「うちの子、手先が不器用で大丈夫かな?」そんな不安、ありませんか?この記事では、遊びながら自然に不器用さを改善するおうち遊びをご紹介しています。梅雨や夏の暑い日で外遊びが難しいときの過ごし方のヒントにもなりますよ。
1.子どもの「手先が不器用」の正体は「見る力」と「動かす力」の連携不足かも?
「うちの子、なんだか手先が不器用かも…」
字をきれいに書けない、絵が下手、はさみやお箸の扱いがぎこちない、運動も苦手……。
年齢のわりにうまくできない姿に、つい心配になってしまうことはありませんか?
発達に凸凹のある子どもたちは、「目で見た情報を処理し、それを体に伝える」ことがちょっと苦手な傾向があります。
実は、「見る力」と「体を動かす力」は脳の中で密接につながっていて、『見ながら動く』力が未熟なために不器用さが目立つことがあるのです。
この力は、どちらか一方だけを鍛えるよりも、「連携させて育てる」ことがカギ。
この記事では、不器用さに悩むお子さんにぴったりな「見る力」と「体を動かす力」を一緒に育てられるおうち遊びを5つご紹介します。
遊びながら自然とスキルが伸びていく、そんなヒントが見つかりますように。

2.ASD傾向の子が「手先が不器用」に見えるとき、親が知っておきたいこと
「ちょっと不器用なくらい、そのうちできるようになるよ」と言われることもありますが、発達に凸凹のある子にとっては、そう簡単ではないこともあります。
私の息子は、自閉スペクトラム症(ASD)の傾向があります。
幼少期から、
・ボタンを一人で留められない
・お箸の使い方がぎこちない
・ジュースや汁物をそっと運べずに、必ずと言っていいほどこぼしてしまう…
など、手先の不器用さを感じていました。
小学校に上がると、集団生活の中での困りごとがさらに目立つようになりました。
字がきれいに書けず、ひらがなの宿題は毎回書き直し、板書を極端に嫌がり、ドッジボールのボールもうまく取れない…そんな様子が続きました。
私は息子が学校で困らないようにと、宿題中の字が汚いときには書き直させたり、見る力が弱そうだと感じると家で見るトレーニングを試みたりもしました。
しかし、そんな私のダメ出しばかりの声かけに、息子はすっかりやる気をなくし、次第に取り組むこと自体が難しくなってしまったのです。
こうした経験からもわかるように、発達の凸凹による不器用さは「努力が足りないから」では決してありません。
視覚野と運動野の連携がスムーズにいかない特性が背景にあり、本人の意思ややる気だけでは乗り越えにくい壁なのです。
だからこそ、見えにくい“困りごと”に早めに気づき、家庭でできるちょっとした工夫や遊びでサポートしていくことが大切です。
そして何よりも大事なのが、脳は『楽しい!』と感じたときにこそ、ぐんと育つということ。
苦手をつつくトレーニングではなく、家族で「できた!」「楽しいね」と笑い合える時間の中でこそ、力は自然と伸びていく——
そんな環境こそが、子ども自身の「やってみたい!」を引き出し、不器用さのサポートにつながっていきます。

3. 手先が不器用な子どもにオススメ!「見て体を動かす力」を育てるおうち遊び5選
では、「見る力」と「体を動かす力」を楽しく育てられる、おすすめのおうち遊びをご紹介します。
①折り紙|目で見て、手を動かす練習にぴったり!
折り紙は、目で見た通りに折る力(視覚認知)と、手指の操作(微細運動)を一緒に鍛えられる定番遊び。
完成形をイメージする力や、指先を意図的に動かす力も自然と育ちます。
工夫ポイント:
はじめは「犬」「船」など、シンプルで完成形がわかりやすいものからスタートすると◎。
親子で一緒に折ると成功体験が増えてやる気につながります。
②クッキング|ママも助かるし、達成感も得られて一挙両得!
料理のお手伝いは、視覚と手の協調を求められる場面の宝庫。
野菜をちぎる、具材を並べる、材料を混ぜる、焼き具合をチェックするなど、多彩な動作で目と手先を使いながら、「やってみたい」気持ちも引き出せます。
作った料理を家族で「おいしいね」と食べることで達成感や自己肯定感も上がります。
工夫ポイント:
“まぜるだけ”の簡単レシピや、「おにぎり係」「トッピング担当」など成功しやすい役割から始めてみましょう。
③的あて|全身を使って目と体の連携アップ!
ボールや丸めた新聞紙を的に向かって投げるだけのシンプルな遊びですが、実は「目で的をとらえて体を動かす」練習にぴったり。
広いスペースがなくても、壁やドアに的を貼ればOK!
工夫ポイント:
的の大きさや距離を調整したり、「赤い的に当ててみて!」などルールを加えてバリエーションを楽しんで。
④風船バレー|タイミングをとる力と空間認知を鍛える!
風船はゆっくり動くので、視覚追跡やタイミングをとる練習にぴったり。
「風船を見て、体を動かす」という連携動作が自然とくり返されます。
工夫ポイント:
床にタオルを敷いてコート代わりにしたり、「何回ラリーできるかな?」とゲーム感覚で楽しんで。
⑤YouTubeなどのダンス動画を見ながらまねっこ|リズムにのって体をコントロール!
音楽に合わせて動くダンスは、リズム感や身体のコントロール力を育てるのに最適。
画面を見て動きをまねることで「視覚→運動」の連携もばっちり鍛えられます。
工夫ポイント:
お気に入りの曲で気分を上げて、「ママと一緒にダンスしよう!」と声をかけるだけで、自然と楽しい時間に。

4.遊びの中で大切にしたいこと
ご紹介した遊びはどれも特別な道具や広いスペースがなくても、ちょっとした工夫で楽しめる遊びばかりです。
不器用さのケアでいちばん心がけたいのは、「楽しい!」という気持ちを通して体験を重ねること。
大切にしたいポイントはこの3つ:
■「やってみたい」と思える声かけを
まずは親が楽しそうにやってみたり、ちょっとしたきっかけづくりを。無理にやらせなくてもOKです。
■ うまくいかなくても大丈夫
難しそうなときは、ぜひ「よ~く見てごらん」と声をかけてあげましょう。集中力が高まります。
もしできなくても、それも大切な経験。
その時は「惜しかったね~」とゆる~い気持ちで接してあげましょう。
■ 「おもしろかった!楽しいね!」を共有しよう
一緒に喜ぶことで、達成感や自己肯定感が自然と育っていきます。
不器用さは、工夫と楽しさでサポートできます。
「できないから練習する」より、「楽しいからやってみる」へ。
そんなおうち時間が、きっと子どもの力になるはずです。

▼まだまだある!「見る力」を育てるのにおススメな遊び▼
執筆者:よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション アンバサダー