小学生の暴力的な行動に怯えていた私
我が家には、小学5年生の自閉症スペクトラム(ASD)グレーゾーンの息子がいます。
息子は、幼いころから相手の気持ちの共感や理解をすることが苦手でした。
小学校に入学してからも、静かにしないといけない場面でおしゃべりが止まりません。
行動の切り替えが下手で、やりたくないことは絶対にやらず、屁理屈をこねてやりたいことだけをしていました。
そんな息子を私は自分勝手だと思い、いつも叱ってばかりいました。
「帰ってきたらうがい、手洗いをしなさい!」
「よく噛んで食べなさい!」
「家庭学習、何もしてないじゃない!」
「なんですぐに物をなくすの!?大事にしなさい!」
「明日の学校の準備はしたの?」
「しゃべってばかりいないで、私の話を聴いて!」
息子は小学4年生頃から集団行動ができなくなり、冬から完全に不登校になりました。
不登校前から思い通りいかないと癇癪をおこしていましたが、不登校後から癇癪は次第にエスカレートし、暴力をふるうようになりました。

物を投げる。
ハーバリウムや食器、タブレットを床にたたきつけて壊す。
奇声をあげて狂ったように私やパパをサンダルで叩く。
包丁の刃を向けてくる、などなど…。
息子の暴力を取っ組み合いで抑え込むこともありました。
何をきっかけに暴力をふるうのか、どのように対応したら息子の暴力は落ち着くのか。
息子の暴力的な行動がこのままもっとひどくなっていったらどうしようと、私は恐怖と不安で一杯の毎日でした。
手に負えないほどの激しい暴力や暴言…
その強い怒りは「脳からのSOS」です。
脳を落ち着かせる声かけをチェック
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小学生が物を投げる時に脳で起きていること
ASDグレーの子どもは、生まれつきの個性や特性(一次障害)に対して、息子のように幼い頃から叱られてきて自信をなくしていることが多いです。
叱られ体験や失敗体験の積み重ねから、不登校やひきこりなどの問題を起こす状態を二次障害と言います。
二次障害の一つとして、「暴力をふるう」こともあります。
脳は大きく2つに分けることができ、内側に本能的な脳があり、ここに「感情の脳」「記憶の脳」があります。
ASDグレーの子は、内側の本能的な脳の発達が遅れやすいと言われています。
外側には理性的な脳があり、「聞く」「見る」「理解する」「考える」などの脳があります。
「考える」脳は発達障害の影響を最も受けにくく、ASDグレーの子でもよく育つと言われています。
しかし、「考える」脳が早熟な場合、過度に自己主張が強くなり、反抗性の二次障害である「暴力」に発展しやすくなります。
そして、暴力をふるい、物を投げるような行動をしているときは、「怒り」のため発達が遅れがちな内側の本能的な脳で「感情の脳」が暴れている状態です。
外側の理性的な脳も含め、脳全体がハイジャックされています。

外側の理性的な脳に「聞く」領域があるので、暴力的になっている時は、お母さんがいくら叱っても、暴力を止めるお母さんの声は聞こえていません。
叱っても諭しても、むしろ「また、やってしまった!」「また、叱られた!」とますます自信を失うだけなのです。
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物を投げる小学生が落ち着く3つの対応
小学生の暴力的な行動を静めるためには、脳に声が届く落ち着いているときに、3つの対応をすることが大切です。
高学年であっても、この3つの対応によって落ち着かせることが十分に可能です。
子どもの行動を直接変えようとするのではなく、大人の関わり方を「構造」として整えるアプローチを取るのです。
以下の3つの対応を日常の中で実践してみましょう。
対応1.当たり前の行動を実況中継で伝える
「実況中継」は、いま目の前の子どもがしている行動に注目して、見たままを言葉にする対応です。
今できている当たり前の行動に注目します。
「起きてきたんだね」
「ご飯たべてるね」
「着替えるんだね」
とシンプルに伝えましょう。
明るく笑顔で実況中継をすることで、子どもは、ママやパパが自分に注目し認めてくれていると感じられます。
これは、褒められているのと同じです。
単に「すごいね」と褒める言葉だけを伝えるのは控え、行動とセットで「一人で起きてきたんだ!すごいじゃん」などと伝えるようにしましょう。
対応2.行動を始めたときに一番褒める
行動を始めたときに一番褒めましょう。
始めなくても「やろうとしたら」褒めていいのです。
やってはいけないことは、100%できたときにだけ褒めることです。
100%できたことを待っていると、最後までやり抜くことが難しいASDグレーの子どもでは、褒めるチャンスを逃してしまいます。
「わぁ!お風呂に入るんだ!」と行動を始めるときに、高めのテンションで驚いたり、喜んだり、OKサインなどを出してあげましょう。
対応3.できていない行動や困った行動は見て見ぬフリ
朝起きてこない、学校に行かない、癇癪を起こしているなど、できてない行動や困った行動はスルーします。
ママはイライラオーラを出さずにひたすら気づかないフリをして、普段どおり機嫌よく過ごしましょう。
そして、行動を始めたり、困った行動をやめたら、すかさず対応1です。
「着替えるんだね!」と始めた行動に注目してあげましょう。
息子はこの3つの対応で、激しい暴力が3ヶ月ほどで落ち着きました。
ニコニコとした笑顔のかわいい男の子になりました。

小学生の暴力が怖くて不安なお母さん、高学年からでもできる対応3つを実践してみませんか?
日常の声かけを整えることで、子どもは自信をもって行動できるようになり、暴力が次第に落ち着き、家庭に笑顔を取り戻すことができますよ。
執筆者:川上陽子
(Nicotto Project 発達科学コミュニケーションアンバサダー)


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