お子さんは、何かしている時でも声をかけすれば違うことにさっと切り替えができますか?何かに熱中していると切り替えがなかなか難しいですよね。発達障害・ADHDタイプの子どもも次の行動に切り替えできるようにするためのお母さんの声かけ術のお話です!
1.発達障害・ADHDタイプの子どもは、なぜ切り替えが苦手なのか?
子どもにとって夢のような長期休みが終わり、新学期が始まりました。
お子さんの調子はいかがですか?
毎朝早起きして、学校に行き勉強。帰宅後は習い事や宿題をしなくてはいけません。
学校によっては、運動会の練習があるかもしれません。
ゆっくりできた長期休みとは違い、慌ただしい毎日で疲れがどっとでているお子さんもいるかもしれませんね。
疲れやストレスがあるとなかなかゲームやスマホがやめられない、宿題をなかなかやらないなんてことがあるかもしれません。
私の個別相談でもよく出る話が「ゲームをやめることができません」というお話。
何かに熱中することはいいことですが、ゲームやスマホ、テレビは長時間やると気になりますよね。別の事柄であっても、次の予定や宿題があるときは、切り替えて欲しいところです。
では、どうして発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプの子どもは、切り替えが苦手なのでしょうか?
それには、いくつか考えられる理由があります。
発達障害・ADHDタイプの子どもは、
・先のことを想像することが苦手
・環境の変化やスケジュールの変化が苦手
・感情のコントロールが苦手
・好きなことに集中しすぎてしまう
など、特性があるため切り替えが難しいのです。
苦手とはいえ、日常生活や学校では切り替えることは不可欠です。
どう対応すればいいのでしょうか? 発達障害・ADHDタイプの子どもにも有効なお母さんの声かけ方法を今日はご紹介します!
2.発達障害・ADHDタイプの子どももさっと切り替えできるようにする声かけテクニック
子どもが何かに取り組んでいる。しかし、次の活動に移る必要がある。そんなこと、よくありますよね。
そんなときは、予告をしてみてください!
予告は、時間感覚が薄いお子さんなどに特に有効な方法です。具体的にどうすればいいのか。今日は、方法を3つご紹介しますね。
◆①時間で予告
まずは、時間で予告する方法があります。
切り替えて欲しい時間の前に、何度か予告をします。 何度か予告することにより、発達障害・ADHDタイプの子どもも心構えが徐々にできて気持ちが切り替えできるようにします。
例えば、「もうすぐご飯ができるから、あと10分したらゲームおわりにしようね!ご飯にしようね!」などと予告します。
時間になるまで何度か「あと○分だよ!」と予告してくだい。
時計が読めないお子さんや時計をあまり意識しないお子さんもいるかと思います。
そんなお子さんには、目覚まし時計のようなアナログの置時計などがおすすめです。 近くで見える置時計を使って、「長い針がここまできたらね!」など、言ってください。
そして、より視覚的にわかるようにしてあげると、発達障害・ADHDタイプの子どもも切り替えやすくなります。
長い針がここまできたらという目印の付箋を時計に貼ると、より分かりやすくなります。
または、その時刻の長い針と短い針の位置を絵に描いて横に貼るのもいいと思います。
どちらも目で見て時間が少しずつ近づいてくることが分かります。
発達障害・ADHDタイプの子どもも自然に切り替えるための心の準備がしやすくなりますよ。
◆②回数で予告
2つ目は、回数で予告する方法です。
「このアニメあと1本見たら、お風呂ね!」
「あと、3回やったらお家帰ろうね!」
など回数で予告します。
例えば、公園から帰る時間に、子どもが帰りたくないと駄々をこねたとき。
「あと3回滑り台滑ったら、お家に帰ろうね!」と最初に予告します。
その後「後2回だね!」
↓
「あと1回だよ!」
↓
「3回滑ったね!じゃあ、帰ろう!」
という具合に小刻みに予告して気持ちが切り替えられるようにサポートしてあげてください。
もし、対戦型ゲームをしていたら「あと2回たたかって負けたら終わりね!」などと予告するといいかと思います。
時間で予告する方法と同じで、はじめのうちは小刻みに予告してあげてください。すると、発達障害・ADHDタイプの子どもも切り替えやすくなると思います。
◆③カウントダウン
3つ目は、カウントダウンする方法です。
「10数える間にこの本片付けられるかな?10、9、8…」など、発達障害・ADHDタイプの子は、特に楽しそうにやると効果的です!
ただし、カウントダウンは注意も必要です。
発達障害・ADHDタイプの子どもの中には、時間が迫るカウントダウンをされると、不安を感じる子もいるからです。
もし、お子さんがカウントダウンすると極端に嫌がる、こわがるなどの様子があるときは、カウントダウンはやめましょう。そんなお子さんには、「1、2、3…」とカウントアップしてあげてくださいね!
子どもが何かに取り組んでいる。だけど、次の活動に移る必要がある。そんなとき、ぜひ今日ご紹介した予告を試してみてくださいね!
3.切り替えが苦手な子どもが、自分から切り替えできるように変化!
最後に、予告の時間を変えて、切り替えが上手にできたお子さんのお話をご紹介しますね!
それは、私の生徒さんのお子さんで、小学校低学年の男の子です。お母様が、受講し始めたときから、お子さんがゲームを約束通りにやめられないことにお困りでした。
そのため、その困りごとも解決するため発コミュ(発達科学コミュニケーション)の講義を受講されました。
まず、レクチャー1を受け、肯定の関わり方を学び実践してもらいました。肯定の関わりをして、お子さんとの関係をよくしていただいたのです。
そのあと、レクチャー2では指示出しの方法を学んでもらいました。レクチャー2では、いろんな指示出しの方法を学びます。
お子さんに合った指示出しをすることによって、お子さんの行動を少しずつ引き出すことができるようになっていきます。
今日ご紹介した“予告”は、レクチャー2の中にあるテクニックの1つです。
この方も、ゲームを終わらせるために10分前にやめるよう予告しました。しかし、始めはあまりうまくいきませんでした。
そこで、再度相談し、お子さんとも相談してもらって進めていったところ、いつも10分前に予告をしていましたが、15分に増やし、お子さんに、「それでも足りなかったら、相談してね」と声をかけておられました。
そうすると、なんと!びっくり!
自分でゲームをやめることができるようになったのです!!
10分も15分も変わらないだろうと大人は思ってしまいますが、彼のタイミングは、10分ではなく15分だったのです!
そのため、毎度10分では足りなくやめられませんでしたが、15分だと納得して自分でやめられました!この5分間が、彼にとっては大きな違いだったのですね。
なぜこの話を書いたかというと、タイミングはお子さんによって違うということを知ってもらいたかったからです。
大人が思うよりも、こんなにも繊細でこだわりがあるということを知って欲しかったからです。
特に発達障害の子どもは、こだわりが強い子も多いので、切り替える時間も人それぞれこだわりがあるかもしれません。
なので「やめなさい!」とガミガミいってしまう前にいろんな時間を試してみてください。
子どもが切り替えるために必要な時間や自分で納得できる時間はどれくらいなのか。お子さんに合った時間をぜひ探してみてくださいね!
発達障害・ADHDタイプの子どもは、好きなことや興味があることに対しては、集中しすぎてしまうので、自分ではどうしてもやめられないこともあります。
ですが、それが何かを知ることも大切なので、これはどうかな?という視点でお子さんを見てあげてほしいと思います。
発達障害・ADHDタイプの子どもと楽しく過ごすための方法を探していきましょう。
執筆者:水本しおり
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)