1.「個室で家族だけがいい」から始まった旅
我が家の小学4年生の長男(通称ユウくん)は、小学1年生の時に不登校を経験し、それからしばらくして母子登校が始まりました。
そして、ユウくんが小学2年生の7月、悩みながらも、子どもとの関わり方を模索する中で出会ったのが、脳科学・心理学・教育学をベースにした発達科学コミュニケーションの学び(以下:発コミュ)でした。
繊細な子の心と脳を強くする親子の関わり方を教えている、むらかみりりかさんのもとで、家庭での関わり方や日常の声かけに目を向けていく視点に触れたことで、子どもが少しずつ変わっていきました。
我が子とどう関わってきたのかについては、以下で紹介しています。よろしければご覧ください。

2026年9月、子どもの「やってみたい!」を、大人の当たり前を封印して叶えよう!という発コミュの参加型イベント「いたずら万博」があると知り、私は小学4年生のユウくんと弟を連れ、初めて参加することになりました。
ずっと楽しみにしていた、いたずら万博。
ところが直前になって、相部屋で申し込んでいたユウくんに不安が出てきました。
「個室で家族だけがいい」
不安からブレーキがかかり、相談して部屋を調整・変更していただきました。
私は静岡から、子どもたち2人を連れて二泊三日の旅へ。
前日には、
「楽しみすぎる!」
と言っていたユウくん。
個室に変更すると、
「うん。なんかママと弟と3人になりたいときもあるよなぁって思ってたんだ。」
と話しました。
一方、弟は、
「お友だちと一緒がよかったなぁ」
と言いました。
するとユウくんが、
「寝るまではお友だちの部屋に行って遊ぼうよ」
と提案しました。
同じ家族でも、それぞれ安心する場所や、一緒にいたいと思う相手は違います。
こうして、我が家の二泊三日の旅が始まりました。

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2.揺れても、自分で戻れる場所があった
新大阪駅に着くと、連休中ということもあり、想像以上の人混み。
3人とも、
「うわーっ」
となりました。
するとユウくんが、
「一回、外の空気吸いたい。あ、あそこ!外が見える!」
と言いました。
一度外に出て、水分をとり、何でもない話をして、気持ちを整えてから食事へ。
その後、笑顔で新大阪駅を出ました。
現地でも兄弟げんかなど、刺激の多い初日でした。
前日準備を無事に終え、旅館へ。
部屋に入ると、ユウくんが大きく息を吐いて、
「はぁ~」
と一言。
そして部屋のドアを閉めました。
その姿を見て、
「やっぱり個室で良かったな」
と思いました。
そのとき、私はふと気づきました。
個室は、「人と関わらないための場所」ではなかった。
「人と関わるために戻れる場所」だったんだ。
その後、ユウくんは少し気持ちが整ってきたようで、大部屋へ。
やりたかったポケモンカードができないと分かると、その場に無理に合わせるのではなく、テレビを見て気持ちを整えていました。
しばらくすると、別の個室で別の子とポケモンカードを楽しみ、笑顔になっていました。
自分のやりたいことと、その場で起きていることが違っても、無理に合わせるのではなく、一度戻って自分を整え、また自分に合う場所へ行く。
私はこの旅で、
「揺れないこと」が大事なのではなく、
「揺れたあとに、自分で戻る力」が育っていることに気づきました。
これまでの私は、「子どもが崩れないようにする」ことを考えていたのかもしれません。
しかし今は、
「子どもが自分で戻れるように、環境を整える」
という見方に変わってきました。
安心できる場所があれば、外の世界へ出ていける。
そのことを、初日に体感しました。
私はというと、いろんなママと話せて楽しかったものの、りりかさんとは緊張してなかなか話せませんでした。
夕ごはんでは、勇気を出して少し話せました。
それだけでも私にとっては大きかったのです。
子どもたちの成長している姿を見て、
「私も明日はさらに一歩進んでみよう」
そう心に決めた旅の一日目でした。

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3.「ユウくんてすごく優しいですね」の一言
二日目、いたずら万博当日。
子どもたちは少しずつ私から離れて、それぞれ思い思いに楽しんでいました。
ユウくんは、水鉄砲ジュースを、
「5杯ください!」
と注文して、びしょびしょになりながら笑っていました。
逃走中や劇の鑑賞も楽しそうでした。
一方で、集合写真には入りたくないと言いました。
私は、
「それでいいんだ」
と思いました。
そんな二日目に、心に残ったことがありました。
「ユウくんてすごく優しいですね」
と言ってくださった方がいました。
私は、
「まだ会ってすぐなのに?」
と驚きました。
それは、私にとって単なる褒め言葉ではありませんでした。
ユウくんは、学校など苦手な場所、不慣れな場所では、不安や緊張からぶっきらぼうだったり、きつい言い方をしてしまうことが度々ありました。
まわりが敵に見えてしまうこともありました。
母子登校をしていた私は、目の前でそんな我が子の姿を見ていました。
そして、まわりの子どもたちの反応も見えてしまい、辛いことが度々ありました。
公園など、友だちのママもいる状況では、ママさんたちの反応も気になりました。
「本当の姿ではないのに、この子はもっと優しい良いところもたくさんあるのに、誤解されてしまう」
と辛くなったりしました。
何が辛いって、
「みんなと同じように動けないこと」
より、
「わかってもらえないこと」
でした。
我が子の内側にあるものが、外から見た行動だけで判断されてしまうことでした。
「ユウくんてすごく優しいですね」
という言葉が、
「この子をちゃんと見てくれる人がいる」
ということを、その場で体感させてくれました。

4.「この子の世界は、ここだけじゃない」
りりかさんが、
「いたずら万博は、世界一安心安全な場所」
と話していました。
その言葉を、私は今回、親子で体感しました。
ユウくんは、みんなと同じペースで動くことばかりではありませんでした。
その場にいても、やりたいことが違えば離れる。
気持ちが整ったら、また戻る。
自分に合う場所で楽しむ。
私は、その姿を見ながら、
「それでいいんだ」
と思えるようになっていました。
みんなと同じようにできなくてもいい。
無理に合わせなくてもいい。
自分のことをわかってくれる人は、きっといる。
「なんかいいね」って思ってくれる人がきっといる。
そんな世界がきっとある。
そして今回、実際にユウくんを見てくれる人がいました。
私はそこで初めて、
「この子の世界は、ここだけじゃない」
と、心から思えたのです。
以前の私は、目の前の困りごとをどうにかしようとすることに一生懸命でした。
しかし今は、その先にある世界にも目を向けられるようになりました。

5.子どもたちが自分たちで人とつながっていた
三日目。帰路に着く日の朝。
6時になると、友だちが部屋を訪ねてきました。
子どもたちはすぐに起き上がり、朝から元気いっぱい。
みんなで朝風呂にも入りました。
朝食後、今度はうちの個室に7~8人がやってきました。
すると、子どもたちの間で自然に会話が始まりました。
「ポケカ対戦しよう」
「おれ先に○○ちゃんとやるから次ね」
「じゃ、○○くん、ポケカやらない?」
「やらない。ぼくは見てるだけでいい」
「○○のカードじゃん。すげ~」
「こっちはレアなやつだから、見るだけにして。さわらないで」
「わかった。○○のカードはある?」
「ポケカやってるから、ボールはもう少しあっちでやって」
自分の気持ちを伝える。
相手の気持ちを聞く。
やりたいことを提案する。
断られても、それを受け止める。
一緒にいるけれど、無理に同じことをしなくてもいい。
私はその様子を、にやにやしながら見ていました。
以前だったら、
「けんかにならないかな」
「嫌な思いをする子はいないかな」
「大丈夫かな」
と、心配していたと思います。
それが今回は、
「次はどんなふうに関わるんだろう」
と、子どもたちのやりとりを楽しみながら見ていました。
そのとき、以前りりかさんの発信で見た言葉が浮かびました。
「安心して人を見る力」
「自分の気持ちを伝える力」
「誰かに一歩近づく力」
「一緒に『やってみたい』をやってみる力」
そして、
「人とつながるための脳の力というのは、親子の会話を通して育てていける」
という言葉。
「まさに、これだ!」
と思いました。
人とつながる力って、こういうことなんだ。
親が間に入って調整しているわけではありません。
私が何かを教えているわけでもありません。
目の前で、子どもたち自身が関係をつくっていました。

6.子どもが自分で戻れるように、環境を整える
今回の旅を通して、私は、
「この子は、ちゃんと人とつながる力を持っているんだ」
と実感しました。
そして、子どもだけではなく、私自身もいっぱいいっぱいになったら、いったん離れて休んで、整ったら戻ればいい。
発コミュを学んだから、一度もイライラしなくなったわけではありません。
疲れたら、いっぱいいっぱいになる。
それでも、
「あ、今の私はいっぱいいっぱいなんだ」
と気づいて、戻ることができる。
子どもも私も、無理になったら離れていい。
休んでいい。
整ったら、また戻ればいい。
安心を確保することと、世界を広げることは、反対ではありませんでした。
むしろ、安心できる場所があるからこそ、そこからまた外へ出ていける。
これからも、子どもたちが、
「やってみたい」
「一緒に遊びたい」
「またやりたい」
と思える場所へ。
その先で、また新しい人と出会い、新しい経験をしていけたらいい。
今回の旅で感じた、
「安心できる場所があるからこそ、人とつながり、自分で世界を広げていける」
ということを大切にしながら、これからも親子で少しずつ世界を広げていきたいと思います。

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