1 おしゃべりなのに、自分の気持ちが言えない繊細な子
我が家には小3の娘(通称:メイ)がいます。
メイは外ではとっても明るくて、おしゃべり上手。
先生やお友達からも「元気な子」と見られています。
けれど実は繊細な一面を持ち、「自分の気持ち」を言葉にするのがとても苦手。
学校やお友達との関わりで、気持ちを伝えられずトラブルになることもあります。
困ったときは、自分の気持ちが言えないために、誰かを味方につけて相手を攻撃してしまうこともありました。
そのストレスをため込んで、家では爆発!
ちょっとしたことで癇癪を起こし、感情をぶつけてきます。
「どう思ったの?」と聞いても返ってくるのは決まって「わかんない」
気持ちを聞き出そうとしても、私にはその言葉が“その場しのぎ”にしか聞こえず、だんだんイライラしてしまう…。
外では元気に見えても、本当は気持ちをうまく言えずに苦しんでいるメイ。
メイの苦しさを理解してあげられないまま、親子でストレスばかりがたまっていきました。
2 気持ちを吐き出させてあげたいのに…できない現実
「どうしてそんなことになったの?」
「その時、自分はどう思ったの?」
私が聞けば聞くほど、メイは黙り込んでしまう。
やがて「わかんない」だけ言って逃げ出したり、最終的には怒って爆発する。
お友達とのトラブルも、起きた事実は言えるが自分の気持ちが言えない。
そんな日常が繰り返され、私自身も「どう関わればいいのか分からない」と途方に暮れていました。
周りからは
「子どもの気持ちを深掘りしてあげて」
「どう思っているかを聞いてあげるといいよ」
と気持ちの言語化が必要だというアドバイスをもらうけれど…
そもそも“聞いても答えられない、自分の気持ちが言えない子”にどう関わったらいいのか、まったく分からなかったのです。
3 逆効果だった「どう思う?」の落とし穴
悩みが苦しく、私は夜な夜な「どうしたら自分の気持ちが言えないを解消できるのか」を検索していました。
そんなときに出会ったのが、発達科学コミュニケーション(以下発コミュ)で「繊細な子の心と脳を強くする親子の関わり方」を専門に教えている むらかみりりかさんでした。
悩みきって疲弊していた私は、思い切って個別相談を予約しました。
そのときりりかさんは、私の悩みにこう答えてくれました。
「どう思う?と聞かれて気持ちを言葉にするのは、繊細な子にとってとても難しいことなんです。
大丈夫。親子の関わり方で、ちゃんと気持ちは言語化できるようになりますよ。」
この言葉を聞いた時、メイはやっぱり繊細な子なんだなと確信し、ずっと苦しかった心に希望の光が差し込んだ気がして、とても嬉しくなりました。
この後すぐに発コミュを学ぶことを決意しました。
そこで学んだのは、繊細な子は
- 言葉を使い【聞く・考える・話す】力はあっても、気持ちを言葉にすることがとても難しい
- 自分の感情を認識する力がまだ育っていない
- 人の表情や感情への感受性が高く、注目されると脳が警戒モードに入ってしまう
- 感情を扱う脳のエリアが安心し落ち着かないと、考える脳のエリアは働かない
その結果、
「自分の気持ちが言えない → 分かってもらえない → 心を閉ざす」
という悪循環が生まれてしまうこと。
そして衝撃だったのが、私が良かれと思って声をかけていた「どう思う?」という言葉が、実は逆効果だったということ。
心と脳に届く声かけをしていけば、少しずつ感情のキャッチボールができるようになり、やがて自分の気持ちを「言葉」で話してくれるようになる。
驚きと同時に、「メイも変われるかもしれない!」と大きな希望を持つことができました。
4 気持ちを言葉にできるようになる親子の関わり方
学びを実生活に取り入れてみると、少しずつ変化が見えてきました。
「わかんない」で終わっていたメイが、自分の気持ちを言葉にできるようになったのです。
私が実践したのは、脳に届く3つのステップでした。
① 会話の間をあける
気持ちを理解して言葉にする脳の処理は、思っている以上にゆっくり。
一つ問いかけたら、10〜15秒は笑顔で待つことを意識しました。
矢継ぎ早に質問したり、急かしたり、責めたりしないことで、娘が安心して考えられるようになったのです。
② 聞き方を変える
「どう思う?」
ではなく、答えやすい2択やイエス・ノーで答えられるものに。
「さみしかったの?びっくりしたの?」
と具体的に聞くと、娘も「さみしかった」と少しずつ気持ちを言葉にできるようになりました。
③ ママも自分の気持ちを言葉にする
「ママは今日は〇〇があってびっくりしちゃったな~」
「メイとお話できて嬉しかったよ」
などと、私自身の気持ちを伝えることを意識。
こちらから気持ちを言葉にすることで、自然とメイも気持ちを表現してくれるようになりました。
こうした小さな積み重ねで、1ヶ月経ったころから「わかんない!」と言う回数が減り、親子で感情のキャッチボールができる瞬間が増えていったのです。
5「わかんない」が減って、素直な気持ちが言い合える親子に
少しずつ「わかんない!」と言わなくなり、気持ちを言葉にできるようになったことで、親子の会話がぐんと増えました。
学び始めて 5か月。今では「さみしかった」「嬉しかった」と素直な気持ちを言い合える仲に。
自分の気持ちを言語化できる力がついたことで、メイも少しずつ安心して人と関われるようになり、私自身も「気持ちを聞いて理解してあげられる喜び」を感じられるようになりました。
以前は自分の気持ちが言えないことで悩んでいたけれど、今はその時間を「親子で気持ちを伝え合うあたたかい時間」に変えて、これからも楽しんでいきたいと思います。
執筆者:たかしまきわ
発達科学コミュニケーション