ADHD思春期男子の子育ての悩みとは?
思春期になった途端、急になくなっていく母と息子の会話。
「今日の給食なんだった?」と聞いても、「さあー」とか「あー」とか、質問の答えが返ってこないなんてことも多くなります。
仕方なくメニュー表を見ながら、
「今日はカレーね。美味しかった?」
「美味しいよね。学校のカレーってなんであんなに美味しいんだろうね〜」
と一人で聞いて、一人で答える…なんてことをしているお母さん方も多いのではないでしょうか。
思春期になると、それまで当たり前にしていた「母親とのたわいのない会話」が、「とてつもなくめんどくさく、意味のないもの」のようにに感じてしまい、拒否反応を示す男の子が多くなります。
会話がないだけならまだしも、常に不機嫌で、何を考えているかわからない。
母親が言うことは全て受け付けないという男の子も多くなります。
思春期になった我が家の息子も、こちらが話しかけても「そういうのもういいから、うざいんだけど」と冷たく言い放ち、夕食を食べたら、ぷいっと自分の部屋にこもってしまうなんてことも多くなりました。
そうなるともう、聞きたい情報が入ってこなくなり、学校での様子がぷつっと途絶えてわからなくなってしまいます。
これは、思春期男子のあるあるエピソードですが、「そういう年頃だから…」と放っておいても本当に大丈夫でしょうか?
会話がないADHD思春期男子の困りごと
思春期男子の会話のなさは、母親にとっては不快で、心配でしかない状態ですが、学校で問題なく過ごせているようでしたら、放っておいて大丈夫なんです。
思春期男子のぶっきらぼうな状態は、母親から離れて自立していく一過程になります。
ただ、学校でも家でも、やらかしてしまうことの多い注意欠陥多動障害(ADHD)傾向の男子の場合は、少し気をつけてアンテナを貼っておく必要があります。
特に、学校で「問題児」として扱われてしまいやすいADHD系の男子は、要注意です。
ADHD傾向の男子は日頃から、叱られたり、注意されたり、周りからの否定的な声かけをたくさんされています。
そして、褒められたり、人の役に立ったりというプラスの経験が少ない傾向にあります。
外で否定の声かけにたくさんさらされている状態で、家での母親との会話がなくなるということは、母親の肯定的な声かけが全く子どもに届かなくなるということです。
その状態でトラブルが起こってしまうと、一気に否定の言葉の集中攻撃にあってしまい「自分はダメな人間だ」というネガティブな思いに凝り固まっていきやすくなります。
「思春期だから」「誰もが通る成長過程だから」と放っておくと、知らないうちにすっかり本人が自信を喪失してしまっているということにもなりかねません。
会話がないADHD系の思春期にさしかかる男子の様子には、お母さんは注意を払っておく必要があります。
ADHDの子が才能を発揮させるために必要なものとは?
ADHD傾向の子は、トラブルを起こしやすく、問題児扱いされやすいですが、実はたくさんの長所も持っています。
特に、自分の大好きなことには時間を忘れ没頭し、よりよくするにはどうしたらいいかと研究に余念がありません。
我が家の息子も好きなバスケの練習なら、1日中何時間でもやっていられます。
次はこんな練習をしてみよう、これを取り入れてみようと、研究するのも大好きです。
しかし、それは、本人の気持ちに余裕があり、自分に自信があるときの話です。
うちの息子は、普段はやる気満々で元気いっぱいのADHD男子です。
しかし周りの気持ちを読み取りにくいので、同じように周りが頑張ってくれないことに文句を言ってしまったり、いいと思う練習方法を押し付けてしまったり、色々な場面でトラブルや失敗を起こしやすいのも事実です。
そしてトラブルになり、「なんなのお前!」と周りの冷たい批判の目にさらされた途端、
「もういい」
「もうめんどくさい」
「もうやらない」
とネガティブワード全開で、全てを簡単に投げ出してしまうのもADHD傾向の思春期男子の特徴です。
問題児扱いされてきたADHD系の思春期男子は、うまくいかなかった経験がたくさんあるので、そもそも自分に自信がないのです。
ですので、ちょっとつまずいてしまうと、簡単に「もういいよ」と諦めてしまいます。
せっかくいいものを持っていても、そうやって簡単に投げ出していては、才能は開花していきません。
簡単に諦めないようにするには、ちょっとのことでは失われないぐらいの強い自信を身につけさせてあげることが必要になります。
自信は、否定の声かけよりも、肯定の声かけを多くすることで身につきます。
周りから褒めてもらう機会の少ないADHD傾向の男子に自信を持たせるには、お母さんの日々の肯定的な声かけが絶対的に必要になるのです。
とはいっても、普段から会話がないADHD思春期男子です。
次項では息子の脳に肯定の声かけを届けるために私が取り組んだ秘策をお伝えしますね!
会話のない思春期ADHD男子の才能を開花させる肯定を届ける母の秘策とは?
母親との会話がない状態で、肯定の声かけを子どもに伝える作戦は2つあります。
◆お耳拝借します作戦
これは、第三者の前で子どものことを褒めて、その「褒め言葉」を子どもに聞かせるという作戦です。
私は、ことあるごとに主人に向かって息子のいい報告をするようにしました。
もちろん耳を拝借するのは2人。主人と、そして息子です。
息子の部屋の近くに主人がいるときに、
「ねえねえ聞いて。今日ね、ご飯が終わったら食器を下げてくれたんだよ!最近よくやってくれるんだ。すごいでしょ!」
「最近バスケの練習でこんなことやり始めているんだよ。自分で調べてやってるみたい。すごく成長してきたね〜!」
と息子のことをなんでも嬉しそうに話して聞かせるようにしました。
この作戦のいいところは、主人にも息子の良いところが伝わるので、主人が「最近頑張ってるらしいじゃん」と息子に言ってくれる機会が増えて、肯定の言葉かけが自然と増えていったところです。
母親の間接的な褒め言葉と、主人からの直接の褒め言葉の相乗効果で、直接の会話は少ないものの、息子はどんどん自信をつけていきました。
◆ちょっと出ちゃいました作戦
会話がないADHDの思春期男子に褒め言葉を届けるもうひとつの作戦は、
「ちょっと出ちゃいました作戦」です。
これは、お母さんがうっかり褒め言葉を一人でつぶやいてしまうという作戦です。
「いや、これすごいわ…」「えっ!これできるんだ!」などと、独り言を言って、耳で褒め言葉を聞かせる作戦です。
本人に向かって言うのではなく、あくまで独り言として、本人の顔も見ずにつぶやくのがポイントです。
私は、本人が話したくない話題などの際にもこの「ちょっと出ちゃいました作戦」をよく使っています。
おすすめはテストの話題です。
テストを持ち帰ってきた時には、必ずこの作戦を使っています。
「数学〇〇点、あれだけの勉強時間でこれだけ取れればすごいわ」
「英語〇〇点、惜しいね〜、よくやったよくやった」
などと結果が悪くても必ず一人でつぶやいて肯定の言葉を聞かせています。
この作戦のいい点は、独り言なので、お母さん自身が子どもの返事を期待しなくていいという点と、実際に子どもも返事をする必要がないという点です。
色々なことが面倒になる思春期男子は、「そもそも返事をすること自体が面倒」という厄介な理由で会話をしなくなっていたりするので、返事の必要がない独り言は子どもにとっても好都合なのです。
初めは「うるさいな。黙ってろ」などと言ってきたりしますが、「え?私なんか言ってた?」とすっとぼけていると、子どももだんだん慣れてきます(笑)
独り言のいい点は、全く違う方向を向きながら、本人にどんどん褒め言葉のシャワーを浴びさせることができるところです。
「あ!制服かかってるじゃん!」
「誰?これやってくれたの、助かるわ〜」
と色々なシーンで、褒め言葉をつぶやいて、自信をつけさせてあげましょう。
自分が好きなことにはとことん熱心なADHDの思春期男子は、たくさんの才能を持っています。その才能を開花させるには、ちょっとやそっとのことで揺らがない自信が必要です。
会話のないADHD傾向の思春期男子に自信を持たせるには、お母さんが家庭で、どんどん肯定の声かけのシャワーを浴びさせてあげることが有効です。
会話がなくても子どもに肯定の声かけを届けることができます。
肯定の言葉で満たされ、しっかりと自信を持った子は、たとえトラブルがあっても、
「また頑張ってみよう」と思う意欲と、「批判されても大丈夫」という心の余裕が芽生えます。
我が家の息子も、自信と余裕が出てきてからは、自分の思いをむりやり相手に押し付けることがなくなりました。
周りとのトラブル自体が減って、さらに周りを巻き込んで、バスケへの熱を深めています。
ADHDの思春期男子の才能を開花させるには、お母さんの声かけが必要です!
会話がないADHDの思春期男子にはぜひ、①お耳拝借します作戦と、②ちょっと出ちゃいました作戦でたくさんの褒め言葉を届けてあげてくださいね。
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)
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