連絡帳を書かないのは書字障害グレーゾーン!?正しい支援方法とは?

子どもが連絡帳を書いてこないという悩みはありませんか?連絡帳が書けないのは書字障害グレーゾーンかもしれません。今回は、板書を書き写すのが苦手な理由とその支援方法についてご紹介します。 

子どもが連絡帳を書いてこないというお悩みはありませんか?

我が家には小学5年生の発達障害グレーゾーンの息子がいます。

 

3年生になってから字を書くことを嫌がるようになり、連絡帳を書いてこなかった日は「なんで書いてこなかったの!明日の予定がわからないじゃない!」「毎日お友達のお母さんに聞くのは迷惑になるでしょ!」と叱ってばかりいました。

 

「連絡帳を書かないと、忘れ物ばかりで息子が困る」

「やるべきことは自分でできるようになってほしい」

こんな思いから、良かれと思って注意をしていました。しかし、どんなに叱っても、注意をしても連絡帳が書けるようにはなりませんでした。

 

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字を書くのが苦手なのは書字障害グレーゾーンかも?

 

書字障害グレーゾーンとは?

 

学習障害は発達障害の1つで、全体的な知能の発達に遅れはないのですが「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」という能力のうち、1つもしくは複数の能力に遅れや困難がある場合を言います。LD(Learning Disability)とも呼ばれ、大まかに分けると

・読字障害

・書字障害

・算数障害

と分類することもできます。

 

また、上記3タイプそれぞれにおいて、困りごとはあるのに診断基準を満たしていないために、障害と診断されないグレーゾーンと呼ばれる子たちがいます。そこで、今回は特に多い書字障害グレーゾーンについて説明しますね。

 

書字障害グレーゾーンの子は、

・ゆっくり書けば字を書くことができる

・文字は書けるが、バランスが悪い

・平仮名は書けるのに漢字が書けない

など、全く書けないわけではないので、「努力が足りない」「怠けている」と見られてしまうことがあります。

 

 

板書を書き写すのが苦手な理由

特に書字障害グレーゾーンの子が躓きやすいのが連絡帳やノートを書く場面です。板書は、大人にとっては簡単なことのように感じますが、子どもたちにとってはとても難易度が高い作業なんです。

 

では、板書を書き写す作業を細かく分解してみていきましょう。先生が黒板に書いた文字を、ノートに写していくというのは、1つの作業に見えますが、いくつものステップで構成されています。

 

1.遠くにある黒板を見る

 

2.文字を音声に変換して記憶し、どこまで記憶したか覚えておく

 

3.音声の記憶を保持したまま、黒板から手元に視線を移動

 

4.音声を文字に再度変換し、一文字ずつ書く

 

5.2で記憶した文字の次の文字に視線を移動し、その続きを読む

 

6.3→4→5の繰り返し

 

これだけのステップがあり、これを連続して行います。プロセスのどこか1つでも苦手があると、

・ノートに書くことに精一杯で授業についていけない

・時間内に書けないことで自信を失う

などの困りごとが大きくなってしまい、「板書を書き写すのが苦手」になってしまいます。

 

そして、この時に使っているチカラとして

 

「ピントを合わせる力(眼球運動)」

「見たものを把握する力(視空間認知)」

「眼から入った情報に合わせて体を動かす力(眼と体のチームワーク)」

「周りの情報に興味を奪われない力(注意力)」

 

などが挙げられます。ではそれぞれの力が弱いとどんな困りごとにつながるのでしょうか?

 

「ピントを合わせる力(眼球運動)」

遠くにある黒板から手元のノートに焦点を移動させているうちに、どこを書いているかわからなくなってしまいます。

 

「見たものを把握する力(視空間認知)」

必要な情報を一時的に記憶、処理する機能が低いので、単語や文をまとまりで覚えることが難しく、言葉として覚えられずに1文字ずつ写すので時間がかかってしまいます。

 

「眼から入った情報に合わせて体を動かす力(眼と体のチームワーク)」

指先の神経発達が未熟な不器用なタイプは、字を書くこと自体が苦手なため、字を書くのに時間がかかっていることがあります。

 

「周りの情報に興味を奪われない力(注意力)」

教室内の掲示物やクラスメイトの動きに興味が向いてしまい、集中して書けない、気が散りやすい状態になってしまいます。

 

このように板書の苦手は脳の特性による問題のため、子どもに合った支援方法が必要になってきます。

 

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連絡帳が書けない子への支援方法

 

担任の先生との連携のポイント

 

わが家の息子はゆっくり集中すれば、黒板の字を写すことができましたが、板書を書き写すのが苦手で、めんどくさくなってしまったり、みんなと同じペースで書けなかったりして、4年生の時は連絡帳を全く書いてきませんでした。

 

この時は、担任の先生にお願いして、学校から貸し出されているタブレットで黒板を撮影する許可をもらって、毎日写真を撮っていました。

 

そして、5年生になり少しずつ書ける日もあったのですが、遅刻して学校に行った日から、ぱったりと連絡帳を書いてこなくなってしまいました。どうして書けなくなったのか息子に尋ねると、「黒板が消えていて書けなかった。」と話してくれました。

 

「先生に聞いたり、お友達の連絡帳を見せてもらって写しておいで」と話しましたが、休み時間は遊びに夢中で、帰りは早く帰りたいので、なかなかそれもできませんでした。

 

そこで、担任の先生に遅刻しても書けるように連絡帳の内容を消さない工夫をしてもらうことと、遅刻していったときに、連絡帳を書くようにできる範囲で声掛けをしてもらうことをお願いしました。

 

担任の先生も快く引き受けてくれて、遅刻していった日は、授業の途中でも、「まずは連絡帳を書いてね」と声掛けをしてくれたので、息子は遅刻して行ったときに、何をやればいいのかという迷いがなくなり、集中して連絡帳が書けたのだと思います。

 

また、担任の先生には「家ではどんな小さなことでもできていることに注目して褒めるようにしています」と伝えてあったので、担任の先生が連絡帳の内容をチェックするときに、上手に書けた字に花丸をつけてくれたり、一言、「上手にかけたね!」などコメントしてくれたので、だんだんときれいに書く日が増えてきました。

 

 

担任の先生とは普段から連絡帳や学校に行った時にコミュニケーションを取り、息子の特性について伝えることを心がけています。家での様子や、上手く言った時の対応などを伝えておくと、学校での対応をお願いするときにスムーズにいきますよ。

 

子どもによって連絡帳が書けない理由は様々ですので、まずはなぜ書けないか、その理由をお子さんを観察したり、お子さんから話を聞いて見つけてくださいね。わからない場合は、担任の先生に「連絡帳を書いてこないのですが、学校ではどんな様子ですか?」と相談してみるのも良いと思います。

 

なぜ書けないのか、理由がわかったら、連絡帳を書けるようになる工夫を考えましょう。必要な場合、担任の先生にできる範囲で協力してもらえるようにお願いしてみてくださいね。

 

ピントを合わせるのが苦手な子は前の席にしてもらったり、連絡帳の内容を紙に書いてもらって、連絡帳の横に置いて書くなど、ピントを合わせやすくする工夫が必要です。

 

字を書くのを嫌がる、もしくは字が書けない子には、学校で配布されているタブレットがあれば、黒板を撮影する許可をもらうのも一つの方法です。また、翌日の教科や連絡内容に丸付けするだけといったように、書く量を減らす方法もあります。

 

連絡帳を書くのを忘れてしまう、書くタイミングがわからない子には、筆箱や机に「連絡帳を書く」と付箋を貼っておくのもおすすめです。

 

 

少しでも連絡帳を書いてきたら褒める!

 

子どもが連絡帳を書いてこない、書いてきても字が汚いと、

「連絡帳を書けなかった」

「字が汚い」

「途中までしか書けていない」

など、できていないことに目がいってしまい、注意したり、叱ってしまいますよね。そうすると、「自分はどうせ書けない」と子どもの自己肯定感が低下してしまい、ますます連絡帳を書くのが嫌になってしまいます。

 

ですので、注意したくなる気持ちをグッとこらえて、息子には笑顔と優しい声

「今日は連絡帳を書いてきたんだね!」

「この文字がきれいに書けているね」

「明日の持ち物がわかると安心だね」

肯定的な声掛けをしていきました。

 

書けなかった日も「書こうと思ったけど時間がなかった」と言われたら、「書こうと思ったんだね」と、状況をそのまま言葉にするだけでも肯定的な声掛けになります。

 

根気よく肯定的な声掛けを続けたことで、毎日連絡帳を書いてくるようになり、字もきれいに書いてくる日が増えました。

 

いかがでしたか?ポイントは、なぜ連絡帳が書けないか理由を見つけて、対応を工夫することと、肯定的な声掛けを続けることです!

 

担任の先生と連携し、肯定的な声掛けをすることで、連絡帳が書けない子が「書けた!」という成功体験を積み重ね、自信につなげてあげたいですね!

 

できるのにやらない子に
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執筆者:原ちず
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
 
 
字を書くのが苦手な子の支援方法を多数紹介しています!
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