発達障害で怒りっぽい子との外出に、悩んでいませんか?外出が増える季節だからこそ、怒りの理由に戸惑う場面も増えるかもしれません。笑顔で帰るために私が変えた視点と工夫をお伝えします。
怒りっぽいわが子との外出がつらい…
私たち夫婦は出掛けることが好きで、休日になると動物園や水族館、公園など、たとえ近場であっても子どもが喜びそうな場所には積極的に連れて行きました。
家族でたくさんの思い出を作ることが、“幸せのカタチ”のように私は思っていたのです。
そんな環境で育ってきたこともあってか、わが家の自閉症スペクトラム症(ASD)、
注意欠如・多動症(ADHD)の診断を受けている小学4年生の娘も、
「今度の休みはどこ行くの?」と聞いてくるほど出掛けることが大好きです。

ところが…そんな理想とは裏腹に、外出先では「もう帰る!」「こんなところ楽しくない!!」と怒り出してしまうことが何度もあり、そのたびに予定を切り上げて、家路につくことがほとんどでした。
たとえ娘自身が行きたいと言った場所であっても、それは変わりません。
私は「何で!?」「周りの子はあんなに楽しそうなのに、どうしてうちの子は楽しめないの?」とイライラしてしまったり、「せっかく連れてきたのに」「滞在時間よりも、移動時間の方が圧倒的に長い…」と、いつも悲しい気持ちになっていました。
そんな怒りっぽい娘との外出に、帰りの車の中は、いつもみんながイライラしたとても重たい空気が流れていました。
私が思い描く“幸せのカタチ”とは程遠い外出ばかりとなり、「こんなことになるなら連れて来なければよかった…」と感じるようになっていきました。
発達障害の子が怒りっぽく見える本当の理由
外出先で頻繁に怒り出す娘の姿を見て、私は「どうしてこんなに怒りっぽいの?」「性格なのかな‥」と思っていました。
ですが、怒っているようにみえるその姿は、実は“怒り”ではなく、“困っているサイン”であることが多いと知ったのです。
発達障害のある子どもは、
・先の見通しが立たないことに強い不安を感じやすい
・予定変更や予期せぬ出来事への切り替えが苦手
・頭の中でイメージできないことに対して、不安が高まりやすい
といった特性をもつことがあります。
不安が高まると、脳は自分を守ろうとする働きが強くなります。
そのとき、不安をうまく言葉で伝えられないと、その守ろうとする反応が“怒り”というかたちで表れてしまうことがあるのです。
たとえば娘の場合、何度も行ったことのある水族館でもそうでした。
自分が見たい場所を見終わると、娘はすぐに「もう帰りたい!」と言い出します。
でも、そのとき隣では次女が「次は〇〇見に行こう」とまだ楽しそうにしている。
そこで「もう少し待ってね」と声をかけても、娘の中では「あとどれくらい?」「いつ帰れるの?」「まだいないといけないの?」と、先が見えない不安が一気に膨らんでしまいます。
さらに、人の多さや音の大きさ、においなどいつもと違う環境で刺激となるものも多く、思い通りにならない状況と、終わりが分からない不安で娘は「帰る!」「早くして!!」と、その気持ちが怒りとしてあふれてしまいました。

つまり、怒りっぽく感じていたその姿は、わがままや性格ではなく、「分からない」「不安」「助けて」そんなサインだったのかもしれません。
だから私は、怒りを止めようとすることや、その場でどう対応するのかではなく、娘が安心して出掛けられる準備をすることへと視点を変えていきました。
次の章では、私が実際に行った“安心のための準備”を具体的にお伝えします。
▼叱っても褒めてもやらない子の切り替え力が伸びる!
\表紙をクリックしてダウンロードできます/
笑顔で帰るために私が見直した視点と工夫
先ほどお伝えしたように、私は“外出先でどうなだめるか”ではなく、“出掛ける前にどれだけ安心を重ねられるか”という事前準備に目を向けるようになりました。
それまで事前準備といえば、荷物や時間の確認など、大人側の準備だと思っていました。けれど本当に必要だったのは、娘の“気持ちを整える時間”だったのです。
そんな視点に立って、私が実際に始めた準備をいくつかお伝えします。

事前に予定を伝える
まず、一番初めにしたことは、外出の予定を前もって伝えることでした。
私は少なくとも3日前、初めての場所や遠出の時には1週間ほど前から、「今度のお休みには〇〇に行こうと思ってるよ」と、声をかけるようにしました。
突然ではなく、少しずつ気持ちを整えられる時間をつくること。
その子に合った“予告の長さ”を探ることも大切だと感じたのです。
当日の流れを一緒に確認
次に意識したのは、1日の流れをできるだけ具体的に伝えることです。
「朝、〇時に家を出るよ」「これくらい車に乗るよ」「お昼ご飯はここで食べようと思っている」と、何度も伝えるようにしました。
そうすることで、子ども自身が見通しを立てられるようになり、安心感は大きく変わります。
視覚情報でイメージを持たせる
さらに、本やタブレットを使って行き先の写真や映像を一緒に見ました。
発達障害のある子は視覚優位な子が多く、実際の写真やYouTubeなどの動画を見ることでイメージしやすくなります。
「こんなところがあるんだね!」「お母さんは、これを見るのは楽しみだな」と楽しく会話を重ねながら、未知の場所から“知っている場所”へと変えていきました。
ほかにも、偏食のある娘のために食べられるものを準備しておくなど、小さな安心をひとつずつ重ねました。
これらは怒りを止めるためのその場の対応ではなく、娘の不安を減らすための準備です。その積み重ねが、外出当日「楽しみ!」という言葉につながっていきました。
「楽しかった!」に変わった怒りっぽい子との外出
こうした事前準備を重ねる中で、娘は少しずつ見通しを持てるようになりました。
当日を迎える前から「〇〇に行くの楽しみ!」そんな言葉が聞けるようになり、外出先でも、自分が行きたい場所だけでなく、家族が行きたいと言っていた場所を受け入れられる場面が増えていきました。
また、「まだ〇時だね」と時間を意識する様子も見られるようになり、先をイメージできることで、以前よりも落ち着いて過ごせる時間が増えていったように感じます。
そして何より大きく変わったのは、帰りの車の中や、家に着いてから、あるいは数日後に、娘の方から「楽しかったね!」と話してくれるようになったことです。

もちろん、今でもイライラしてしまうことはあります。事前準備だけで、すべてのお出掛けが笑顔で終わるようになった訳ではありません。
それでも、「どうやって怒らせないか」ではなく、「どんな不安があるのかな?」という視点で少し立ち止まり、準備を重ねることで、笑顔で帰れる日が少しずつ増えていきました。
もし今、外出のたびに心が折れそうになっていたり、家族で楽しい思い出を作りたいと、もう十分頑張っているお母さんの参考に、少しでもなれば嬉しく思います。
執筆者:菅原 妃芽
(発達科学コミュニケーション アンバサダー)


