1.何を言っても動かない・着替えない繊細な子ども
我が家の年少(当時)の息子アサヒは、ママと離れるのが不安な、少し怖がりで繊細な一人っ子です。
幼稚園に通い始めてからというもの、朝の準備は毎日バタバタでした。
「お着替えしようね」「歯磨きしようか」と声をかけても、おもちゃに夢中でまったく反応がありません。
返事もなく、目が合うこともなく、ただ時間だけが過ぎていきました。
着替えの進まない子どもに私のイライラは募り「早くして!」「もう時間ないよ!」と同じ言葉を何度も繰り返しながら、無理やり着替えさせる日々。
自己嫌悪に陥りながらも、どうすればよいのか分かりませんでした。
2.繊細な子どもに悩んだ私の転機
入園以来、癇癪、登園渋りに悩み、繊細な息子の将来に不安を感じていた私は、繊細な子の心と脳を強くする親子の関わり方を専門に教えているむらかみりりかさんを見つけました。
そこで、おうちで脳を育てる「発達科学コミュニケーション」(以下発コミュ)というメソッドを知り、「アサヒへの対応に迷うことがなくなるかも!」「今から学べばアサヒの将来が明るくなるかもしれない!」と受講を決意したのです。
発コミュで学んだのは、子どもの脳は“言葉の意味”よりも、“声のトーン”や“表情”に強く影響される、ということでした。
「お着替えしようね」と言っても、それが”トゲトゲしい声色”だったりすると、繊細な子どもは「ママはまた怒っているな」「なんか怖いな」といったネガティブな感情だけを強く感じ、聞く耳を閉ざしてしまうのです。
当時の私は、返事がない子どもに対し「早くお着替えするよ!」と常に強めの口調で指示し、反応がないことに焦って同じことを何度も繰り返していました。
3.変わったのは、ママの声かけと関わり方
①「できている」を言葉にする
私はまず、息子の「できていること」に目を向けて、声かけを変えることから始めました。
「おしりぺったんで、食べてるね!」
「もう半分も食べたんだね。食べてくれて、ママはうれしいな!」
「おしっこを教えてくれて、ありがとう!」
このように、「できているところ」を見つけて伝える“実況中継”のような声かけで、子どもは「ママは自分の良いところを認めてくれる」「ぼくはできているんだ」という自信が芽生えてきました。
②笑顔で、ゆっくりと、優しい声で伝える
離れた場所から怒鳴るのではなく、まずは近づいて、目を見てやさしく伝える。
「そろそろお着替えしようか~」と近づいて笑顔で伝えるだけで、子どもの反応が変わってきたのです。
安心できるママの優しい声色と笑顔、そしてアイコンタクトで、「ママは今、穏やかな気持ちであなたに話しかけているんだよ」というメッセージが伝わり、「ママの話を聞いてみようかな~」と聞く耳が開き、行動に移しやすくなります。
③「自分で決める力」を育てる服選び
その日着てほしい服を2、3種類用意し、「〇〇く~ん、今日はどっちにする?」と子どもに選んでもらいました。
「こっち!」と決めたら、「お~!かっこいいの選んだね!」と必ず声をかけることで、強制されることなく、自分の意見が尊重されたと感じ、指示を受け止めてもらいやすくなります。
④カウントアップでお着替え加速
その日着る服を選んでもらったら、「じゃあ、今日は何秒で着れるかな??」
「いくよ~用意はいいかな!?」と集中させて、1.2.3…と数えていきました。
「今日は30秒で着れたね!!」と一緒に喜び、子どもが楽しみながら着替えに取り組めるようになりました。
4.朝がスムーズになると、1日が変わった
以前は、何を言っても動いてくれない子どもにイライラしながら、慌ただしく朝の準備をしていました。
しかし、子どもが少しずつ自分で準備できるようになると、私の心にもゆとりが生まれました。
ママが笑顔で声をかけることこそが、子どもの「自分でできた!」を育てる土台になり、新しいことに挑戦する姿も見られるようになったのです。
繊細な子にとって、ママの穏やかな声かけが、毎日の行動をスムーズにする大切なカギになるのだと実感しています。
執筆者:高橋 りえ
発達科学コミュニケーション