1.偏食が強くなる繊細な子
わが家の繊細な息子(通称:優士)は、小さいころは何でもよく食べる子でした。しかし、コロナ禍をきっかけに偏食がどんどん進み、やがて、大好きなハンバーグでさえ、「玉ねぎが入っているから食べない!」と拒否するようになったのです。
そのため、自宅では料理の具材を細かくチェックするのが日常、お気に入りのハンバーグ屋さんでは「玉ねぎ抜きでお願いします」と注文するのが当たり前になりました。
さらに、学校給食では「今日、ご飯しか食べられなかった」と白ご飯だけ食べて帰ることも…。食事のたびに、「少し食べてみたら?」と声をかけても、全く響かない。好き嫌いが酷くなる優士に、困惑していました。
一方、「小さい頃は食べられていたし、成長と共に変わるかな」と、軽く考えている面もあった私。偏食の背景に”繊細な子どもの脳の仕組み”が関わっているとは、思いもしなかったのです。
2.偏食の正体は「感覚過敏」だった!
私は、お家で脳を育てる発達科学コミュニケーションに出会い、偏食が単なる「偏食」ではなく「感覚過敏」だ知り、とても驚きました。
繊細なお子さんは、五感が鋭く働きやすく、脳の感覚を処理する部分が未熟です。そのため、感覚過敏として、日常生活の中で不便さを感じることがあります。
食事の中で感覚過敏が起きると、 食べ物にこだわりが強くなり、
✔少しの味の違いに気づく
✔食感にこだわりがある
✔においで食欲が左右される
といった、反応が強く出ます。
さらに、脳に強いストレスや不安がかかると、感覚過敏は一気に悪化。つまり、「偏食でなく、繊細な子の脳のストレスサイン」だったのでした。
3.「食べさせる」より「安心を育てる」脳科学的サポート
そこで私は、「ちょっとでも食べさせなくちゃ」というしつけをやめました。代わりに、食卓で優士が安心できることに注目することにしたのです。
例えば、
✔ご飯を運んでくれる
✔時間になり食卓についている
✔いただきますと言える
✔箸を持って食べている
✔一口でも食べている
✔ごちそうさまが言える
食べられた量よりも、「安心して食卓にいられること」を大事にし、食事中できていることに注目し声を掛け続けました。
すると優士は、「今日枝豆食べてみるよ」と、自分から野菜にチャレンジする姿が出てくるようになりました。
4.脳の安心が生んだ奇跡の一皿
ある日、初めて入った洋食屋さんでのこと。お店の方に「玉ねぎは入っていません」と確認し安心し頼んだハンバーグを食べた優士は、
「このハンバーグ玉ねぎ入っているじゃん。でもおいしい!」
なんと、玉ねぎを気にすることなく笑顔で完食したのでした。かつての優士からは想像できないものでした。
偏食の子どもへの対応は、料理の工夫から入ることが一般的です。だけど、本当に必要なのは、「食べられる工夫」よりも「安心の積み重ね」です。
特に、繊細なお子さんの偏食は、感覚過敏と脳のストレスが大きく影響し合っています。だからこそ、脳が安心できる環境を整えることが、偏食を和らげる一番の近道になりますよ。
執筆者:増山陽香
発達科学コミュニケーショントレーナー