発達凸凹っ子との旅行を家族みんなで楽しむためには、事前の準備がとても大切です!準備しておくことで、旅先でも安心して過ごすことができます。今回は、凸凹っ子との家族旅行の際に知っておきたい事前準備のポイントを3つご紹介します。
1.楽しいはずの家族旅行が険悪ムードに…
凸凹っ子との家族旅行で、子どもが駄々をこねたり時間通りに動いてくれなかったりして、困ったことはありませんか?
発達凸凹のある子たちは、初めての場所や知らない人が多い場所に行ったり、臨機応変に動く必要が出てきたりする旅行が苦手です。
せっかく家族で旅行に行ったのに、
「もう疲れた」
「早く帰りたい」
「まだ歩くの?」
と子どもが不機嫌になり、旅行の楽しい気分が一転、家族が険悪なムードになってしまったという経験があるママもいるのではないでしょうか。
それによって、楽しみにしていたはずの旅行がつまらないものになってしまったり、中にはパパが怒って
「そんなワガママを言うならもう旅行はしない!」
などと言い、家族の気持ちがバラバラになってしまうこともあるかもしれません。
そうなるとママも悲しいですし、何より子ども自身が
「自分のせいで家族旅行を台無しにしてしまった…」
と責任を感じてしまう可能性もあります。
発達凸凹っ子は、ネガティブな記憶を引きずりやすい傾向があるため、一度旅行でこのようなことが起こってしまうと、次回からは旅行そのものが怖い、嫌だ、となりかねません。
2.こだわりや不安が強いという特性を理解する
発達凸凹がある子の中には、特定の行動パターンや環境へのこだわりが強い子、予定の変更や見通しの立たない出来事に対しての不安が強い子がいます。
この特性から、経験したことのない状況や場所に置かれると、これから何が起こるのか分からず混乱してしまうことがあります。
未経験の状況では、誰でも多少の緊張や不安は感じるものです。
しかし発達凸凹っ子にとっては、それが大人が想像する以上に大きな負担となり、著しい不安や恐怖を感じてしまうこともあります。
行動へのこだわりも、同じ行動を繰り返すと見通しを持てるため、安心するという理由からだと考えられます。
このようなこだわりや不安が生まれる要因のひとつとして、特定の感覚への過敏性があげられます。
自分にとって安心できる環境や物が限定されている場合や、物事の細部に目がいきやすいなどで、わずかな変化にも大きな不安を感じやすいのです。
ママやパパ、一緒に過ごす家族は、子どものこのような特性を理解した上で、旅行などの計画を立てていく必要があります。
3.凸凹っ子が旅行において困りごとを感じやすい場面
では、旅行先ではどのような場面で困りごとを感じやすいのでしょうか。
4つのポイントにまとめてみました。
●人混みに疲れてしまう
旅先では、不特定多数の人と出会う場面が多くなります。
感覚が過敏な発達凸凹っ子は、人混みでの目からの刺激や大きな音、匂いなど多くの情報を受け取り、それによって疲れてしまうことが考えられます。
●知らない環境での刺激に疲れてしまう
旅先ではこれまでに経験したことのない物事に直面する機会が出てきます。
「次に何が起こるのだろう」というワクワクよりも、「何が起こるか分からなくて不安」という気持ちが優ってしまい、気疲れしてしまうのです。
●シュミレーションし過ぎて疲れてしまう
凸凹っ子の中には、感受性や想像力が豊かな子が多くいます。
それ故に、「ああなった時はどうしよう」「このパターンのときはどうしよう」などと、起こってもいないことを想像して心配になってしまうことがあります。
必要以上に考え過ぎて疲れてしまうのです。
●旅先の雰囲気や空気感で体調を崩す心配がある
このような不安や疲れから、旅先で体調を崩してしまうことも考えられます。
「具合が悪くなったらどうしよう」などといった心配も、不安要素になります。
4.旅行が120%楽しめる事前準備のポイント3つ
では、そんな発達凸凹っ子との旅行を家族みんなで楽しむためには、どのような準備をしたら良いのでしょうか?
今回は、不安を安心に変える旅行の事前準備として、おすすめしたいポイントを3つお伝えします。
◆①旅行のスケジュールを共有する
凸凹っ子は、先の見通しが立つと安心できるため、事前に旅のスケジュールを共有することをおすすめします。
どこに行って何を見るのか、そこにはどんなものがあるのか。
移動手段は何か、どれくらい歩くのか。
人は多そうか、食べ物の名物は何か。
どんなところに泊まるのか、部屋はどんな感じか。
そのような情報を、事前に分かる範囲で良いので伝えてあげることで、子どもは旅行の全体像がイメージできます。
写真やパンフレットなどを見せて、視覚的に示してあげるのも良いですね。
一緒にパンフレットを見ながら
「ここには〇〇があるんだって!楽しみだね」
「美味しいものがたくさんあるよ!何を食べたい?」
などと、親子でイメージを膨らませてみてください。
それが子どもにとっての安心や楽しみな気持ちにつながります。
◆②変更になった場合の予定も伝える
例えば、雨などの天候の変化で行程が変更になる可能性がある場合。
施設の入場制限などが考えられる場合。
そういった可能性も、子どもに伝えておきましょう。
そして、そのような場合にはどう動くのかも事前に決めておくと、いざというときも子どもが落ち着いて過ごせます。
もしものときの備えをしておくということですね。
けれども、旅先では思いもよらないことが起こる場合もあります。
それも含め、
「もしかしたら、この予定通りにいかないこともあるかもしれないけど、そのときはまた一緒にどうするか考えようね。」
と一言伝えておくと、予期せぬことが起こってもパニックにならずに済みます。
予定が変わる可能性もきちんと伝えておきましょう。
◆③持ち物の準備を一緒にする
旅行の際、親はなるべく荷物を少なくしたい、コンパクトにまとめたいと思うこともあるかもしれませんが、発達凸凹っ子とのお出かけでは、持っていくものを本人と一緒に決めることをおすすめします。
暑かった場合、寒かった場合に対応できる衣類。
肌触りにこだわりがある子は、使い慣れたタオルや寝具を持っていくのもおすすめです。
また、待ち時間などに読める本や漫画、お気に入りのおもちゃ。
そして、体調が悪くなったときのことも考え、念のため薬の用意もあると、子どもの安心材料になります。
このように、色々なことを想定しながら一緒に持ち物の準備ができると、凸凹っ子が抱える心配や不安が、ひとつひとつ安心に変わっていきます。
そして、家族と一緒に楽しみな気持ちで当日を迎えられるようになります。
せっかくの家族旅行です。
子どもと一緒にワクワクを膨らませて、当日は安心して楽しくお出かけができるように、事前の準備を工夫してみてください。
執筆者:
発達科学コミュニケーション トレーナー
長谷川まこ