1 明るく面倒見のいい子が、突然不登校に
我が家には小学校3年生の娘(通称:メイ)がいます。
どこに行っても「しっかりしてるね」「やさしいね」と言われる明るい子。
友達の面倒を見るのが得意で、先生からも信頼される“いい子”でした。
幼稚園の頃も、小学校に上がってからも、 「行きたくない」と言ったことは一度もありません。
けれど今思えば、小学校に上がった頃、毎朝のように「お腹が痛い」と言って保健室に行く小さなサインがありました。
私はその当時「緊張してるのかな」と思っていました。
そして小学2年の冬、兄の不登校が始まったとき、メイは言いました。
「なんで学校に行かなきゃいけないの?」
「私も行きたくない」
さらに追い打ちをかけるように、友だちとのちょっとしたトラブルがあり週の半分ほど登校する“五月雨登校”になりました。
そこで初めて私は、メイには繊細な一面があるのかもと気が付きました。
人の気持ちにとても敏感で周りの空気をすぐに感じ取ってしまう…
集団生活の中で知らないうちにたくさんのストレスを抱え込んでいたのです。
小学校3年生になってクラス替えがあると、更にクラスに足が向かない。
ゴールデンウィークが明けたころには、完全に不登校になってしまいました。

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2「行かないで!」毎朝癇癪で始まる小さな地獄
GW明け、不登校が続く中、私は仕事へ行く日々が続きました。
メイは不登校でひとりで過ごす時間が増えるほど、不安と寂しさは増しママへの気持ちがどんどん強くなっていったのです。
寝る前も朝も
「ママは仕事と私、どっちが大事なの?」
「1分でも早く帰ってきて!」
何度も「〇時には帰るね」と伝えても不安はおさまらず、仕事中1時間置きにTV電話を何度もかける毎日。
寝起きは隣にいないだけで泣き叫び、帰りが少し遅れただけで激しい癇癪。
どんなに「大好きだよ」と抱きしめても、
メイの不安は消えず、むしろ強くなっていくようでした。
「仕事をしている私は悪いのかな」
「どうしたらいいんだろう…」
「このままで、本当に大丈夫なの?」
出口の見えない不安や焦り、自分を責める気持ちばかりが募っていきました。

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3 ココロファインダーで分かった、繊細な子が感じる不安の理由
子供が2人とも不登校になった不安から、夜な夜な情報を集めていました。
そんな時、おうちでわが子の脳を伸ばす「発達科学コミュニケーション(以下、発コミュ)」に出会いました。
そこで目にした、
「繊細な子は、寄り添えば寄り添うほど不安定にしてしまう」
という内容があまりに衝撃で、もっと知りたいという思いが強くなり、私はすぐに個別相談に申し込みました。
個別相談では、心のコンディションと脳の育て方がわかる「ココロファインダー」というツールを使って、わが子の現在地を分析して頂きました。
このツールは、普段は見えにくい子どもの心のコンディションを5つの力でグラフ化し分かりやすく“見える化”できるものです。
ココロファインダーには5つのカテゴリーがあります。
①親子の愛着…安心と信頼の絆を築く力
②ストレスコントロール力…ストレスを自分で調整する力
③心のブレーキ…行動を抑制する力
④心のアクセル…行動や挑戦を促す力
⑤適応力…環境に合わせて自分らしく行動する力
この5つの力を、どんな順番で育てていけば、子どもの”行動”につながるのかを分析できるため、わが子専用の「脳の育て方」が分かります。
そして、なぜこれほどまで「行動」させることが重要なのか?
それは、脳は「行動することで育つ」からです。

メイは、脳を育てるために1番の土台となる「親子の愛着」という数値がとても低く、それに対してストレスコントロール力が高めであることが分かりました。
「親子の愛着」とは、⼦どもが親に安⼼と信頼を感じられる⼼のつながりや絆のこと。親が⼦どもを信じ、⼦どもも親を信じられる、そんな相互の安心と信頼の関係が心の土台になります。
当時の私は、仕事とメイの不安の板挟みの中で、家庭をどうにか回すことで精一杯。不安を感じて癇癪を起こすメイに、
「今日はすぐ帰るからね」
「〇〇用意してあるよ」
と、つい先回りの声かけをして安心させようとしていました。
寝る前も、
「ママすぐ隣にいるからね」
「大丈夫?トイレ行った?」
と、不安を感じる前に次々と指示や声をかけ、不安を取り除こうとし過ぎていました。

つまり、ストレスコントロール力が高く出ていたのは、メイ自身の力ではなく、私の“過干渉”が一時的に支えていた結果でした。
ギスギスした空気の中で、親子の安心と信頼の関係性はとても不安定で心の土台を築けていなかった。それが数値として表れていたのです。
メイの心の状態がはっきりと“見える化”されたことで、私は気づきました。
「私が関わり方を変えることで、娘は私がいなくても生き生きと過ごせるようになってほしい」
そう思い、迷わず発コミュの受講を決意したのです。
そこで私が学んだのは、繊細な子は、「不安」や「恐怖」といった感情に反応する脳の部分(扁桃体)が敏感に働きやすい特徴があるということです。
本来この扁桃体は、危険を察知して身を守るための大切なセンサーです。
けれど親子の愛着が不安定だと、子どもは「ママと離れる=不安」と感じやすくなります。
その不安をキャッチした脳が「危険だ!」と過敏に反応し、「ママがいなくても大丈夫!」と冷静にはなれず不安に支配されてしまうのです。
そうすると今までできていたことさえ行動することが難しくなってしまいます。
さらに、寄り添いすぎる過保護な対応は、親子の愛着を不安定にし、子どもの脳をストレスに弱くしてしまうことも知りました。
今までは逆効果な対応をしていたことにショックを隠せませんでした。
逆に、心と脳に合った関わり方をすれば、親子の安心と信頼の土台が安定し、メイの不安はやわらぎ、心の自立につながる。
私はそう信じ、学んだことを実践していきました。

4 子どもの不安を和らげる、安心の届け方
メイの不安を少しでも和らげるために、毎日の親子の関わり方をほんの少し変えていくことから始めました。
笑顔・ゆっくり・優しい声で接する
繊細な子は、言葉の内容よりも“表情や声のトーン”を先に感じ取ります。
毎日のように癇癪が続くと、つい余裕をなくしてしまうこともありますが、あえて意識的に「笑顔」「間を取る」「優しい声」で話しかけるようにしました。
イライラしそうな気持ちがあっても、まるで女優になったつもりで接していきました。
笑顔で落ち着いたゆったりとした優しい声で接してあげると、ネガティブな感情を抱かず不安を解消することができます。
否定をやめて、できていることを肯定する
「起きてきたんだね」
「お着替えしてるね」
「美味しそうに食べてるね」
そんな“今できていること”を実況中継のように言葉にして伝えるようにしました。
逆に指示や注意など否定的な注目は、「わたしダメだ、どうせできない」とネガティブなセルフイメージを作ってしまいます。
当たり前に見える行動でも、言葉で伝えることで
「自分はできている」という感覚が、子どもの脳に積み重なっていきます。
『声かけ』を辞めて『待つ』
子どもが不安そうにしていたり、できないことが増えていると、心配になってついつい
「〇〇した?」「大丈夫?」「ママと一緒にする?」
と先回りをして声をかけてしまいがちです。
しかし、子どもが気付き・考え・動く前に声をかけてしまうことになります。
わが子と自分の距離が近すぎるとも感じていたので『声かけ』を辞めて『待つ』ことで少し距離を保ってみました。
子どもの脳が自分で気付き・考え・動く時間を待ってあげることで、『自分でできる』ことを脳が学習していきます。

癇癪やネガティブな発言には反応しない
癇癪が起こると、つい「やめて!」「何でそんなこと言うの?」と反応してしまいがちです。
けれど叱ったり注意したりすると、子どもは「ママが反応してくれた」と感じ、「癇癪を起こすことで感情を伝える」クセがついてしまいます。
そこで私は、“感情に巻き込まれない”ことを意識しました。
癇癪が始まったら、「ママは全然気にしていませんよ〜」というスタンスで静かにスルー。
素知らぬ顔で洗濯物を畳んだり、その場で耐えられなさそうな時はトイレに行ったり。
冷たく無視するのではなく、子どもを信じて落ち着いて見守る姿勢を大事にしました。
そして、子どもの感情が落ち着いて話しかけて来たり近寄ってきたら、穏やかに声をかけます。
”言葉で気持ちを伝えるとママはちゃんと分かってくれるんだ”と脳に安心を与えられるからです。
私の対応を“脳が安心する関わり方”に変えたことで、1ヶ月ほど経つ頃には激しい癇癪が減り始めました。

「言葉で伝えれば、ちゃんとわかってもらえる」
その体験の積み重ねが、メイの中に落ち着きを取り戻していったのです。
「ママがいないとダメ」と言って離れられなかったメイも、次第に穏やかに過ごせる時間が増えていきました。


5 笑顔で「いってらっしゃい」が言える朝
学び始めて約5ヶ月。
少しずつ、メイの中に確かな変化が見えるようになりました。
あれほど「私と仕事、どっちが大事なの?」と泣いていたメイが、今では落ち着いて過ごせる時間が増えてきました。
不安を癇癪でぶつけるのではなく、「寂しかった」「早く帰ってきてほしいな」と、自分の気持ちを素直に言葉で伝えられるようになったのです。
仕事中、1時間おきにかかってきていたTV電話もなくなり、「1秒でも早く帰ってきて」と言わなくなりました。
私は、帰り道に買い物をしたり、病院に寄ったり、少しだけ自分の時間を持てるようになりました。
そして何より、出かける私に向けて”怒り顔・泣き顔”ではなく、笑顔で「いってらっしゃい」と言ってくれるようになったのです。
ココロファインダーの数値も、この5ヶ月親子の関わり方を変えたことで変化が見られました。

まず、親子の愛着がぐんと伸びて安心と信頼の関係性の土台が安定してきました。
そして、過保護な関わりをしなくなったことでストレスコントロールができるようになり、ママがいなくても大丈夫と思えるようになっています。
ココロファインダーには、”左から順に伸ばしていく”という法則があります。その通りに、メイの心の力も順調に伸びています。
不安でいっぱいの子どもを置いて仕事に行くことに胸を痛めた日々も、親子の信頼の土台が整うにつれて、少しずつ“安心”に変わっていきました。
泣き声で見送られた朝が、今では「いってらっしゃい」の笑顔に変わり、安心が広がるにつれて、私の心にも余裕が生まれました。
たった5ヶ月ですが、親子の関係は“離れる不安”から“信頼して見送る安心”へと確実に変わっています。
これからも、親子の安心と信頼の関係の土台を育みながら、メイの心の自立をあたたかく見守っていきたいと思います。

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執筆者:たかしまきわ
発達科学コミュニケーション





