「またか…」繊細な子どもの1時間以上泣き叫ぶ癇癪がピタッと落ち着く感情の脳の正しい対応

思い通りにいかないと些細なことで泣き叫ぶといった癇癪(かんしゃく)を起こす繊細な子どもに、「寄り添っても、共感しても、なかなか解決しない…」と悩んでいませんか?実際に1時間以上泣き叫ぶわが家の3歳の息子の癇癪がピタッと落ち着いた、癇癪の正しい対応方法をご紹介しますね。

1.些細なことで泣き叫ぶ繊細な子ども

 

「え、また⁉ さっきも泣き叫んでたのに…」

 

兄に家のドアを開けられて泣き叫ぶ、お風呂に入る順番が気に入らなくて激しく地団駄、公園から帰りたくなくて床に寝転んで手足をバタバタ…。

 

わが家の年少の繊細な息子(通称スカイくん)は、そんなふうに1日に何度も癇癪を起こしていました。

 

「寄り添えばいい、共感すればいい」とよく言われるけど、どれだけ優しく声をかけても、寄り添ってもスカイくんの泣き叫ぶ声はヒートアップするばかりでした。

 

「どうしたらいいの?」「もう、疲れた…」

 

そんなふうに毎日悩んでいました。

 

 

2.癇癪が起きる理由と共感が逆効果な理由

 

ここでまず、癇癪(かんしゃく)とは、泣き叫んだり、物を投げたり、手足をばたつかせるなど、感情がバクハツし、感情を調節することが難しい状況のことです。

 

この時、脳の中では「危険アラーム」が鳴り続けている状態です。

 

脳には、偏桃体(へんとうたい)という、危険を感じたときに反応する部分があります。

 

イヤなことや思い通りにならないことがあると、「危険だ!」と判断し、「危険アラーム」を鳴らします。

 

その結果、子どもはパニックになって泣き叫んだり大暴れするのです。

 

特に、幼児さんは、自分の感情調節や自分の気持ちを言葉で伝える力が成長中なので、思い通りにいかないとすぐに泣き叫ぶ、床に寝転がって手足をばたつかせる、地団太を踏んだりして、自分の感情を表現するのです。

 

また、繊細な子の脳は、自分の感情調節は苦手ですが、他人の感情にはとっても敏感に反応します。

 

すると、思い通りにならずに癇癪を起こしている時に、「イヤだったんだね」と寄り添ったり共感したりすると、「そうだ!ぼくはやっぱりこれがイヤなんだ!」とネガティブな感情が増してしまい、癇癪がヒートアップしてしまうのです。

 

 

3.好ましくない行動には注目せず、好ましい行動に注目する

 

では、わが家の1時間以上泣き叫ぶスカイくんの癇癪がゼロになった、正しい癇癪対応を紹介しますね。

 

それは、「好ましくない行動には注目せず、好ましい行動にのみ注目する」という対応です。

 

まず、自分の気持ちを癇癪でぶつけてきた時には注目をしません

 

「1時間も泣き叫ぶのに、無視して大丈夫?」と思いますよね?

 

私も同じように、最初は「見て見ぬふりをするなんて、かわいそう…」と不安でした。

 

しかし、実際にやってみると、驚くほどスムーズに癇癪が落ち着いていったのです。

 

ある日、スカイくんが「ぼくがドア開けたかったのに!」と泣き叫び始めました。

 

「そうだね、スカイくんが開けたかったんだよね」と声をかけそうになりましたが、ぐっとこらえて「見て見ぬふり」をしました。

 

視線を合わせず、声をかけず、ため息や怒りのオーラを出さないように気を付けました。

 

代わりに、掃除機をかけながら、どんな行動になったら肯定しようかな」と考えながら待ちました。

 

すると、スカイくんは最初はさらに大きな声で泣いていたのですが、少しずつ声のトーンが下がり、「ママ~」と駆けよって来ました。

 

その瞬間、私はすぐに穏やかな表情で「なぁに?」と穏やかな声で答えました。「ドアあけれなくて悲しかったのかな?」と聞くと「うん」と教えてくれました。

 

私はすかさず、「そっか、ドアあけたかったんだね。教えてくれてありがとう」と伝えました。

 

この対応を繰り返すうちに、スカイくんは「泣いてもママは反応しない。だけど、言葉で伝えると見てくれる!」と気付いたのでした。

 

1時間以上泣き叫んでいた癇癪は、だんだんと短くなり、1ヶ月後には癇癪を起すことはなくなっていたのです。

 

 

繊細な子の癇癪は、好ましくない行動には注目せず、好ましい行動に注目する」という脳のしくみに合った対応に変えると落ち着きます。

 

「見て見ぬふり」をすることで、ママの意識が別のところに向き、自然とラクに対応できるようになります。

 

癇癪が始まったら、雑誌を読んだり、トイレに行ったり、音楽を聴いたり、掃除をしたり、違う部屋に行ったり、スマホで天気予報を調べたりするなどで、意識をそらしてみてくださいね。

 

執筆者:まるやま あやか

(発達科学コミュニケーショントレーナー)

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