発達障害・グレーゾーンのお子さんは、不安が強く、不登校や登校渋りになりやすい傾向があります。我が子も高学年での転校をきっかけに不登校になってしまいました。お子さんが学校に行けない。そんな状況にどう対応されていますか?何とか学校に行かせようと励ましたり、元気づけようとしたりするけれど、なかなか状況が良くならず、ますます悪化させてしまったとお困りのママはいませんか?そんなママにまずやってほしいとっておきのテクニックを本記事ではご紹介します!
1.高学年での転校!発達障害グレーゾーンの子どもは不安でいっぱい!
299,048人。
これは、令和4年度の国立、公立、私立の小・中学校の不登校児童生徒数の数です。
文科省が令和5年10月に発表した【児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査】の結果で、今年も不登校児童生徒数が過去最多を更新しました。
不登校の人数は10年連続で増加しています。
お子さんが登校しぶりや登校拒否をしている、もしくは不登校で学校に行けていないと悩んでいて、この記事に辿り着いた方も多いかもしれませんね。
私の息子は不安が強い特性を持っており、転校を機に不登校となってしまいました。
本記事では、不安が強い子どもの脳の発達に着目して
✔︎学校に行けなくなっている理由
✔︎親の関わり方
について私の実体験も交えながらご紹介していきたいと思います。
今、お子さんが学校に行けず、苦しんでいる方がいたら、この記事が少しでもお力になれれば嬉しいです。
2.発達障害・グレーゾーンの我が子が不登校になってしまった経緯
小学校6年生の我が子は、今年度4月に転校しました。
最初は「新しい学校で早く友達を作るぞ!」と意気込んでいましたが、なかなか自分から声をかけることができず、どうやって友達を作ればいいのか悩んでいるようでした。
我が子は繊細さを持った発達障害・グレーゾーンで、もともと集団が苦手な上に、新しい環境には不安いっぱい!
加えて新しい学校はそれまでの学校と比べて模校も大きく、人数の多さや校舎の大きさに圧倒されたようです。
一見、生活面や学習面のことは一通りできるので、高学年ということもあってか担任の先生からも特に配慮されることなく、本人の不安で仕方がないという思いを分かってもらえないような状況でした。
同じ小学校でも、学校の決まり事や朝の活動、掃除の仕方などなど、学校ごとに違うことはたくさんありますが、以前の学校との違いを受け入れることもできずにいました。
個人面談や電話やお便りでも、学級担任の先生に相談しましたが、先生も具体的な支援をどうすればいいのか考えあぐねている様子。
時間が経てばきっと慣れるだろうと思っていましたが、発達の特性もあり、どんどん学級での孤立感が高まっていくようでした。
朝の登校時間になると、「学校に行きたくない。でも行かなければならない。」のジレンマに苦しみ、登校渋りが始まりました。
次第に学校を休むことも多くなり、家庭でも今まで出来ていた宿題も頻繁に癇癪を起してできなくなってしまいました。
さらに、早寝早起き、歯磨き、着替えなどの基本的な生活習慣にも乱れが出てしまいました。
口を開けば、
「いいことなんて何にもない」
「なんで僕ばっかり嫌なことが起こるんだ。悪いことしか起こらない」
「生きていても意味がない。」
などのネガティブ発言ばかり。
家庭でも、笑顔や笑い声がどんどんなくなり、いつもイライラして落ち着かない様子。
我が子はどんどん元気がなくなり、自信を失っていきました。
3.発達障害・グレーゾーンで不安が強い子どもの脳の発達
発達障害・グレーゾーンのお子さんは、不安が強く、不登校や登校渋りになりやすい傾向があります。
不安の強い我が子には次のような特性があります。
〇見通しを持つのが苦手
〇新しい場所が苦手
〇集団やコミュニケーションが苦手
〇感覚過敏で教室のざわざわした音が苦手
〇0か100か、白黒思考
これらの特性が故に、転校先の新しい環境で不安を強く抱えているものの、それを言葉で伝えることができずに周囲からの援助も受けられず物事が進んでいき、さらに不安が増すという状況でした。
では、なぜそんなに不安が強いのでしょうか?
この不安の正体は私達のあらゆる感情、喜怒哀楽をつかさどる扁桃体を中心とした「感情の脳」の領域が過剰に反応している状態です。
様々な情報は、物事を考えたり判断したりする「理性の脳」よりも先に、感情の領域である扁桃体に届きます。
ここで喜怒哀楽のような快、不快といった一次感情が起きます。
この扁桃体は、安心安全を最優先するので、嫌だと感じていること=「学校に行く」ことに反応し、扁桃体からSOSの指令を出すのです。
つまり子どもたちは自分の身を必死で守ろうとしているのです。
決してわがままではありません。
本人が自分自身ではコントロールできない辛い状況なのです。
不安を感じることが、登校しぶりや不登校の原因になっているのであれば、まずは脳の働きを安定させる必要があります。
4.発達障害・グレーゾーンの子どもの不安を安心に変える親の関わり方
ストレスや不安がいっぱいになった脳は不安定で、発達が進みにくい状態になってしまっています。
脳の働きを安定させ、発達を促すためには、お子さんへのコミュニケーションを肯定的に変えていくことが大切になっていきます。
子どもの脳の発達を促す1番有効的な方法は…子どもを「肯定すること!」
肯定的な関わりと言っても、褒めるだけが肯定ではありません。
①褒める
②励ます
③感謝する
④興味や関心を示す
⑤気づいていると知らせる
⑥喜ぶ・驚く
⑦スキンシップ
⑧ジェスチャー
⑨次の活動に誘う
⑩同意する
肯定的な関わりは、実はこんなにもたくさんあるのです!
日常を振り返ってみてください。
褒めることがない…と困っていた方も何かしらの肯定的な関わりはできているはずですよ。
このような肯定的の関わりを行うことで、子どもの不安は安心に変わり、少しずつ自信に変えることができます。
「脳を壊してまで、学校に行かせる必要はない」ということを、1学期のつらい体験で腹落ちした私は、ようやく本心から学校を休ませて脳を発達させる関わりをしていく覚悟ができました。
肯定的な関わりを続けることにより、我が子は少しずつ元気を取り戻していきました。
別室登校もオンライン授業も拒んできた息子でしたが、2学期から家でのオンライン授業に切り替えて、穏やかに過ごしています。
オンライン授業に参加すれば欠席扱いにならないということも、我が子が「学校には行かなければならない」を手放すことができた要因の1つかもしれません。
笑顔が戻り、笑い声が家に響くようになり、ようやく新居が私たち親子にとって安心できる場所になりました。
日々の関わりの中で、上記の「肯定的な関わり」を意識するだけでも、子どもへの肯定的な関わりは増えていくはずです。
肯定的な関わりが増えると、子どもの脳は喜び、ぐんぐん成長していきます。
脳の働きを促すことができると、必然と「不安」も落ち着いてくるはずです。
まずは、登校しぶりや不登校などの目の前の問題をどうにかしようと必死になるのではなく
その原因となっている「不安」に着目して、お子さんの脳に届く肯定の声かけを習慣づけていきましょう。
執筆者:
発達科学コミュニケーション リサーチャー
コムラ りさ