父と繊細な息子の親子喧嘩を解消!気持ちを伝え合える家族になれた脳に届く母の声かけ

父と子どもの親子喧嘩をどう対応したらいいか悩んだことありませんか?我が家の繊細な息子と自分の夢を重ねる父の“野球の素振りバトル”が勃発!涙した息子の心を救ったのは、母が学んだ脳に届く声かけでした。ぶつかりあっても、気持ちを伝え合える家族になるため母が工夫したことをお話します。

1.繊細な子を育てる我が家

 

我が家は、小学2年生の息子しょうくんと、夫、そして私の3人家族です。

 

しょうくんはマイペースで、はじめてのことや環境の変化に敏感、”繊細な子”です。そして、夫も繊細さがあるタイプなのです。

 

小学1年生の秋、しょうくんは友達の制服にマジックでいたずらしたと疑われることがありました。

 

「ぼく、やってないのに…学校は地獄だ!」

 

その出来事がきっかけになり登校を拒み、約3か月間、学校を休みがちになりました。

 

私は必死に相談機関を訪ねましたが、出口の見えない暗闇の中で、もがくような日々が続きました。

 

そんなときに出会ったのが、おうちで脳を育てる「発達科学コミュニケーション」(以下:発コミュ)。

 

「脳と心が育てば、繊細な子も挑戦できるようになる」

 

この言葉に希望を感じて、私は学びはじめました。

 

一方で、夫の子育てスタイルはというと、「ダメなものはダメ!」という”角が少しとれた昭和のしつけ”タイプです。

 

それは、夫自身もそのように育てられ、社会に出たときに「免疫がついていて良かった」と感じているからこそ、しょうくんにもそれが必要だと信じていたのです。

 

そのため、夫はやわらかく接しているつもりでも、「できていないこと」に注目する関わりが多くなっていました。

 

 

2.大好きな野球と父と子の共通の夢

 

しょうくんが野球に夢中になったきっかけは、年長さんの春に家族で初めて行ったプロ野球観戦でした。球場に響く歓声、プロの選手たちの鋭いスイング、鮮やかなプレーの数々。

 

初めて目にする「本物の野球」の世界に、しょうくんの目はキラキラと輝いていました。
「楽しいね!すごいね!ホームラン打ってみたいな~」

 

その興奮は家に帰ってからも続き、自ら「野球をやってみたい」と希望し、年長の夏に地域のクラブチームへ入団。野球生活がスタートしました。最初はバットにボールが当たるだけで大喜び。

 

やがて2年生になり、ルーキーチームの中で最上級生になりました。
さらには、チームの“要”ともいえる「4番バッター」を任されるまでになりました。

 

「しょう、頼んだぞ!」「おまえが打てば流れが変わる!」監督や仲間たちの声に、最初は誇らしさを感じていたしょうくん。

 

徐々にその“期待”はいつしか“重圧”へと変わっていきます。

 

打てない日が続くと、「また打てなかったらどうしよう」と不安ばかりが先に立ち、バットが思うように振れなくなる。フォームが崩れ、スランプに陥り、次第に元気もなくなっていきました。

 

そんなとき、さらに熱くなっていたのが父親です。
夫自身、子どもの頃に野球を習いたかったけれど、それが叶わなかった経験があります。

 

だからこそ、しょうくんの頑張りに強く心を動かされ、自分の夢を重ねているような気持ちになっていたのかもしれません。

 

「今まで打ててたんだから強い球が打てるはずだ!」愛情と期待が込められた父親の言葉。

 

けれども、次第にその熱意は、しょうくんにとって“プレッシャー”として重くのしかかるようになります。

 

夕食は毎晩プロ野球の中継を見る。試合がない日はYouTubeでフォームの研究。
家族の会話も、いつのまにか野球の話ばかりになっていきました。

 

 

 

夕食後の素振りでは、「これだと打ちにくいよ」「このほうが自分には合ってる気がする」自分なりに工夫するしょうくん。

 

しかし、父親の目には、できていないことが気になってしまいアドバイスという名の修正がどんどん積み重なっていきました。

 

「違う、そうじゃない。こう打て!」「こう肘を!」

 

何度も何度も繰り返される指摘に、しょうくんはついに限界を迎えます。

 

「うるさいな!! もうやりたくない!!」
しょうくんはバットを放り投げ、大粒の涙を流して大泣き。

 

がんばっても認められないつらさ、4番バッターの重圧、父親の期待もすべてがのしかかり、しょうくんの心がついにパンクしてしまったのです。

 

こうして、父と子のぶつかり合いは、親子喧嘩となって表れたのでした。

 

 

3.肯定と否定の注目の影響

 

発コミュでは、繊細な子にとって、親からの肯定の注目と否定の注目がどのように影響するのか、脳科学的視点からわかりやすく学びました。

 

◆繊細な子の脳の特徴

 

繊細な子の脳は刺激に敏感です。

 

特に、五感(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚)が鋭く、表情、声のトーン、周囲の空気までも察知するのです。

 

さらには、脳が危険をすばやく察知するためのセンサーのような役割をもつ『扁桃体』が活発に働きます。

 

しょうくんの脳は、野球で「ここはチャンスだ打て」という期待とプレッシャーが多い4番バッターの重圧にSOSを出していたのだろうと今では思います。

 

◆否定の注目の影響

 

否定の注目、特にできていないことに目を向けて注意する関わりは、繊細な子の脳にストレススイッチを押すことになります。

 

夫の熱のこもった指導は、しょうくんにとってはできていないと言われ続けてストレスに。アドバイスを受け取れず感情の爆発につながったのです。

 

◆肯定の注目の大切さ

 

一方、肯定は脳にとって”安心・安全のサイン”になります

 

「みてるよ」「いいね~」「素振りやりはじめたの~」
 そんなふうに、子どものできている行動に目を向けて、やさしく声をかけるだけで、子どもの表情がニコっとする瞬間があります。

 

このできている行動に目を向ける肯定の注目の積み重ねが、子どもの脳に安心感を届けてくれることを、私は発コミュを通して知りました。

 

脳が安心を感じると、子どもの感情は自然と落ち着き、考えたり、気持ちを整理したりするための「前頭前野(ぜんとうぜんや)」が働きやすくなるそうです。

 

だからこそ、頭ごなしに注意するのではなく、まずは見守って、できた・できないの結果よりも過程に肯定的な注目をしてあげることが大切なのです。

 

 

4.父と子の“本音”をつなぐ母

 

ある日、2人の意見がぶつかりはじめて、「あ、親子喧嘩になるかな、これはまずいな」と私は台所で食器を洗いながら感じていました。

 

「冷静になれる場所を作っておこう」と私はすぐにお風呂を沸かし始めました。
この行動には、実は“夫にお風呂に入ってもらう”という明確な意図がありました。

 

感情がぶつかりあってる時は、まず距離をとることで落ち着けるのだと、発コミュで学んでいたからです。

 

「パパ、お風呂わいたよ~」
そう声をかけて、自然にその場から離れてもらうことで、“ディスタンシング(距離をとる)”を実行。

 

しょうくんのそばには、私が残りました。
案の定、息子は大泣きのまま。私はただ静かにゆっくりと背中をさすっていました。

 

今までの私だったら、ここで「パパが言い過ぎだよね」と子どもに寄り添いすぎてしまったか、逆に「打ちたいなら練習続けなきゃ」と叱ってしまっていたかもしれません。

 

今は違います。発コミュを学んだことで家族全員を肯定する役割を意識できるようになっていました。

 

落ち着いたところで
「しょうくん、自分の考えもあったのに、パパのやり方を取り入れて練習して、納得できないこと言葉でパパに伝えてたね」
「パパも、しょうくんががんばっているからこそ、打ってほしくて強く言っちゃったのかもしれないね」

 

そんなふうに、どちらかを否定せず、双方の”できていること”に目を向ける関わりを意識できるようになっていました。

 

そして、お風呂から出てきた夫に変化が現れました。少しほぐれた表情で、しょうくんに向かってこう言ったのです。


「さっきはごめん。ちょっと言い過ぎたな」
「変えようとすると違和感あるよ。違和感感じているってことはできている証拠だ

 

しょうくんは、目をぱちくりさせていましたが、緊張がすっと抜けていくのが、私には見えました。

 

「ママも一緒に素振りやろ~」と親子3人でも楽しく素振りを再開することができました。
こうして親子喧嘩も自然と仲直りができたのです。

 

 

5.「ぶつかる」から「伝え合える」親子へ

 

繊細な子どもと向き合う毎日の中で、親自身の思いも強くなることがあります。
親も子も完璧ではないけれど、どちらにも“がんばっている姿”があるのです。

 

日々の中では、意見の食い違いや感情のすれ違いから親子喧嘩に発展することもあります。
これからも、親子喧嘩がゼロになることはないかもしれません。

 

 自分の考えや気持ちを伝え合える家族でありたいなと思います。

 

執筆者:いとうあやこ
発達科学コミュニケーション

 

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