話を聞いていない、褒めても響かない…。そんな発達障害・グレーゾーンの子どもとの関わりに悩んでいませんか?実はそれには、ママの関わり方のせいではない、ちゃんとした理由があります。話を聞いていなかった娘に、褒めが届くようになった私の実体験から3つのポイントをお伝えします。
話を聞いていない、褒めても響かない子に悩んでいませんか?
何度声をかけても、聞いていない。
話をしても反応が薄い。
褒めているのに、全然届いていない気がする。
そんな風に感じることはありませんか?
私には、自閉スペクトラム症(ASD),注意欠如・多動症(ADHD)
の診断を受けている小学4年生の娘がいます。
“子どもは褒めて育てる”
“親子で会話を楽しむ”
そんな関わり方が大切だということは、私自身も知っていました。
だからこそ、日々の声掛けや会話を意識して過ごしていたのです。
日中は仕事をしており、なかなか娘とゆっくり関わる時間がつくれないので、
帰宅後は娘と会話をすることを心がけ、
また、小さなできていることにも目を向けて、
「本を本棚に戻してくれたんだね」
「今の言い方優しくて良かったよ」
といったように、具体的にちゃんと言葉にして伝えるようにしていました。

ところが…
「うん」と返事をしていても、
後になって「聞いていない!」と怒ったり、
「お母さんは全然褒めてくれない!」と言われることが多く、
“さっき返事してたでしょ!?”
“こんなに褒めているのに覚えていないの!?”
と、イライラしたり落ち込んだりを繰り返す日々でした。
こんなに意識をして、毎日一生懸命声をかけているのに娘には全然届いていない…。
今までやってきたことが全部無駄だったように思えて、
私はとても大きなショックを受けました。
なぜ聞いていないの?子どもの脳の特性とは
発達障害・グレーゾーンの子どもが
「話を聞いていない」
「褒めが届いていない」
そんなふうに見えるとき。
それは、わざと無視しているわけでも、反抗しているわけでもありません。
実は多くの場合、そもそも言葉が脳まで届いていない状態にいるのです。
大人でも、スマホに集中しているとき、本を読んでいるとき、考え事をしているとき、声をかけられても「聞こえていなかった」経験、ありますよね。
発達障害・グレーゾーンの子どもは、
・ひとつのことに強く集中しやすい(過集中)
・視覚の情報に意識が向きやすい(視覚優位)
・耳からの情報だけでは処理が追いつかない
といった脳の特性をもっていることがあります。
つまり、「聞かない」「聞いていない」のではなく、そのときはまだ「聞ける状態になっていなかった」だけなのです。
褒め方が悪かったわけでも、関わりが足りなかったわけでもありません。
この状態のときに、どれだけ正しい言葉をかけても、どれだけ気持ちを込めて話しても、残念ながら、言葉はすり抜けてしまいます。

どうしたら話を聞いてくれるのだろう…
そう考えて試行錯誤していた私は、このことを知ったとき“届く状態を作らずに言葉を投げかけていた”ことに気がつきました。
それが、娘に私の言葉が届かなかった一番の理由だったのです。
言葉が届くようになった3つの関わり方
では、どうしたら子どもが話を聞くようになるのか。
私が娘にしたことは、言葉の内容を変えることではありません。
「どう伝えるか」の前に、“伝わる状態をつくること”を意識するようになりました。
実際に実践した3つのことをお伝えしますね。
近づく
まず一番最初のステップとして、娘のそばまで行く。物理的に距離を縮めることをしました。
以前の私は、“キッチンから” “隣の部屋から” “家事をしながら”遠くから声をかけることが多かったんです。
だけど、それだとどうしても声が大きくなりがちで、発達障害・グレーゾーンの子どもは、それだけで「怒られているのかな」と身構えてしまいます。
そうすると脳は緊張状態になり、「聞く力」「理解する力」は一気に下がってしまうのです。
つまり、子どもは安心して話を受け取れる状態ではなくなってしまうのです。
それでは言葉が届くはずもありません。
ただ近づくだけで、自然と声のボリュームもさがり、私自身の気持ちも落ち着いていきました。
スキンシップ
そして次に、近づいたらそっと肩に触れる、頭をなでる、背中に手を添えるなど、必ずスキンシップをとることを意識しました。
触れることで、娘の意識が自然と私に向くようになります。
言葉だけでなく、触覚からの刺激が加わることで、注意がこちらに向きやすくなるのです。
またそれと同時に、子どもの中に安心感が生まれ、「話が聞ける状態」が整っていきます。
これは大きな変化でした。

視線を合わせる
そして一番大きかったのが、目を合わせること。
本を読んでいるとき、タブレットやゲームに集中しているとき、そのまま話しかけても、返事が返ってきたとしても、中身は届いていませんでした。
名前を呼び、目が合ってから初めて言葉を伝える。
視線が合うだけで、脳は「今は人の話を聞く」状態に切り替わります。
「聞いていない」のではなく、
「聞こえていなかった」だけ。
この気づきは、私にとって衝撃的でした。
言葉が届くようになると、子どもとの会話が変わり始める!
こういった3つを意識して関わりを続けるうちに、娘に少しずつ変化がみられるようになりました。
・「聞いていない!」と怒ることがほとんどなくなった
・私の話を穏やかに聞く時間が増えた
・褒めたときに、ニコッと笑うなど表情が変わるようになった
劇的な変化ではないかもしれません。
だけど、私にとっては確かな変化でした。
そして何より、私自身がイライラしなくなったのです。
「また同じことを言わないといけない」
「褒めているのに褒められないと言われる…」
そう落ち込むことがなくなりました。
届かなかったのは、娘自身が“話を聞ける状態になっていなかっただけ”。
私の言葉が届くようになってから、
娘は「お母さんは褒めてくれる」という自覚がでてきたり、
私の声掛けに対しても、穏やかな口調で返事をしてくれるようになりました。
そのことが私は何より嬉しく、お互い笑顔でコミュニケーションをとることができるようになったのです!

もし今、話をきいていない、褒めても届かないと悩んでいるママがいたら、まずは、
●近づく
●スキンシップ
●視線を合わせる
この3つから始めてみてください。
完璧じゃなくても、少しずつでも構いません。
どれかひとつだけから始めてみてもいいと思います。
言葉が届くようになると、子どもとの会話は確実に変わり始めます!
私のこの経験が、同じように悩んでいるお母さんの参考に少しでもなれば嬉しく思います。
執筆者:菅原 妃芽
(発達科学コミュニケーション アンバサダー)


