繊細な子にとって新学期は不安な時期。行きしぶりの予防、今から始めませんか?実はネガティブな感情への共感は逆効果!ママができる、不安になりやすい脳を安心モードに切り替える秘訣をお伝えします。
1.「学校嫌だな」行きしぶりを繰り返す繊細な子
連休明けや長期休み明けは決まって「学校嫌だな」「行きたくない」「このままずっと休みならいいのに」と行き渋ることはありませんか?
繰り返される行きしぶりは、ママも「また始まった」「いつまで続くのだろう」と心配になってしまいますよね。
わが家の繊細な娘も、小学校1年生の夏休み以降行きしぶりを繰り返していました。
2年生になり行き渋りは解消したものの、長期休み明けは本人に緊張が走り、直前になって「学校嫌だな」と呟くこともありました。

2.繊細な子が新学期を不安に感じる理由
繊細な子が新学期を不安に感じる理由は2つです。
まず、繊細な子はひといちばい敏感なため、刺激が多い集団生活が疲れやすい場所だということです。
リラックスできるお家と大きくギャップがある学校に戻っていくのは、とても勇気がいることなのです。
そして次に、繊細な子の脳は、ネガティブな感情と場面をセットで強く記憶する特徴があるからです。
いくら「大丈夫」「すぐに慣れるよ」と言われても、「何が大丈夫なの?」「だってあの時も…」と記憶と感情が蘇り、脳が体にSOSサインを出すのです。

娘も、1年生の夏休み明けから学校に行けなくなった記憶で、「休み明け=学校が嫌になる時期」とインプットされているようでした。
「また学校に行けなくなったらどうしよう」というプレッシャーから不安が襲ってきたのでした。
3.行きしぶりは予防できる!繊細な子の脳が安心するママの声かけの秘訣
繊細な子が一度インプットした感情や記憶は、なかなか簡単にはなくなりません。
「発表の時に間違って恥ずかしかった」
「計算したいのにお友達の声がうるさくて集中できなかった」
という風に、たったひとつの嫌な出来事がネガティブな感情として記憶され、気付けば「学校=嫌」と行き渋りが悪化することがあります。
このネガティブな記憶をポジティブに変えていくには、ママのサポートが不可欠です。
では、繊細な子の脳が安心できるママの声かけについてお伝えしていきます。

◆ネガティブ発言はスルーが鉄則!
繊細な子は人の感情に敏感に反応するため、「怖い」「いやだ」という言葉に対して「怖いよね、いやだよね」と共感することで、ネガティブ感情が強くなってしまいます。
本当は少し嫌なだけだったのに、ママが良かれと思ってかけた「いやだよね」の言葉に、「そうなんだ、やっぱり嫌な事なんだ!」と、ネガティブな感情がさらに溢れて出てしまいます。
「学校嫌だな」とつぶやいても、まずは聞こえないふりしてスルーし様子を見ます。
◆否定も共感もせず、ただ「受け止める」
何度も繰り返すネガティブ発言には、対応が必要です。
が、ここで否定や共感をすると、「認めてもらえなかった」と自信を失ったり、先ほどお伝えしたように不安が膨らんでしまいます。
大事なのは、「ただ受け止める」ということ。
私がよく使っていた魔法の言葉は、「そうなんだ~」「そう思ったんだね」です。
ママの心配や焦りは伝わるため、「あれ?ママ笑ってる。大丈夫ってこと?」と安心を与えられるような、笑顔と穏やかな声のトーンで、いつも通りに接しましょう。
◆不安を強めない質問方法
受け止めてもらえたことですっきり解決!ということもありますが、もし浮かない表情が続く場合には、質問でお子さんの気持ちの整理を手伝ってあげましょう。
質問するときのポイントは、「ネガティブ感情を強めない言葉」にすることです。
たとえば、「何が嫌なの?」という言葉を聞くと、脳は嫌なことを思い出そうとします。
おすすめの質問法は、「ちなみに何か気になる?」「こうだったらいいなと思うことある?」と明るいトーンで質問すること。
嫌だというネガティブな感情に注目させるのではなく、気になっている「コト」は何なのか?自分はどうしたいのか?に気付かせる質問をしてあげたいです。
こうして、漠然とした不安な感情に名前がつけば、ネガティブな感情として蓄積せずに、その場で解消されます。
「ママには何でも話していいんだ」
「話せば解決するかもしれない」
と、言葉にすることで自己解決する力を学ぶこともできます。
◆ママのスキンシップで脳をリラックスモードにする
お子さんが不安を感じている時にはスキンシップも効果的です。
肌は「第3の脳」や「露出した脳」とも呼ばれるくらい、脳ととても関係があります。大好きなママとの触れ合いは、脳が「オキシトシン」という幸せを感じるホルモンを出して、リラックスする効果があるのです。
わが家では、「そうなんだ~」と笑顔で受け止めながら、頭をなでたり、肩に手をまわしたりと、いつもよりスキンシップを多めにとるようにしています。
過剰に反応すると不安が膨らむので、強く抱きしめるより、軽めのスキンシップが効果的でした!
日頃からの些細なネガティブな感情をママとのコミュニケーションで解消しておけば、ネガティブな感情を消化したり、ポジティブに上書き保存することだって出来ます。
どんな時でも、ママが笑顔と穏やかな声で、いつも通り受け止めてくれることが、繊細な子の安心感につながります。
今日から早速、脳を安心モードに切り替えて、新学期への不安も安心に変えてみませんか?

執筆者:ふじい あきな
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)