1. 「やりたい!」気持ちはある、初めての場所が苦手な敏感な子
みなさん「おさるのジョージ」を知っていますか?
世界中で愛される好奇心旺盛なおさるさんと、全身黄色い服に包まれた優しいおじさんが一緒に住んでいる楽しいお話です。
わが家には、当時小学1年生の娘と年中の息子がいました。2人とも昔から好奇心旺盛!
「これ何?」
「やってみたい!」
「どうなってるの?」
興味を持つと、自分で確かめたくてたまらない子どもたちです。
そんな2人が大好きなのは「おさるのジョージ」。何にでも興味を持ち、「どうなるんだろう?」と思ったら自分で試してみるジョージを見て、
「ジョージっていいなぁ」
「何でもできるなぁ」とよく話していました。
一方で、2人には苦手なこともありました。それが、初めての場所や知らない人の中に入ることです。
家族だけで出かけるなら、初めての場所でも楽しめるのに、知らない人と一緒に何かをするとなると、まず周りを見て様子をうかがいます。
少しずつ慣れて、ようやく調子が出てきた頃には、もう帰る時間。帰り道で、「もっとやりたかったー!」と泣き叫ぶこともしばしばありました。
やりたい気持ちはある。好奇心だっていっぱいある。それなのに、初めての場所や人への不安が大きいと、最初の一歩がなかなか出ない。
そんな子どもたちを見ながら私は「どうしたら、この子たちは最初からもっと楽しめるんだろう?」と考えていました。

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2.敏感な子が「不安をなくす」より、安心して「やってみたい」を出せる準備をしよう
そんなある日、子どもたちが喜びそうなイベントを知りました。
園や学校、おうちではできない
「こんなことやってみたい!」
「こんな実験をしてみたい!」
そんな子どもたちのアイデアを大人の「ダメ!」を封印して叶える「いたずら万博」です。内容を聞いた瞬間、「これは2人とも絶対好きそう!」と感じました。
ただ同時に、気になったこともありました。イベント当日だけではなく、その前からオンラインで初めて会う大人や子どもたちと話しながら、一緒に企画を考えていくことです。
以前の私だったら、「人見知りを何とかしなくちゃ」「ちゃんと話せるようになってからの方がいいかな」と考えていたかもしれません。
発達科学コミュニケーションを学んでいた私は、このとき、「苦手をなくしてから挑戦する」のではなく、「この子が安心して挑戦するには何が必要だろう?」と考えました。
初めての場所や人が苦手だからといって、挑戦できないわけではありません。敏感な子の不安をなくすことを目指すのではなく、不安があっても
「やってみたい!」
「知りたい!」
「面白そう!」
そんな気持ちが動きやすくなるように、準備をしてあげればいい。そこで、”おさるのジョージ大作戦!”子どもたちへの伝え方を3つ考えました。

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3.敏感な子の「やってみたい!」を引き出した3つの工夫
①話すタイミングを選ぶ
最初に、私が意識したのは、どう伝えるかより、いつ伝えるかでした。
当時、娘は体調や学校生活の疲れが重なり、少し余裕がない時期でした。
脳が疲れているときに、いくら楽しそうな新しい予定を伝えても、「行かない」「無理」と、興味を持つ前に断ってしまうことがあります。
そこで私は、娘の疲れが回復し、表情や会話から「今日は余裕がありそうだな」と感じるタイミングを待ちました。
子どもを誘うときは、言葉だけではなく、今、その話を受け取れる余裕があるかな?と見ることも大切です。
②子どもの「好き」から話を始める
次に考えたのは、2人が大好きなもので興味を引き出すこと。それが「おさるのジョージ」でした。
いきなり「こんなイベントがあるよ。参加してみる?」と聞かれたら、大人でも不安が先に出てしまうことがありませんか?
そこで夕食前、「ジョージ1話だけ見ない?」と誘い、一緒にテレビを見ました。
そして夕食を食べながら、「今日のジョージも面白かったね」と話したあと、「そんな2人が、ジョージみたいに自分でいたずらや実験を考えられる方法があるんだけど、聞いてみる?」と問いかけました。
すると、
「ジョージになれる?」
「何それ?」
「いたずら?」
「実験?」とすぐに興味津々に!
その後、イベントについて話すと、
「めっちゃ楽しそう!」
「やりたい!やりたい!」
と目をキラキラ輝かせました。
新しいことを伝えるとき、大人が伝えたいことから始めるのではなく、子どもがすでに持っている「好き」「知りたい」とつなげて話してみる。
それだけで、「知らないから不安」よりも「もっと知りたい!」という気持ちが動きやすくなりました。

③不安を一つずつ整理して、最後は自分で選んでもらう
「楽しそう!」と思ったからといって、不安がなくなったわけではありません。
初めて行く会場だと知ると、
「ママ、方向音痴なのに行けるの?」
「地図ある?」
「どうやって行くの?」
知らない人たちも参加するとわかると、
「誰がいるの?」
「何人くらい?」
「先生もいる?」と次々に質問が出てきました。
私は、そこで「大丈夫、大丈夫!」と終わらせるのではなく、一つずつ答えていきました。
場所については、
「まだ場所が決まっていないから、わかったら一緒に調べよう」
人数については、
「まだ何人かはわからないけれど、学校よりは少ないよ」
先生については、
「先生はいないよ、誰も怒らない場所だよ」と、今わかっていることを一つずつ作戦会議をするように伝えていきます。
すると2人は、「わかった。で、いつ行くの?」と次のことを考え始めました。
そして不安をひとつずつ整理したあとは 、参加方法を伝えました。
ひとつは、当日会場へ行き、やりたいものを選んで楽しむ方法。
もうひとつは、事前のオンラインミーティングから参加して、
「何する?」
「これ面白そう!」
「これやってみたい!」と、子どもたち自身でイベントを一緒に作っていく方法です。
私は、「どっちがやりたい?」と聞きました。
私の中では、どちらを選んでもOK。ママが決めるのではなく、内容を知ったうえで子ども自身に選んでほしかったからです。
すると2人は、「自分たちで考える方がいい!」と迷わず選びました。

4.「恥ずかしいけど、やりたい。どうしたらいい?」に変わった言葉
オンラインで知らない人たちと話すことを説明すると、娘は、「パソコンで子どももお話しするってこと?最高じゃん!やるやる!」と、予想以上の反応でした。
一方、息子はこう言いました。
「ボクは恥ずかしいな」こちらは想定していた反応でした。
初めての人は恥ずかしい。知らない場所は不安。
その気持ちはなくなったわけではありません。
ところが、そのあとに続いた言葉がありました。
「やりたいんだけど、どうしたらいい?」
私は、この言葉に驚きました。
「恥ずかしいからやらない」ではなく、「恥ずかしい」という自分の気持ちも、「やりたい」という気持ちもわかり、そのうえで「どうしたらできる?」と考えていたからです。
子どもたちは、不安がゼロになったから動けたのではありません。
苦手を克服したからでもありません。
「やりたい」という気持ちを大切にしながら、自分にできる方法を考え始めていたのです。
イベントについて話し始めてから、ここまでわずか5分ほど。私はもっと説明しないと伝わらないと思っていたので、拍子抜けしました。

5.初めての場所が苦手な敏感な子は「不安をなくす」ことだけが答えじゃない
この経験から、私は「苦手をどうするか」ではなく、その奥にある「やってみたい」に目を向けるようになりました。
そこには、
「知りたい」
「やってみたい」
「自分で試してみたい」
という、ワクワクする好奇心がたくさんあったのです。
私がしたのは、
・話を受け取れるタイミングを選ぶ
・その子の「好き」と新しい挑戦をつなげる
・不安を一つずつ整理し、最後は子ども自身に選んでもらう
この3つです。
こうして安心して挑戦できる準備をすることで、不安があっても「やってみたい」を選ぶことができる。
私は子どもたちの姿から、そう教えてもらいました。
敏感さや繊細さを持つ子を育てていると、
「この子にはまだ早いかな」
「無理をさせない方がいいかな」と、
ママの方が先に挑戦を諦めそうになることがありませんか。
そんなときは、「できるかな、できないかな」だけではなく、「この子が安心して『やってみたい』を出すために、何があったらいいだろう?」と考えてみる。
すると
「やってみたい!」
「どうしたらできる?」という、ママがまだ知らなかったわが子の力に出会えるかもしれません。

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