1.繊細な子が家で癇癪を起こす理由とは?悩み続けた私の毎日
我が家の次男エイジ君(仮名)は、繊細な気質で、人見知りが強く、初めてのことが苦手なタイプです。
保育園では目立って大変な行動をすることはなく、むしろおとなしい方。先生からも「楽しそうに過ごせていますよ」と言われることが多くありました。
しかし、家ではまるで別人のように変わります。
癇癪が激しく、暴れる、泣く、叫ぶ、叩く、噛む。朝から近所に聞こえるほどの大声で騒ぐこともあり、マンションの方に迷惑がかかるのではと、私はいつも神経を張りつめて過ごしていました。
「怒らせないようにしなきゃ」
「刺激しないように…」
と、エイジ君の顔色をうかがう毎日。
暴れたらすぐに抱っこし、噛まれても我慢して、「私が耐えればいい」と、自分を犠牲にするようにさえなっていました。
しかし、そんな生活は、家族全体の空気をどんどん重くしていきました。
私の心に余裕がなくなり、長男もエイジ君にも不満を抱くようになりました。
誰も悪くないのに、家族みんながしんどくなってしまっていたのです。
2.“がんばってきた証拠”だった!癇癪の裏にある繊細な子の本音
「なんでそんなに怒るの?」「どうして言葉で伝えないの?」
エイジ君の荒れる姿に、私は戸惑いと怒りを繰り返していました。
何か解決方法はないかと調べたり、発達相談をしたり、SNSをチェックしたり。
そこで、繊細な子の脳を育てるコミュニケーションを教えているむらかみりりかさんを見つけ、電子書籍をダウンロードしました。
そこに書いてあったのは、まさに我が子だ!と思う内容でした。
そこからすぐにメッセージを送り、そこで初めて発達科学コミュニケーション(発コミュ)に出会いました。
学びはじめてわかったのは、 繊細な子ほど、外で頑張りすぎて、家でそのストレスが爆発するという理解でした。
繊細な子の脳は、1日を過ごす中でも、人の顔色を伺ったり、空気を感じ取ったりするのが得意なため、大人が思っている以上にエネルギーを使っています。
脳がとても疲れやすくなるのです。
だから、家では感情の調節が追いつかず、 怒る・泣く・暴れるという形であふれ出していたのです。
わがままではなく、「がんばってきた証拠」だったのだと、私はやっと気づくことが出来ました。
癇癪、叫び、噛みつき…。
私はエイジ君に傷つけられながらも、「私が我慢すればいい」と自分を押し殺して対応してきました。
だけど本当は、私だって苦しかった。限界だったのです。
私は、「登園するのは当然」「できるようになるのが普通」という「当たり前」、価値基準を、エイジ君に無意識に押しつけていたことに気づきました。
「もう無理かもしれない」
子育てに行き詰まりを感じていたとき、出会ったのが発コミュでした。
「子どもの行動には、すべて意味がある」
そう知った瞬間、はじめて私はエイジ君の本当の気持ちに目を向けられるようになったのです。
3.癇癪に効いた!繊細な子と笑顔で過ごす3つのヒント
ここからは実際に効果があった3つのヒントをお伝えしますね。
①癇癪は完全スルーする
癇癪を起こしたら、声もかけず、完全にスルーするようにしました。
以前の私は、エイジ君が癇癪を起こすと、すぐに駆け寄り、抱っこしてなだめることが当たり前になっていましたが、「癇癪をすればママが来てくれる」と脳に誤学習させてしまう行動だったと知ったからです。
そのかわり、気持ちが落ち着いたタイミングで「おやつ食べようか」「お水飲む?」など、行動の切り替えを優しく提案するようにしています。
癇癪を起こしてもお母さんは反応はしない。落ち着いたら対応してくれる。
この対応を徹底することで、癇癪を起こすメリットがなくなり、癇癪は収まっていきました。それが我が家の大きな転機になりました。
②気持ちを伝える練習
エイジ君の癇癪の背景には、気持ちをうまく言葉にできないという問題がありました。
それまで私は「どうしたい?」「何食べたい?」など気持ちを聞いていました。
しかし、この聞き方では答えの幅が広すぎて、エイジ君は答えられずに気持ちを言えませんでした。この聞き方、質問は答えづらいということが分かり、例えば何がしたいか聞きたい時は選択肢を与える質問に変え、自分で選ぶ練習から始めました。
「靴下は黒にする?白にする?」
「公園行く?おうちで遊ぶ?」
こうした自分の気持ちを伝える練習を積み重ねることで、エイジ君は少しずつ「自分の気持ち」に気づき、言葉にする力が育ってきたのです。
癇癪は、脳が感情の言語化を苦手としているサインです。
普段の会話で「感情表現のトレーニング」はしてあげられるのだと実感しました。
③アウトプット
以前は、つい「怖かったね」「いやだったね」と感情に共感する声かけをしていました。
それも、繊細な子には逆効果になることもあると知りました。
共感のつもりが、脳に「怖かった記憶」を強化してしまう。
以前は何かやり遂げた時に「すごいね!」「えらいね!」と褒めてました。
それも繊細な子には逆効果になることも知りました。
それを避けるために、今は行動の“結果”ではなく“過程”に注目する声かけに変えました。
たとえば:「靴下、履こうとしてたんだね」
「右足、履けたね」
「チャレンジしてたね」
“やろうとした気持ち”や“行動の途中”を見つけて言葉にすることで、エイジ君は「認めてもらえた」「ママは見ていてくれている」と安心し、自分か「やってみようかな」と行動することが増えていきました。
繊細な子どもには、「できた/できなかった」ではなく、「やってみよう」その一歩が、心を育てるカギなのです。
4.癇癪で悩むママへ。その経験が誰かの力になる日まで
かつての私は、子どもの癇癪にただ振り回され、自分を責め、家族との関係さえも壊れてしまいそうな毎日を過ごしていました。
しかし今では「子どもの行動には意味がある」「伝え方を正しく理解すれば、関係は変わる」、 発達科学コミュニケーションの学びは、そんな私の子育てを根っこから変えてくれました。
エイジ君との毎日が、今では笑顔に溢れ、やりたいことにドキドキしながらも挑戦出来るようになっています。
もちろん、完璧にはいきません。癇癪もゼロとは言い切れません。
しかし私は、「どう関わればいいか」を知っている。
それだけで、子育てがここまでラクになるなんて、かつての自分には想像もできませんでした。
だからこそ、私は今、この学びを伝える人になりたいと思っています。
かつての私のように、子どもとの関係に悩み、「もう無理…」と感じているママたちに、「大丈夫だよ」とそっと手を差し伸べられる存在になりたい。
この経験が、誰かの一歩を支える力になれば嬉しい。
そんな思いを胸に、私はこれからも学びを深め、伝えていきます。
執筆者:ますながゆみこ
(発達科学コミュニケーション)