登校しぶりは甘えではありません。朝に動けなくなる背景や脳の反応を知ることで、母親の見方が変わり、不安に振り回されずにわが子と向き合えるようになります。本当の理由を知ることが関わりを整える第一歩になります。
1.「明日は行く」は嘘ではない!朝になると行けなくなる子ども
昨日は行くって言っていたのに、朝になるとやっぱり「行かない。」と言う。
注意欠如・多動症(ADHD)グレーゾーンの登校しぶりや不登校のお子さんを育てていると、 この場面に何度も心を揺さぶられることがあると思います。
私自身も同じ経験があります。
前の日には少し自信ありげに「明日は行くよ」と話していたわが子の言葉を聞いて、「もしかしたら行けるかも」「明日は大丈夫かもしれない」そんな期待が胸に膨らみます。
ところが、当日の朝になると起きられない、表情が曇る、動こうとせず最後には「行けない」と言う。
そんな様子を見ると、期待していた分がっかりしてしまうのは当然だと思います。
お母さんが本気で「信じていた」からこそ起きる感情で、気持ちが裏切られたように感じて心が追いつかなくなることもあるでしょう。

だからこそ、まず知っておいてほしいことがあります。
それは、昨日の「行くよ!」は、決して嘘ではないということです。その瞬間、子どもは本当に「行ける気がしていた」のです。
落ち着いた時間帯、安心できる環境の中では、 学校の大変さや不安がまだ遠くにあり、前向きな言葉が自然に出てきます。
「言ったのに守れなかった」のではなく、 「状況が変わったことで、行動できなくなった」ということ、 この視点を持つことが登校しぶりを理解する最初の一歩です。
2.登校しぶりで朝動けなくなるとき脳で起きていること
では登校しぶりをする子どもは、なぜ朝になると行けなくなってしまうのでしょうか?
その背景には、ADHDグレーゾーンの子どもに多く見られる特性があります。
ADHDグレーゾーンの子どもは、「やろう」と思う気持ちがあっても、行動に移すまでに時間がかかりやすい傾向があります。
朝になると動けなくなるのは、気持ちがころころ変わっているからではありません。

「分かっているのに体が動かない」、そんな状態が起きているかもしれません。
そこに不安が重なると、脳は守りのモードに入ります。
脳の中には、危険を察知する扁桃体という部分があり、 危険を感じた瞬間に体を守ろうとする非常ベルのような役割を持っています。
朝学校のことを急にリアルに感じ始めると、不安が一気に強まり、危険を感じ取る脳の働き(扁桃体)が反応してがんばるよりも止まるほうを優先します。
その結果「やっぱり行かない」と登校しぶりを起こすのです。
これは、甘えでも意志の弱さでもなく子どもの脳が自分を守ろうとしている状態です。
3.今日からできる登校しぶりを整える第一歩
「明日は行く!」と言ったのに朝になると登校しぶりをする子に、今日からやることはひとつです。
それは、「行けたかどうか」ではなく「どこまで動けたか」を見ることです。
私たちはいつの間にか、「行けたかどうか」だけでその子の一日を評価していないでしょうか?
親にできる大切な関わりは、「行動した記憶」を子どもの中に少しずつ積み重ねて増やしていくことです。
この積み重ねによって、子どもの中に「自分はできる」という感覚が育っていきます。

また、親の関わりが変わることで、子どもの行動も少しずつ前に進み始めます。
登校しぶりからの回復は、ある日突然元に戻る形で起きるものではなく、静かに小さな変化の積み重ねとして進んでいきます。
たとえば、
・朝、起きられた
・着替えようとした
・玄関まで行けた
・学校の近くまで行けた
など、結果だけを見ていると、「今日も行けなかった」で終わってしまいますが、これらの行動はすべて「行けなかった日」の中にある確かな成長です。
登校しぶりからの回復に効くのは、「行けた」という結果そのものよりも、できたことややろうとしたことに焦点を当てて、脳に良い記憶として残ることです。
今日の小さな一歩は必ず明日につながり、少しずつ積み重なる成功体験が自信を育てていきます。
登校しぶりに悩むお母さんは、焦らず「できたこと」に目を向けてみてくださいね!
執筆者:山本みつき
(Nicotto Project 発達科学コミュニケーショントレーナー)
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