いい子ちゃん症候群とは、学校や家で大人の期待に応えようとがんばりすぎてしまう子どものことを指します。いい子ちゃんの頑張りすぎは『過剰適応』を起こしてしまうので注意が必要です。本記事ではいい子ちゃんの過剰適応を予防する親の対応方法についてご紹介します。
1.いい子ちゃん症候群って、ご存知ですか?
みなさんは、いい子ちゃん症候群という言葉をご存知ですか?
いい子ちゃん症候群とは、学校や家で大人の期待に応えようとがんばりすぎてしまう子どものことを指します。
✔️嫌なことを嫌だとはっきり言えない。
✔️大人の顔色をいつも伺っている。
✔️学校では優等生で、先生から『いい子』だと言われる。
✔️イヤイヤ期や反抗期がなかった。
✔️お利口さんとよく言われる。
✔️自分の意見をあまり表に出さない。
✔️自己決定ができない。
このようなことが当てはまるお子さんは、もしかしたら『いい子ちゃん症候群』の傾向があるかもしれません。
『いい子』であることは決して悪いことではありません。
しかし、お子さん自身が周りの期待に応えて『いい子』であらなければいけないと思い込み、過度にストレスがかかっているようであれば、それは大きな問題です。
いい子ちゃん症候群の子どもが、周りの大人の期待に応えることだけを目的に行動し続けると…
自分のやるべきことがわからなかったり、自分で責任をもって決めることができない大人に育ってしまいます。
また、思春期になり、自我が芽生え始めると、突然抑え込んでいた感情が爆発し、癇癪や暴言暴力、非行や不登校などの問題行動へと発展する場合もあります。

2.いい子ちゃんの過剰適応には気をつけて!
『いい子ちゃん症候群』の子どもは、常に自分が置かれた環境に適応するために、自分の考えや行動を相手に合わせてしまう傾向があります。
自分の行動や考え方を押し殺し、時には自分のキャパを超えてしまっても、周囲の期待に応えようと頑張りすぎてしまいます。
この自分の力以上に常に頑張りすぎてしまう状況を、心理学用語で『過剰適応』と言います。
過剰適応自体は病気ではありません。
ですが、メンタルの不調を起こしやすく、過剰適応の状態をそのままにしておくと、二次障害につながる可能性もあります。
過剰適応についての記事はこちら → こちら

3.突然学校に行けなくなってしまった『いい子ちゃん』
私の娘は、小学校1年生までは典型的な『いい子ちゃん』で、先生にも周りの友達からも
「〇〇ちゃんは本当にお利口ね!」
「学校では、みんなのリーダーでお手本です!」
「優しくて、みんなの人気者だね」
などといつも褒め言葉をかけられる子どもでした。
家庭でも、自分のことは何でも自分でやることができ、忙しい両親を常に気遣ってくれ、手がかかることは一切ありませんでした。
毎日、学校から帰ったら学童へ。勉強を済ませ、習い事に。
特に無理している様子もなかったので、「本人がしたいことを楽しくやってるからいいか」と特に気がけて様子を見ることもしてきませんでした。
そんな娘が変わり始めたのは、小学校1年生の夏休み明け。
初めは登校しぶりから始まり、ひどい登校拒否に悪化。そして、母子登校出ないと学校に行けなくなってしまいました。
学校に行くと血の気が引いたように、顔が真っ青になり、手は震え、これまでの娘とは別人のようになっていて、これは只事ではないと思いました。
学校の先生にお話を聞いても、何か理由となるようなことは見当たらず…
本人に聞いても「学校に行きたくない。保育園に戻りたい。」の一点張りで、原因がわからない状況が続きました。
そんな中、子ども専門の精神科を受診。そこで医師から『過剰適応』を指摘されました。
「お母さん、〇〇ちゃんは少しがんばりすぎて、疲れちゃったんでしょうね。少し心をゆっくり休める時間を作ってあげてください。」
一番近くにいる親である私が、なぜもっと早く気づいてあげなかったのか…。
小学校入学という大きな環境の変化の中で、周りに心配をかけないようにがんばりすぎていた娘の気持ちを考えると、心が本当に痛かったです。

4.がんばり屋さんの子どもを癒す親の対応方法
私の体験談のように
なかなか周囲の大人たちは、いい子ちゃんが『過剰適応』を起こしていることに気づいてあげられません。
なぜなら、常に「いい子」であるため、学校や家庭で問題行動がないことがほとんどのためです。
そのため、誰からも気づかれず、長い期間放置されてしまうと、結果、二次障害に発展してしまうことに。
ですので、お子さんが『いい子ちゃん症候群』になって過剰適応を起こしてしまう前の段階で、しっかりと心のケアをしてあげてほしいのです。
ここからは『いい子』の子どもだからこそ、実践してほしい親の対応法を3つご紹介します。
◆親の気持ちは一旦保留。子どもの気持ちをまずは受け入れる!
正直な自分の気持ちを言える雰囲気を家庭に作りましょう。
そのためには、親御さん自身が「こうあるべき」を少し手放す必要があります。
親の考えはまず保留。
お子さん自身がどう考えているかを伝えることができるように、ゆっくり時間をかけて、子どもの意見を引き出していきましょう。
「そっか。」
「そう思ったんだね。」
「話してくれて、ありがとう。」
子どもが気持ちを伝えることができたら、どんな思いでも、否定は絶対にせず、まずは受け入れてくださいね。
◆生活の中で子ども自身が選択する機会を作る
子どもは「親が思いを受け入れている」と感じると、安心して自分の意見を伝えることができるようになります。
どうしたらいいか迷っている様子があったら、ぜひ自分で選択して行動する機会を作ってあげてください。
そうすることで「自分の思いが尊重されている」と子どもは感じ、自信を持って行動ができるようになります。
「自分の行動には効果がある」と感じ、次の行動へと繋げていくことができるようになるのです。
◆いい子ちゃんの家庭のルールは、ある程度アバウトの方がいい!
親御さんが「こうあるべき」という考えを持っているご家庭の子どもは、いい子ちゃんになりやすい傾向があります。
なぜなら家庭にたくさんの「こうあるべき」なルールがあるからです。
だからこそ、いい子ちゃんにとっては、家庭でのルールはある程度アバウトなくらいが丁度いいと思います。
子どもは様々な経験を通して、自分なりの考えを構築していきます。
伸び盛りの子どもたちに親の「こうあるべき」を押し付けると、柔軟な意思決定や表現を育てていくことができません。
子どもが自分で必要なルールを学習していくためにも、親のルールの押し付けはNGです!
いい子ちゃん症候群の子どもが『過剰適応』を起こさないように!ご家庭では親御さんが心を癒す対応を心がけていきましょう。