1.苦手な音がどんどん増えていく繊細な子
現在小学2年生のわが家の繊細な娘(通称:ミカ)が保育園に通っている頃、大きな音がすごく苦手な耳が敏感な子でした。
例えば、
・運動会のよーいどん!のピストルの音が怖くて、みんなと一緒に走り出せない
・花火の音が苦手で遠くであがる小さい花火を、車内で見ることしかできない
・映画館の音が大きすぎると感じて、耳を塞いで外へ出る
小さい頃は、気にも留めていませんでしたが、成長するにつれ苦手な音が増えていきました。
2.「大きな音が怖い」は脳のストレスサイン!?
私は「お家で脳を育てる発達科学コミュニケーション」に出会い、繊細な子の心と脳のしくみを知りました。
小さい頃は平気だったものが成長するにつれて、苦手なものが増えていくのは繊細な子の”脳のストレスサイン”だったのです。
その中でもミカは、聴覚が敏感に反応してしまう “聴覚過敏”だということがわかりました。
そもそも繊細な子は、音、光、匂いなどの受け取る情報量が人の何倍もあります。
この受け取る脳の機能は、人間にとって危険なものを察知して身を守る重要な機能でもあります。
しかし、受け取る量に対して自分で消化できる量が少ないと、脳が処理しきれずにキャパオーバーになり、それがストレスとなって、溜まっていってしまうのです。
そのストレス状態の脳が、音に過敏に反応してしまい、今まで大丈夫だったものが苦手になることに繋がります。
この場合、苦手なものを無理に平気にさせようとするのではなく、不安を緩和させてあげることが大切です。
3.聴覚が敏感な繊細な子の不安が和らぐママの対応
大きい音が苦手、怖いと感じて聴覚が敏感になっているときは、繊細な子の心と脳は不安でいっぱいになっています。そんなときにオススメのママの対応をご紹介します。
①ネガティブな感情への共感は逆効果
「大きい音がイヤだ!」「怖い」というネガティブな気持ちに「そうだよねー」「ママも怖い時あるよー」と共感してしまうと、繊細な子の不安な気持ちをどんどん大きくしてしまいます。
1つの不安が10になり100になり「大きな音=怖い」のネガティブな感情と記憶がセットで脳に定着してしまうのです。
「そうだよねー」から「そうなんだねー」と肯定も否定もしない、ただ受け取る言葉への言い換えがオススメです。

②心と脳の不安を緩和する「安心」の貯金
不安がいっぱいな脳は「安心」を上手く感じられません。
少しずつ安心の範囲を広げてあげましょう。
まずは、繊細な子が今している行動に注目しましょう。
例えば塗り絵をしているとしたら、
「ここ青に塗ったんだねー」とママが興味を持つことで「ママは見てくれている」と繊細な子の脳が「安心」を感じられるのです。
③「大丈夫だった」の小さな安心を積み重ねる
「これならできそう」と思えるような、小さなステップで「大丈夫だった」という安心を積み重ねていきましょう。
例えば花火の場合、
・遠くから車内で見る
・遠くから外に出て見る
・少し近づいて見る
・好きなものを手にしながら見る
それを積み重ねることにより、大丈夫と思える安心の範囲が少しずつ広がっていきます。
4.不安が安心に変わった繊細な子の変化
聴覚が敏感になり、どんどん苦手が増えていくミカを見て、 私はずっと「どうして?」「この先、大丈夫かな…」と心配していました。
繊細な子の不安を安心に変える対応に変えると、すぐに大好きな映画を映画館で見れるようになりました。予告を見て「次はコレね!」と楽しみにしています。
年長になった頃には、運動会のピストルは、コースの1番離れた場所にしてもらうことで、よーいどん!でみんなと一緒に走り出せました。
1番驚いたのは花火です。
私が花火が大好きなことを知っているミカは、今年の花火は「挑戦してみる!」と車から出て会場に花火を見に行く挑戦をして、大きな花火を一緒に見ることができました。
子どもが不安を言葉にしたとき、共感するのではなく「安心の貯金」と「小さな大丈夫」を積み重ねることで、 脳の過敏な反応がやわらぎ、「不安が安心」に変わっていきますよ。
執筆者:やまさき うみ
発達科学コミュニケーショントレーナー