
- 洗濯した靴下を干す
- 食事のときに自分のお皿を運ぶ&下げる
- 寝る前におもちゃを片づける
何でもやってもらうのが当たり前ではなく、”家族の一員として自分のことは自分でする”という意識を持ってほしい。
そしてもうひとつは、「お金は働くことで得られる」という金銭感覚も、少しずつ育んでいきたいと考えました。
最初は「お手伝いお願い!」と言っても、すぐには動き出しませんでしたが、「早く!」と言いたい気持ちを抑え、息子が動いてくれるのを待ちました。
靴下一足でも干してくれると、すぐに「ありがとう!助かる〜!」と笑顔で声をかけ続けると、徐々に反応が変わってきました。
干し方がくしゃくしゃでも、そこには触れずに「やってくれて助かる!」と伝えることを大事にしました。
お手伝いをしてくれた気持ちを尊重したことで、子どもがまたやりたいと思えるようになったのだと思います。
毎日シールが増えていくのがうれしかったようで、「何枚になったのかな?」と数えるのを楽しみする様子もありました。
すると、「お皿持って行って〜」と言えばすぐに行動できるようになり、「もう寝る時間だから片づけようか」と声をかけると、自分から片づけ始めるようになりました。
こうしてお手伝いを通じて、子どもが「自分のことは自分でやる」という感覚と、誰かの役に立てる喜びを少しずつ身につけていったのです。
4.「ママが喜ぶ」がうれしい!お手伝いで育つ子どもの自信
ある日、息子がこんなことを言いました。
「お手伝いしたら、ママのこと好きになっちゃうんだよね~」
「え〜?!ママうれしい〜!もしかして、お手伝いしたら、ママが喜ぶからじゃない??」
「そ〜だと思うんだよね〜」と照れながら言う息子を、愛おしくてたまらなくなりました。
「ママが喜んでくれる」「自分の行動が、誰かの役に立つ」そんな実感こそ、子どもにとって最高のごほうびだったのだと思います。
その後は、「明日もお手伝いしてあげるね」「何かすることある〜?」と、自分から声をかけてくれるようになりました。
そしてついに、自分でためたおこづかいをもって、スーパーへ!
「これは80円だから買えるね」「これは100円だから足りないかも」 そんなふうに、子ども自身が考えてお菓子を選び、無事に買うことができました。
「たくさんお手伝いしたから、お菓子が買えたね」と声をかけると、息子は「うん!」と嬉しそうに頷きました。
自分で考えて選んだ姿に、金銭感覚も少しづつ身についていると感じました。
「自分で働いて稼いだお金で、自分で考えて選ぶ」
お手伝いを通して、子どもの心には自信と「やってみよう」という力が育っていたのです。
何を言っても動かなかった子どもが、自分から行動できるようになった 。
そのきっかけは、ママの笑顔と『ありがとう』の言葉でした。
執筆者:高橋 りえ
発達科学コミュニケーション