繊細で自信がない子が「励ましゼロ」で自己肯定感を取り戻す脳科学的な親の接し方

繊細で自信のない子に、「頑張れ」と励まし続けていると、周りの目を気にして、ますます自信をなくしてしまうことがあります。このレポートでは、脳科学的根拠に基づき、今すぐできる、自信のない子が自分らしさを取り戻す関わり方をご紹介します。

1.「どうして?」頑張っているのに自信がなくなる繊細な子

 

私には感受性が豊かで繊細な次男(通称:優士)がいます。小さいときから兄の真似をすることが大好きで、同じ年齢のお子さんより少し早くできることが多かったです。そのため、

 

「さすが優士だね!」

「頑張れがんばれ!」

 

私だけでなく、先生や祖父母からも当たり前のように励まされて育っていましたしかし、年齢が上がるにつれ

 

「今日は1番じゃなかった!」

「○○に負けた!」

「全然うまく出来なかった!!」

 

不機嫌になり、自信をなくす姿が目立つようになっていきました

 

 

2.励ましは逆効果!励ますほど自信をなくす繊細な子

 

優士が自信をなくしている様子をみて、「もっと自信を付けてあげたい!」と思い、励ますことを増やしました。

 

すると、励ました直後は一時的に頑張るものの、なぜかイライラする様子や落ち込んでしまうことが増えたのです。

 

「こんなに励ましているのに、なんで自信がつかないんだろう・・」

「こんなに出来ているのに、なんで不機嫌になるんだろう・・」

 

そんな疑問を感じながらも、励まし続けていたある日、些細なお友達トラブルをきっかけに、優士は突然学校に行けなくなりました。同時に、私は「子育てが間違っていたんだ」と、自分を責めるようになりました。

 

そんなとき、私は発達科学コミュニケーションに出会いました。そこで初めて、繊細な子の脳のしくみと、これまでの私の関りが繊細な優士にとって逆効果になっていた理由を知ったのです

 

そこから私は、脳科学の視点をもとに、関わり方を大きく変えていきました。その具体的な方法と理由をお伝えしますね。

 

 

3.やさしい言葉で傷つく自信のない繊細な子の脳のしくみ

 

繊細なお子さんは、人の感情を敏感に感じキャッチできる力を持っています。そのため、励まされると、気付かぬうちにプレッシャーとして受け取ってしまうことがあるのです。

 

「もっと頑張らないと、がっかりさせちゃう」

「出来ないって言っちゃダメだ」

「やりたくないけど、大丈夫って言わなくちゃ」

「期待に応えないと、みんなが悲しむ」

 

本当は苦しくても、無理して自分の持てる力以上のことをやろうとして、頑張り過ぎてしまうのです。そして、苦しい気持ちを表現できず、「分かった。大丈夫」と頑張り続けるのです。

 

こうして、繊細な子の脳では、「嫌だな・辛いな」と感じたときに、心にブレーキをかけるはずの働きが、周りの期待を最優先にするあまり、抑え込まれてしまうのです。

 

すると

✓自分の気持ちが分からなくなる

✓無理をしすぎて脳が疲れ切ってしまう

✓小さな失敗にも傷つきやすくなる

 

自信を失いやすい脳の癖が作られていくのです。

 

さらに、小学校高学年から思春期にかけては、どんな子も「自分らしさ」を探し始める時期です。この時期に、励まし続けていると、結果を追い求めるようになり、「出来ない自分はダメなんだ」と極端な考えを強めてしまい、ますます自信を失ってしまうのです

 

 

4.励ましやめたら上手くいった!自信のない繊細な子に合った脳科学的関わり方

 

では、自信がない繊細な子に、どのように声をかけると良いのでしょう。優士に効果のあった、脳科学的根拠に基づく3つの方法をご紹介します。

 

①励ます声掛けを止める

 

まず最初に取り組んだのは、「頑張れ」「大丈夫」といった励ます声掛けを手放すことでした。

 

人は誰でも励まされると嬉しくなったり、やる気が出たりするものです。しかし、自信のない繊細な子にとって、励ましの言葉は「期待に応えなくちゃ」というプレッシャーになるため、すぐに止めました。

 

すると優士は、「これやったことないから怖いんだよね」と本音が言えるようになりました。

 

②ありのままの姿やママの感情を伝える

 

次に、優士のありのままの行動を、言葉にして伝えることを始めました。

 

「お風呂の中を丁寧に洗っているんだね」

「めっちゃ集中しているね!」

「お母さん忙しいから助かるよ」

 

「励まさないと、やる気を失うのでは?」と正直不安もありましたが、優士はむしろニコニコしながら、自然に行動を続けていました。

「認めてもらえている」という感覚が、優士自身への自信に繋がっていたのです。

 

③感謝を伝える

 

さらに、素直な感謝の気持ちを伝えることを意識しました。

 

「お手伝いしてくれてありがとう!」

「片づけてくれて助かったよ!」

 

感謝の言葉をかけることで、優士はとても嬉しそうな顔になっていきました。感謝の気持ちを伝えることで、「役に立っているんだ!」と、ありのままの自分を認められるようになっていきました

 

存在そのものを喜ばれる経験が、少しずつ優士の自己肯定感を育てていったのです

 

 

5.励ましゼロで自分から動けるようになれた繊細な子

 

励ます子育てをやめ、「ありのままを見る」「感謝を伝える」関わりを続けていくと、優士に変化が現れました。

 

「あの子は早いからしょうがないよね」

「ちょっと斜めだけど、まぁいいかぁ~」

 

以前なら落ち込んで自信をなくしてしまう場面でも、笑って受け流せるようになり、極端な思考が和らいでいったのです。そして、「これやってみようかな」と自分から新しいことに挑戦する気持ちも増えたのです。

 

繊細な子が自信をなくしている姿に、励ますことをやめるのは、最初は勇気がいるかもしれません。しかし、繊細で自信がない子に必要なのは、周りの目を気にせず、「自分はこれで良いんだ!」と思える心の土台を作ることです。

 

自信は、繊細なお子さんの脳に安心が貯まった先に自然と育っていきます。励ますことを手放すことが、繊細なお子さんの本当の強さを引き出す第一歩になりますよ。

 

執筆者:増山陽香

(発達科学コミュニケーショントレーナー)

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