音読嫌いな発達障害グレーゾーンの息子
わが家には発達障害グレーゾーンの小学4年生の息子がいます。もともと読書が嫌いで、本を読む習慣がなかったのですが、「いつか読むようになるだろう」と思って、特に読書を勧めることもありませんでした。
小学3年生に入ってから、毎日の宿題に音読が出されるようになりましたが、文字を読むことが嫌いな息子は音読を嫌がり、なかなか取り組んでくれませんでした。
「宿題をちゃんとやらせなきゃ」
「親がちゃんと宿題を見ていないと思われてしまう」
「音読をしないと、字も読めないし、読解力も上がらないし、これから困る」
と、私はなんとか息子に音読をさせようと、イライラ怒ってやらせる毎日でした。ですが私が怒れば怒るほど、息子は音読をやらず、癇癪を起こすことのくり返しでした。
今、振り返ると苦手なことを無理やりやらせて、できるわけがないと反省しています。自分だって、苦手な英語の長文を読めと言われたら、読めないし、できないのと同じだなと今ではわかります。
音読嫌いを加速させるママのNG行動
お子さんが音読をする時、次のような状態はありませんか?
・ひらがなを間違って読んでいる
・文字を飛ばして読んでいる
・文末を自分勝手に変えて読んでいる
・単語などまとまりで読めていない
わが家の息子は文字を飛ばして読んだり、文末を勝手に変えて読んでいました。そのたびに、
「違うでしょう!」
「よく見て!」
「なんでちゃんと読めないの!」
といつも注意していました。
注意すればするほど、ネガティブな記憶が蓄積して
「音読=嫌なこと」
になっていきます。
そして息子はますます音読が嫌いになり、ついには全くやらなくなってしまいました。このままでは、読解力を上げるどころか、文章すら読めない子になってしまうと悩んでいました。
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読解力を上げる前に必要なこと
みなさんは、読解力の本当の意味をご存じですか?読解力をそのまま解釈すると「文章を読む力」となりますが、文字通りの意味とは異なります。
読解力とは「文章を正確に理解する力」を意味します。書かれた文章から、登場人物の気持ちを推測したり、筆者の考えを正確に読み取ったりする能力です。使われる言葉から、文章に書かれていない部分を読み取る力も読解力に含まれるのです。
国語の学習以外でも読解力は求められます。どの教科でも文章による説明があり、内容を正しく把握する能力が必要なためです。また、読解力には文章を読む力の他に、図形や表を読み取る力も含まれています。
息子の過去を振り返るとわかるように、文字を読むことが苦手な発達障害グレーゾーンの子は、できないことを何度も何度も指摘され、ネガティブな記憶が蓄積しています。
ですから読解力を上げる方法に取り組むより前に「文字を読むこと=楽しいこと」という記憶を作っていくことからはじめます。
ポイントは、子どもが好きなこと、興味のあることを一緒にやりながら文字を読むことです。子どもの読解力を上げるには、まず子どもに文字を読むことが「楽しい」「気になる」「好き」などのポジティブな気持ちにさせることが大切です。
絵本や漫画、ゲームブック、おもちゃの取扱説明書、知育菓子の説明書きなど、一見すると読解力とは関係がないようなものでも大丈夫です。まずは、文字を読む習慣を身につけることが大切なのです。
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子どもの好きなことを使って読解力をあげる方法
ポケモンカードゲームで楽しみながら文字を読む
今、息子が一番好きなこと、それはポケモンカードゲームです。そこで私は息子が大好きなポケモンカードゲームを一緒にやることにしました。
ポケモンカードにはポケモンの名前・タイプ、ポケモンの体力、進化の段階、ポケモンの特性・ワザ・弱点・抵抗力・逃げるためのエネルギー・ルールが書いてあります。ワザの文章は漢字が使われていますが、全てにフリガナが振ってあります。1枚のカードにビックリするほどたくさんの情報があります。
「ママは初めてだから、ゆっくりワザのところを読んで教えてね」
と声をかけると、
「ねこだまし・コインを1回投げてオモテなら、相手のバトルポケモンをマヒにする」
「自分のバトルポケモンとベンチポケモンを入れ替える」
「トリニティノヴァ・自分の山札から基本エネルギーを3枚まで選び、自分の 『ポケモンV』に好きなようにつける。そして山札を切る」
というように、音読嫌いな息子がゆっくりと間違えずに、上手に読んでくれました。
「読んでくれてありがとう!」
「カタカナも漢字も、しっかり読めているね!」
「すごくわかりやすいよ」
と肯定の声かけをしながら、一緒にポケモンカードゲームを楽しみました。
好きなことなら、文字を読むことも楽しいし、文字を読む習慣も身につけることができるとわかりました。
ポケモンカードゲームで楽しみながら読解力を上げる
楽しく文字を読めるようになったら、「読解力を上げる方法」が気になりますよね。
おすすめは「正解がない質問」をすることです。正解がある質問だと、子どもはテストされているように感じ、答えを探してしまい、「考えること」をしなくなってしまうのです。「あなたならどうする?」「どう思う?」と自由に答えられる質問から始めましょう。その結果、高度な問題を考えたり、想像力を働かせたりするようになっていきます。それが読解力なのです。
お母さんとの会話の中で、「なぜ?」と考える習慣が日ごろからあれば、読書ゼロでも読解力は上がります。注意点は、単に文章を読んだり、読み聞かせるだけでは不十分で、時折、質問をしながら子どもに考えさせることがポイントです。「答えが出るかどうか」「正しいかどうか」ではなく、思考する瞬間を増やすことが重要です。
そこで、私は「なぜ?」と考えるような質問をしながらポケモンカードゲームを一緒にやることにしました。
「ポケモンカードゲームで一番重要なことなんだと思う?」と聞くと、
息子は、「先攻を取ること」と。
「なんで先攻だといいの?」と聞くと、
「わからない」と。
「わからない」と子どもが答えてもOK、考える時間を作ることが重要なんです。
次に私がじゃんけんで勝ったので、先攻を取りました。先攻はトレーナーズカードを使えないし、最初の番は攻撃ができないので、先攻を取ることで何がメリットなのかわからないことを、息子に伝えると、
「ほんとだ。後攻のほうがいいかもしれない」と。
しかし、持っているカードによって先攻でないと使えないカードもあるようです。
「先攻しか使えないカードもあるから、先攻を取るほうがいいときもあるよ。」
と、息子は考えて答えてくれました。
こうして、子どもと一緒に子どもが好きなことをやって、楽しみながら、答えのない質問することで、『なぜ?』と考える機会が増え、会話が増えることを実感しました。
ポケモンカードゲームを初めて1か月半後
春休みの1週間前のことです。3学期に一度も宿題をやらなかった息子が
「ママ、春休みの宿題全部やったらプレイマット買ってくれる?」と聞いてきました。
プレイマットはポケモンカードゲームの対戦で使うマットです。
「全部終わったら買ってあげるね」と約束すると、すぐに取り組み始め、3時間半でタブレットの配信ドリル30ユニットを終わらせてしまいました。
間違えた問題は後で出てくる解説を見て、次に出てくる問題をしっかり読んで答えていきます。私でも解説を見ないとわからなかった㎠と㎡とaとhaと㎢の関係も何度も解説を見て、覚えました。
国語の文章問題も、「ママ教えて」と言って、私の話をじっと聞いて、自分で考えることができるようになりました。
なかなか正解しなくても癇癪を起こさず、最後まで取り組めました。
算数の文章問題では、「こんなのポケカより簡単な文章だよね」と私が言うと、「ポケカの方が難しい」と、スラスラ解いていました。
ポケモンカードゲームを始めて1ヶ月半。文章を読むことが苦でなくなっただけでなく、読解力がついて、算数の文章問題もスラスラ解けるようになって驚きました。
いかがでしたか?
読解力を上げるポイントは
・子どもの好きなこと、興味のあることを使って楽しく文字を読む
・楽しく会話をしながら、「正解のない質問」をして、「なぜ?」と考える習慣をつける
この2点です。
みなさんもぜひ試してみてくださいね。
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執筆者:原ちず
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)