1.初めての宿題にやりたくない!と戸惑う繊細な気質の子ども
私の息子が1年生になり、ゴールデンウィーク明けから初めての宿題が始まりました。
最初は初めての宿題とあり、張り切ってやる姿を微笑ましく見守っていました。
しかし、そんなある日、我が家の繊細な次男、エイジくんが宿題を前にしてポロリとこぼした言葉がありました。
「どうして毎日、宿題やりたくないのに、やらなきゃいけないの?」
その時、私は返す言葉に詰まりました。
私にとって“宿題はやって当たり前”。
学校から出されたものはきちんとこなすべきという考えが染みついていて、それを疑ったこともありませんでした。
しかし、その「当たり前」は、誰にとってのもの?
小学校に入学したばかりのエイジくんにとっては、毎日新しいことばかりで、クラスに慣れたり先生の話を聞いたりと、それだけでも繊細な子のエイジ君にとってみれば精一杯。
そんな中で、帰宅後の宿題はさらなる負担を感じていたのかもしれません。
その姿を見て私は、「私の常識は、この子にとって本当に必要なことなのか?」と、自分に問いかけるようになりました。
2.学校で疲れきる繊細な子に必要なのは“安心の居場所”
繊細なエイジくんにとって、小学校生活だけでも大きなチャレンジでした。
実は、保育園の頃から登園しぶりが続き、私はどう関わればいいのか分からずに悩んでいました。
そんな時、繊細な子の心と脳を強くする親子の関わり方を専門に教えているむらかみりりかさんに出会いました。
繊細な息子さんがのびのびと成長していく姿に心を打たれ、そこから「発達科学コミュニケーション(発コミュ)」という学びにたどり着きました。
エイジくんは、慣れない学校生活の中で毎日を頑張っていました。
五感が敏感な繊細な子にとって、学校は刺激の連続。
疲れやすいのも当然でした。帰宅するころには、エネルギーはすっかり切れていたのです。
そして、「宿題やりたくない」となっていたのです。
そんなエイジくんは、ただ「今の頑張り」を認めてほしかっただけでした。
それ以上を求められることなく、ただ安心していられる居場所が、家には必要だったのです。
3.繊細な子に宿題やらせる前に知りたい!親子で笑顔になる3つの工夫
①「宿題は?」をやめて「おかえり」に変えた
まず私が始めたのは、宿題の声かけをやめることでした。
「宿題は?」そんな言葉をぐっと飲み込み、エイジくんが帰宅したらまず「今日もお疲れ様」と、頑張りそのものを認めることに意識を向けました。
一緒に話をしたり、スキンシップをとったり、おやつを食べたり。
何気ない会話や「今日の給食はね〜」と、学校での出来事を話してくれるように。
気持ちを受け止めてもらえたことで、エイジくんの表情がふっとやわらかくなるのを感じました。
すると不思議なことに、こちらから言わなくても、エイジくんのほうから「宿題やろう」と動き出す日が増えていったのです。
以前の私は、「どうやって宿題をさせるか」にばかり目を向けていました。
本当に必要だったのは、「どうやってこの子の気持ちを整えるか」だったのだと気づきました。
②“やる気スイッチ”はタイミングにあった
もうひとつ意識したのは、「宿題は帰宅直後にやらせるもの」という私自身の固定観念を手放すことでした。
夕食前でも、夕食後でも、お風呂のあとでも、なんなら朝にやってもいい。
時間にこだわらず「この子が動けるタイミング」を待つと、エイジくんは自然に机に向かうようになりました。
大切なのは「早く終わらせること」ではなく、「気持ちが整ってから取り組むこと」なのだと気づいたのです。
③「宿題やりたくない」時は「一緒にやろう」が子どもに勇気を与える
「やろう」と思っても、なかなか進まない日もありました。
そんなとき私は、「じゃあ、今日は一緒にやろうか」と声をかけて、隣に座って鉛筆を持ち、エイジくんと一緒に字を書き始めました。
最初は「いいの?」と不安げな表情をしていたエイジくん。けれど、私が楽しそうに書いている様子を見て、少しずつ表情がやわらぎ、「これでもいいんだ!」と思えたようでした。
実際に手を取って書いたのは最初の一部分だけ。
ほんの少しお手伝いしただけで、残りの宿題はエイジくん自身でどんどん進めていくことができました。
何をするにも、最初の一歩にはエネルギーが必要なんですよね。
そのスタートを支えてあげるだけで、あとは自分の力で進める。
そんな姿を見て、「助けること」と「甘やかすこと」は違うんだと、私自身の中でも気づきがありました。
4.繊細な子と向き合い見えた、宿題より大切な親の役割
エイジくんとのやりとりを通じて、私は「子どもの行動の背景には必ず理由がある」という大切な気づきを得ることができました。
以前の私は、「宿題をやる・やらない」に一喜一憂していましたが、今では「この子が今日はどんな1日を過ごしたのか」「何にエネルギーを使ってきたのか」に目を向けるようになりました。そうすることで、イライラすることもなくなり、状況を落ち着いて理解できるようになったのです。
この経験を経て、「親として完璧であるより、子どもにとって安心できる存在でありたい」という想いが、私の新たな目標になりました。今ではエイジくんの小さな変化に気づき、その都度声をかけることで、親子の信頼関係が少しずつ深まっていると感じています。
そしてこれからは、エイジくん自身が「自分で選んで行動する力」を育んでいけるよう、親子で成長していきたいと思っています。
執筆者:ますながゆみこ
発達科学コミュニケーション