新学期が始まり、毎朝「学校行きたくない」と動けなくなる…。そんな登校しぶりに悩んでいませんか?「行かせなきゃ」と焦るほど逆に動けなくなる理由があります。不安で止まっていた子どもが、自分で「行く」と決めて動き出せるようになった関わりを体験談をもとにお伝えします。
1.新学期、「学校行きたくない」と言って動けない朝が続いていた
新学期が始まって、数日、あるいは数週間。
朝起きたときから準備が進まず、やっと着替えたと思ったらリビングで座り込んで動けない。
「……学校行きたくない」
玄関までのたった数歩が、わが子にとっても、そして横で見守る私にとっても果てしなく遠く感じていました。
私はなんとか動かそうと、先に玄関で靴を履いて待ちながら
「大丈夫だよ。今日は楽しそうな授業があるよ」
「今日の給食はカレーだよ」
「お昼までだから、すぐだよ」
そうやって明るい声をかけていました。
しかし、子どもは下を向いたまま、玄関まで来ることができませんでした。
このまま不登校になってしまうんじゃないか…。
明日も、明後日も、ずっとこのままなんじゃないか…。
そんな不安と焦りで、私の胸はいつも押しつぶされそうになっていました。
当時の私は、「どうやって行かせるか」ばかりを考えていて、子どもがどうして動けないのかまでは、正直考えられていませんでした。
でも今ならわかります。
動けない子どもに本当に必要だったのは、無理に動かすことではなく、安心して“自分で動ける状態”をつくる関わりでした。
お母さんの関わり方が少し変わるだけで、今の苦しい流れは必ず変えていけます。

2.登校しぶりが続く中で、なんとか行かせようとしていたあの頃
最初のころ、私は遅刻させないように必死でした。
「早く!遅れちゃうよ!」と急かし、なんとか間に合わせる毎日。
そのときは、なんとか学校に間に合わせたい一心で、子どももギリギリになると重い腰を上げ、しぶしぶ学校へ向かっていました。
送り出したあとは、「やれやれ……」と崩れ落ちるように一息つく毎日。
しかし、一瞬の安堵のあとには、決まってどんよりとした不安が押し寄せます。
「このままで本当に大丈夫なのかな……」
それでも、
「行けたから大丈夫」
「そのうち慣れるだろう」
「1カ月もすれば落ち着くはず」
そう自分に言い聞かせて、深く考えないようにしていました。
まさか、このあと登校しぶりがどんどん強くなって、ついには玄関から一歩も出られなくなる日が来るなんて、そのときは想像もしていなかったんです。
この記事では、
- 新学期に「学校行きたくない」と言う子どもに何が起きているのか
- 登校しぶりが続いてしまう本当の理由
- そして、子どもが自分で動き出せるようになった関わり方
を私の体験をもとにお伝えします。

3.学校行きたくないが繰り返す本当の理由
■見えていなかったのは、子どもの気持ちだった
今振り返ると、あのときの私は、完全に「なんとか行かせること」に支配されていました。
とにかく遅刻しないように…、毎朝その場を乗り切ることに必死で、子どもがどんな気持ちで足を止めているのかまでは、正直、向き合う余裕がなかったんです。
私は、子どもの不安な気持ちにはほとんど目を向けられていませんでした。
気にしていたのは、刻一刻と進む時計の針ばかり。
「早く!早く!遅れちゃうよ!」
そうやって急かしても動けないわが子を前に、だんだんイライラが募り、
「なんで動かないの?」
「ちゃんと頑張ればできるでしょ」
と、心の中で責めてしまうこともありました。
「他の子と同じように、ちゃんと登校時間に間に合わせたい」
遅刻せずに行かせることが、子どものためだと信じていました。
しかし実際には、子どもの中では不安やしんどさがコップの縁ギリギリまで積み重なっていたのかもしれません。
■どうして「行きたくない」が続いてしまうのか
今ならわかります。
あのときの子どもは「頑張りが足りない」わけでも、「わがまま」を言っているわけでもありませんでした。
不安でいっぱいで、脳がフリーズしてしまい、動きたくても動けない状態だったんです。
新しいクラス、初めての先生、まだ距離感のつかめない友だち…。
大人から見れば「少しずつ慣れていくもの」であっても、繊細なタイプの子どもにとっては、毎日が緊張の連続です。
頭では「行かなきゃ、遅れちゃう」とわかっていても、体が石のように重くてついていかない。
それなのに、私から「早くして!」「遅れるよ!」と追い討ちをかけられ、「なんでできないの?」と『できる前提』で見られてしまう。
「新しい環境が不安なのは、みんな同じだよ」
「大丈夫、大丈夫。気にしすぎだよ~」
私が励ますつもりで言った言葉さえ、息子にとっては「自分のしんどさを否定された」と感じてしまっていたのです。
子どもによって、不安の感じ方も受け取り方も全然違います。
同じ「新学期」でも、軽く受け流せる子もいれば、一歩進むだけで体力を使い果たす子もいる。
息子はその後者のタイプだったのに、私はそれに気づかず、平均的な「普通」を押し付けてしまっていました。

4.不安で動けない子に、私が最初にやったこと
私が最初に取り組んだのは、 「どうして行きたくないの?」と理由を問い詰めることではなく、「子どもの気持ちを代わりに言葉にしてあげること」でした。
不安でいっぱいのときは、子ども自身も「なぜ嫌なのか」をうまく説明できません。
モヤモヤした塊が胸にあるだけなんです。
だから、ただ「どうしたの?」と聞くのではなく、選べる形で気持ちを差し出すようにしました。
たとえば、
「新しいクラス、ちょっと疲れちゃうかな?」
「先生が代わって、まだ話しづらい感じがする?」
「朝、体がだるくて『重いな〜』ってなっちゃう感じ?」
こんなふうに、子どもが感じていそうな気持ちをそっと置いていくイメージです。
すると子どもは「うん、それ」「それもあるけど、こっちかな」と、少しずつ自分の気持ちを確認するように話し始めました。
大事なのは、正解を当てることではありません。
「ママは、あなたのしんどさをわかろうとしているよ」というメッセージが伝わること。
たとえ予想が外れてもいいんです。
「じゃあ、どんな感じかな?」と寄り添い続けることで、子どもは「ここは安全なんだ」と安心して、心のシャッターを少しずつ開けてくれます。

5.「行かされる」から「自分で行く」へ
息子の場合は、そうやって少しでも気持ちを吐き出せると、一瞬ふっと黙って何かを考えるような深い表情を見せることがありました。
そして、ぼそっと一言。
「……よし。行く!」
自分で決めて、動き出すことが多くありました。
それまでは、私に「行きなさい」と言われて、無理やり体を動かされていた。
けれど、気持ちを分かってもらえたという安心感を得て、すっと体から力が抜けて動き出せる。
きっと、あの時間はただ気持ちを吐き出していたのではなく、子ども自身が「どうするか」を選び直していた時間だったのだと思います。
「行かされる」状態では動けなくても、「自分で選んだ」と感じられたとき、子どもは自分の力で一歩を踏み出すエネルギーを取り戻します。
以前の私は「どうやって行かせるか」ばかり考えていました。
でも本当に必要だったのは、“動かすこと”ではなく、“安心して動ける心の土台を整えること”だったんです。
新学期特有の緊張感が続く今の時期。
まずは今日、学校に行けたかどうかの結果は一旦横に置いてみませんか?
お子さんの気持ちを「〜な感じかな?」と優しく代弁してあげてください。
その小さな安心の積み重ねが、お子さんの「自分で歩き出す力」を育んでいくはずです。

毎日の行きしぶりに、
どう対応すればいいのか悩んでいるママへ。
関わり方を変えることで、
朝の流れや子どもの反応が少しずつ変わっていくことがあります。
子どもが安心して動き出すための
「4つのステップ」を1冊にまとめました。
執筆者:いたがき ひまり
発達科学コミュニケーション マスタートレーナー





