1.「反抗期?」親子の会話がかみ合わない日々
我が家には高学年繊細さんの次男(通称:優士)がいます。
気に入らないことがあるとすぐ怒ったり、気分が乗らないと洋服が着れなくなったり、困った行動が目立っていました。
「そろそろ反抗期になってきたのかな?」と、思いつつ、どう声をかけて良いか分からず、私も話しかけるのをためらってしまいました。
そんなとき、私はお家で脳を育てる発達科学コミュニケーションと出会い、繊細な子は、反抗してるのでなく、感じとりすぎていることを学びました。
2.実は反抗期じゃなかった!繊細な子の脳の仕組み
「反抗期?」と感じるお子さんのイライラや困りごと。実は、繊細な子では、脳の仕組みからくるSOSかもしれません。
繊細な子は、音・匂い・声のトーン・表情など、 まわりの情報をとても細かく人一倍キャッチします。
うちの優士もそうでした。 私の小さなため息や焦りをすぐに感じとり、まるで私の感情と連動するように不機嫌になることや、イライラを爆発させることがありました。
優士は、言葉からの情報以上に、“親の雰囲気”を感じ取ってしまう子だったのです。
ちょうどこの頃、私は発達科学コミュニケーションを学び、「子どもの困った行動はスルーする」という関わり方を知り実践していました。
しかし、実際に黙って優士の様子を見ているだけでは、 夫や長男からは「何で優士のイライラを止めないの?」「注意しないと騒いだままだよ」と言われてしまい、 私自身もモヤモヤが募って表情が曇るばかり。
その様子を見ていた優士も、ますます不安定になっていく・・私の表情と優士の感情が繋がる悪循環にはまっていったのです。
その時改めて、繊細な子にとって、「反抗している」のではなく、「親の感情が伝染している」ことが起きていると気づきました。私の言葉よりも、私の表情や動作が繊細な子の脳には強いメッセージとして届いていたのです。
3.言葉を使わず脳に安心を届ける3つのコツ
「反抗期かもしれない」と思っていた優士のイライラも、親の感情の伝染なんだと気づいた私は、 「何を言うか」よりも、「どうそこに“いるか”」のほうが大切だと感じました。
繊細な子は、親のちょっとした表情やしぐさから、 「イライラしてるのかな?」「無視されてる?」と敏感に受け取ります。だから私は、黙ってスルーする時ほど、優士の脳が安心できるように、こんな工夫をしていました。
- 口角を上げて静かに家事をする →黙っていても“怒っていない”が伝わる
- 動作をゆっくり、音も優しくする →食器や掃除の生活音を安心感にのせる
- 巻き込まれそうになったら、別の部屋に移動する →”反応しない=突き放す”ではなく、距離を取って整える
例えば、怒って泣いている優士のそばで、無言で食器を洗っていたとしても、
私が焦ってガチャガチャ音を立てていたら、それだけで「怒られてる」と感じてしまうのです。
“スルーして黙って見守る”というのは、「冷たく突き放す」ことではありません。繊細な子にとって、言葉以上に親の空気が安心材料になるため、そっと側にいながら、子どもの感情に巻き込まれずにいられることが、大きな安心になるのだと、私はあとから気づくことができました。
4.すれ違いを感じる思春期男子へ言葉の届け方
優しい声、笑顔、ゆったりとした態度を意識して関わるようになると、優士の怒りや不安を爆発させる回数が明らかに減ったのです。
私が、焦らず、責めず、安心できる空気を届け続けるうちに、「ここは安心できる場所だ」と、じんわり感じ取ってくれるようになりました。
「反抗期なのかな?」と、諦めかけていた優士の態度は、たった1カ月、私の声の掛け方を変えただけで、驚くほど落ち着いたのでした。
やがて、優士は少しずつ本音を話してくれるようになり、言葉のやりとりも自然に生まれてきたのです。
繊細な子にとって、親の空気・雰囲気・関わり方すべてが“会話”になる。
だからこそ、言葉が届かないと感じたら、 まずはママの“届け方”を整えることから始めてみてくださいね。
執筆者:増山陽香
発達科学コミュニケーショントレーナー