1.休日は家から出ない息子を、どうにか外へ連れ出したい
我が家には、小さなころから人見知り・場所見知りが激しいとても繊細な子、りゅう君(小3)がいます。
「恥ずかしがりやだから仕方ない」と自分に言い聞かせ、成長とともに良くなるだろうと様子をみながら小学校入学を迎えました。
そんなわが子が、友達とのオンラインゲームを始めるようになった2年生の2学期頃から、徐々に休日は一歩も家から出なくなってしまいました。
週末おもしろそうなイベントに誘ってみても、返事はいつも同じ。
「おれは家が好きなの!家にいたいの!お母さんだけ行って来たら?」
もっと広い視野をもってほしい、体を動かして遊んでほしい、そんな母の心配をよそに、ゲームに没頭するりゅう君。
何とかしたいと思うものの、何をどうすればいいか分かりませんでした。
2.繊細な子の「家が好き」は「外がこわい」の裏返しだった
子どもをお出かけに誘うためのヒントがないかと、情報を検索していると「繊細な子の心と脳を強くする親子のかかわり方」を専門に教えている、「発達科学コミュニケーション」マスタートレーナーの、むらかみりりかさんに出会いました。
「発達科学コミュニケーション」とは、脳科学の研究により考案・検証された、繊細な子どもの悩みごとを、一人一人の脳の個性に合わせてママと一緒に解決していくペアレントトレーニングのこと。
そこで、繊細な子の脳のしくみを学び、りゅう君の「家から出ない」理由が見えてきたのです。
繊細な子の脳は「見通しがたたないこと」に対して、強い不安を感じます。
「何をするの?誰がいるの?よくわからない」という見通しの見えない不安が「どこにも行きたくない!家にいたい」という気持ちにつながっていたのです。
この不安を無くすには、ゴールへ向かう「見通し」を見せてあげる事が重要。
少しずつ安心が増え、「行ってみたい」につながると学びました。
3.外の世界に飛び出す子になってほしい!
2025年の夏、私が学ぶりりかさんのスクールで、「いたずら万博」※というイベントが行われることになりました。
7月の本番にさきがけ、まずはGWに会場視察をかねてみんなで遊ぼう!ということに。
場所は兵庫県。我が家から500km以上の距離があります。
家から出ない繊細な子には難しいかもしれないけど、もしも出来たらすごい!!
その一心で「息子を外の世界に誘う」私の挑戦が始まりました。
※「いたずら万博」とは、おとなの当たり前を封印して、こどもの『やってみたい!(例えば…スライムプール!ひみつ基地作成!びっくりかき氷!などなど)』を叶える、子どもの好奇心と行動力がぐんぐん育つことで脳を伸ばす!リアル体験型イベント。写真はいたずら万博2024の様子
4.見通しを立てる会話のコツは「少しずつ」
「おもしろいことがあるから行ってみよう」という誘い方をでは、繊細な子の脳は「何それ?わからない!不安!」が大きくなり、「家がいい!家から出ない!」と判断してしまいます。
そこで、小さなゴールを設定して誘っていくことにしました。
例えば、「飛行機に乗る」ことがゴールなら、空港の場所、空港までの移動手段、乗っている時間、飛行機の中の様子など、地図や画像を見ながらイメージを膨らませるようにしました。
すると、飛行機に乗ることの見通しが立ち、ワクワクに変わっていくのがわかりました。
その後も、会場や泊まるホテル、当日どんなお友達が子がいるのか、帰りの時間などなど、見通しを立てる会話を続けました。
情報量が多くなると、処理が追い付かず、理解できなくなってしまうのも、繊細な子の脳の特徴。
1日で伝えるのではなく、2週間ほどかけて、会話を続けていきました。
そして、ついにりゅう君が「行ってもいいよ~」と言ってくれたのです。
5.初めてだらけの楽しい思い出ができた
当日会場に着いたときには、さすがに緊張している様子でした。
そんな時も「見通しを立てる」ことが役に立ちます。
まず会場全体を探検し、どこに何があるのか?どんな子がいるのか?
今いる場所に慣れることで安心感を持つことができます。
誰とも会話しなくても、遊ばなくても焦らなくてOK。
黙っているように見えて、繊細な子の脳はフル回転で理解しようとしています。
大好きな川遊びのタイミングで、どんどん岩場を進み、いつの間にか友達ともお話ししながら、楽しく遊ぶことが出来ました。
どれだけ楽しかったかは、帰るときの「また来たい~!」という言葉と、とびきりの笑顔がおしえてくれました。
発達科学コミュニケーションを学び始めてから約4か月。
家から出ない繊細な子が見せてくれたのは、大人が想像もしなかったキラキラした景色でした。
これからも、見通しを立てながら、いろんなことに挑戦する子どもの姿を見守っていきます。
発達科学コミュニケーション
かなうち りこ