ちょっと注意しただけで、すぐ泣く繊細な子ども。「甘やかしてるからだ」「怒られたことがないのでは?」など、親の子育てが間違っているかのような言葉を投げかけられるようなこともあるかもしれませんね。繊細な子どもの涙の理由は育て方が悪いわけではありません。
1.繊細な子どもの中には、ちょっと注意されただけですぐ泣く子も
ちょっと注意しただけで泣く。
そんな子どもの姿に、泣き虫だなぁ、メンタル弱すぎだなぁと心配になるお母さんも多いのではないでしょうか。
また、子どもがすぐ泣くので、周りから「甘やかしすぎなんじゃない?」「怒られ慣れてないんじゃない?」など、育て方が悪いというような言葉を投げかけられて、もっと怒らないといけないのかな?と自信を無くしていませんか?
2.脳の仕業
繊細な子どもの脳の特性として、扁桃体が過剰に働くことが分かっています。
それはいわば、危険なものから身を守るというセンサーです。
繊細な子どもは、この脳の働き、センサーによって、受け取る力がとても強くなります。
この受け取る力は、例えば5叱ったことが、10叱られたように感じ、とても悪いことをしたと思い、自分を責める傾向にあります。
また、ちょっとした変化に気付くことに長けているので、言葉そのものだけでなく、叱った人の表情、声色、ジェスチャーなど、相手から発せられる負の怒りモードをフルでキャッチできてしまうのです。
このように受け取る力が強いため、日ごろからいろんなことを我慢して頑張っている傾向にあり、本人も気付かないところでストレスが溜まった状態になっています。
それが、ちょっと注意された瞬間、自分には自分なりの理由があるのですが、それを言葉にして伝えようとすればするほど、身を守るセンサーが働き、感情が一気にあふれ、言葉より先に涙がこぼれてしまうのです。
3.私の息子も、涙が先に出るタイプ
私の息子も、自分はすぐ怒るのに、怒られると涙がでるタイプ。
パパから「ハムスターのお世話を自分でするからって、飼ったんだよね?お掃除してあげて」と言われただけで、涙が。
落ち着いてから聞いてみると「今やろうと思ってた」「怒らなくてもいいのに」そんな言葉を伝えたかったと。
でも、涙があふれて言えなくなっていました。
パパとしても、そんなに怒ったつもりはない。
それなのに、泣いてしまう。
息子は、「これくらいで泣かなくていい。」「泣くくらいだったら、さっさとしなさい」と、
パパに言われ、本来のハムスターのお世話のことではなく、泣いたこと自体を怒られてしまう結果に。
4.早めに対応しないと自己肯定感が下がってしまう
このようなことが続くと、怒られたと感じることが多くなり、自己肯定感が下がってしまいます。
すぐに涙がこぼれてしまうくらい繊細な子どもが、怒られたからといって涙を我慢することはできません。
特に、幼少期は自己肯定感が育つ大切な時期です。
その時期に、怒られ体験が増えると、癇癪や暴言、暴力など二次障害と言われる困りごとが増えていきます。
そして、年齢が上がるにつれて、うつ症状が表れるとも言われています。
5.日ごろから、気持ちを吐き出させよう
繊細な子どもが、怒られることに慣れることはありません。
だから、怒っても泣かないようにはなりません。
怒られないように、顔色を伺って行動するようになるだけです。
泣いてしまうのは、自分を守ろうと脳が働いているから。
泣きながらしか伝えられない気持ちが、あふれているはずです。
私は息子の涙が出たときは「泣きたいくらい悔しかったんだよね」「そんなこと思ってないのに注意されたから涙が出ちゃったんだよね」と、気持ちを代弁するような言葉で声を掛けました。
すると、息子は、こぼれそうになる涙をぐっと我慢して、感情のコントロールができるようになってきました。
ゆっくりとしたトーンで、優しい笑顔で、繊細な子どもの気持ちを受け止めてあげてくださいね。
そして、普段から、人一倍頑張っている繊細な子どもの気持ちを吐き出させてあげましょう。
我慢タンクが溜まらなければ、涙より先に言葉で伝えられるようになっていきますよ。
執筆者:
発達科学コミュニケーション トレーナー
増満咲奈