1.不登校になり家で過ごす繊細な子
我が家には、感受性の豊かな繊細な子(通称優士)がいます。5年生の12月、些細なお友達トラブルをきっかけに不登校になりました。
最初の1カ月は、少しのことで激しく怒り出す癇癪や感覚過敏が悪化していましたが、肯定の関わりで落ち着きを取り戻していました。しかし、お友達との関係に自信が持てず、学校には戻れないまま家で過ごす日々が続きました。
2.不登校勉強遅れを心配する親
そんな中、夫は「学校に行かない時間にワークやりなさい!」と、優士にワークを買い与えました。しかし、優士は「めんどくさい、イヤだ!」と、断固拒否します。夫は、「もう6年生になるんだぞ!このままだと勉強についてけなくなるぞ!」と、何度も伝え、険悪なムードになっていました。優士のやる気は一向に上がる気配はありませんでした。
夫が不登校勉強遅れを心配する気持ちも分かりました。しかし私は、「今大事なのは、優士の自信を育てること」と考えていました。夫の「勉強が一番だ!」という考えとは折り合いがつかず、意見は平行線のままでした。
3.親の役目は勉強遅れより繊細な子の「脳を育てる」こと
私は、発達科学コミュニケーションを学んでから「脳に良いことは何か?」を考えるようになりました。
なぜなら、繊細な子は周りの情報を敏感に受け取る力が強い反面、受け取った情報を言葉にする力や表現する力は成長途中だからです。そのため「勉強しなさい!」と命令すると「このままではダメなんだ・・」「学校に戻りたいけど、今のままでは難しいんだ・・」と、焦りや不安を感じさせ、自信を失ってしまいます。
だからこそ、親ができることは「不登校勉強遅れを何とかすること」より、「繊細な子の脳を発達させること」です。学校から離れ、ストレスが減っている今だからこそ、親子の会話を通して、集団生活の中で「自分らしく過ごせる力」を育むことが何よりも大切なのです。
4.繊細な子の好奇心スイッチを押したリアル体験
今、優士には「ホタテ漁師になり保護犬活動をする」という夢があり、進学したい大学も決めています。
ある日、夢のきっかけとなった「ホタテ漁師のYouTuberさんに会いに行こう!」という話しになりました。優士と相談し、ダイレクトメッセージを送り、北海道へ出発しました。
残念ながら、憧れのYouTuberさんに会えませんでしたが、実際のホタテ漁船や加工場、大量のホタテ貝殻の山、漁業組合、地域のスーパーや役場まで、画面越しで見ていた世界をリアルに体験し、「ここに住んだら・・」と夢を膨らませながら楽しんでいました。
すると、道中でこんな会話が生まれました。
母 「ここってオホーツク海?」
優士 「オホーツク海峡って言うのがあるんだよ」
母 「何それ?海じゃないの?」
優士 「日本海とオホーツク海を分けてる所だよ」
私が優士の知識に驚いていると、「さっきみた北方領土調べたよ!」と、自主的に学び始めていたのです。
私は、ただ
「そうなんだ!」
「それでそれで?」
「どうやって調べたの?」
「これってどういう意味なの?」
と、興味関心を示しました。それだけで、優士の知識は言葉として表現されアウトプットがどんどん増えていったのです。
5.リアル体験から歴史に夢中になった繊細な子
帰宅後も、「なぜ北方領土が返還されないのか」「ロシアと日本の関係」と、どんどん深掘りし、ついには第一次世界戦まで調べるようになりました。今では、歴史好きな夫や長男と3人で世界史に夢中になり、本を読むようになりました。
繊細な子の好奇心スイッチを押してあげれば、自ら学び始めます。
「勉強しなさい」ではなく、繊細な子の「好奇心を伸ばす声掛け」を意識してみて下さいね。
執筆者:増山陽香
(発達科学コミュニケーション)