1.兄弟喧嘩ばかりで疲れる日々
我が家には、感受性が豊かな繊細な子(通称:優士、小5)と、優士の兄(中3)がいます。
以前は喧嘩をしてもすぐに仲直りをしていた2人でした。しかし、優士が学校で些細なお友達トラブルが起きるようになった辺りから、兄弟喧嘩が激しくなっていきました。優士の感覚過敏がだんだん強くなり「この服おかしい!」と騒ぐようになると、2人の様子はさらに変わりました。
兄 「そんなことにイライラするなよ!」
優士「兄ちゃんにオレの気持ちなんて分かる訳ない!」
このように感覚過敏が引き金となって、兄弟喧嘩ばかり起こり、暴言だけでなく、手足が出てしまうほど激しい兄弟喧嘩に発展することが増え、私は見ているだけでどっと疲れるようになりました。
2.兄弟喧嘩に母の「やめなさい!」は逆効果!
兄弟喧嘩ばかりの毎日。私は何度も「気にしなくていいからやめなさい!」と注意しましたが
「兄ちゃんが先に叩いてきた!」
「優士の味方ばっかりするな!」
と、私まで巻き込まれ、一緒にイライラしていました。
小さな口論から大喧嘩に発展し、叩き合ったり、物が壊れたり、壁に穴があいたりして、どちらかが怪我をしそうな状況でした。さらに、優士は感覚過敏を指摘され、余計に服が着れず、癇癪を起こしてしまうことも増えていました。本当に兄弟喧嘩をやめてほしくて、
「いい加減にやめなさーい!!」
と、毎日何度も注意をしても、全く効果はなく、むしろ兄弟喧嘩は悪化していました。
3.繊細な子の脳の仕組みと兄弟喧嘩ばかりの関係
兄弟喧嘩ばかりなのは、実は繊細な子の脳の個性が関係しています。
繊細な子の脳は、情報や刺激を感覚で受け取る力が強いため、受け取った情報を脳の中で処理してアウトプットする力が追いつかず、怒ったり、泣いたり、感情的になりやすい特徴があります。
特に感覚過敏があると、音、触覚、視覚に刺激を過剰に受け取ってしまっている状況にあるため、些細なことに過剰に反応しやすくなります。脳はストレスでいっぱいとなり、お子さんはより攻撃的な行動をとるようになってしまうことがあるのです。
そのため、兄弟喧嘩の最中に
「叩くの止めなさい」
「その言葉は止めなさい」
と注意をすると、さらに脳のストレスが高まり、兄弟喧嘩が激しくなってしまうのです。
4.兄弟喧嘩ばかりの毎日を減らした母の関わり方
私が間に入れば入るほど激しくなるため、兄弟喧嘩を止めることをやめました。その代わりに、日常生活の中で2人の脳に安心を届ける声掛けを始めました。
①兄弟それぞれ肯定する
兄弟喧嘩中に「やめなさい」を伝える代わりに、兄弟喧嘩が落ち着いているタイミングで、その日見つけた好ましい行動をそのまま伝えます。
中3の兄
・「遅くまで勉強お疲れ様」
・「今日はご飯2杯もおかわりしてビックリしたよ」
・「背が高くて頼りになるよ」
・「毎日ゴミ捨てありがとう。めっちゃ助かってるよ」
・「友達と楽しそうに笑っててお母さんも嬉しいよ」
小5の優士
・「おはよう、自分で起きてきたね」
・「魚を美味しそうに食べてて嬉しいな」
・「優士のおかげで部屋がきれいで助かるよ!」
・「料理手伝ってくれてありがとう」
・「星が見たいって言ってくれて、夜のお散歩楽しかったよ!」
2人の好ましい行動を言葉で伝え続けることで、子ども達は少しずつ喧嘩の回数が減っていったのです。
②繊細な子の逃げ作戦
優士は、感覚過敏が強いため、兄の些細な言動にストレスを感じやすい状況にありました。そこで、兄の大きな声やちょっかいに反応しそうなときには、「別の部屋に行こうか?」と、声を掛けるようにしました。
特に感覚過敏が強いときには、「自分を守るために、逃げることは強さ」を伝え続けるうちに、優士自身が敏感さが強いときには、自分から場所を移動する力も身についてきました。
優士の感覚的なストレスが減ると、イライラは少なくなり、兄も気にすることはなくなり、兄弟喧嘩ばかりの日々は明らかに減ったのです。
5.思春期兄弟でも穏やかに過ごせる日々
「思春期だから仕方ないのかな・・」
「こんなに兄弟喧嘩ばかりの家なんてうちぐらいだよ・・」
そんな風に、毎日の兄弟喧嘩を見続ける日々は、脳に届く言葉に変えただけで激減しました。
今では、一緒にゲームをすることや、外で遊ぶこと、お出かけを楽しむ時間が増え、他愛もないことで笑い合う時間がやっと戻ってきました。
さらに、私の気持ちにも余裕が生まれたことで、優士は友達関係の悩みをポツポツ話すようになり、兄は「優士最近調子いいね」と見守りながら、2人とも自分の気持ちを話してくれるまで成長したのです。
思春期でも、繊細でも、わが子の脳の仕組みに合わた声掛けに変えると、家庭は穏やかになります。
参考にしてみて下さいね。
執筆者:増山陽香
(発達科学コミュニケーショントレーナー)