「同じ道しか通らない」「一番じゃなきゃダメ」このようなお子さんのこだわりに悩んでいませんか?無理に変えようとすると、かえって強まることもあります。本記事では、こだわりを和らげるカギとなる対処法について詳しくお伝えします。
1.「うちの子こだわりが強いな」と感じたことはありませんか?
「エレベーターのボタンを自分が押したい」
「決まった道順しか通らない」
「同じ服ばかり着たがる」
こんな行動に心当たりはありませんか?
それが叶わないとパニックを起こして大泣きしたり、怒ってしまったりすることもありますよね。
親としては「ちょっとくらい譲ってほしいな」「臨機応変に対応できるようになってほしい」と思うもの。
それなのに、子どもが頑なに自分の思いを通そうとする姿を見ると、ついイライラしてしまうこともあるでしょう。
私の息子もまさにそうでした。
特に困っていたのは「エレベーターのボタンを押したがる」こと。
家族だけなら譲ることもできますが、公共の場ではそうはいきません。
ほかの人に先にボタンを押されると、「ボクが押したかったのに!」と泣き叫び、なだめるのに一苦労。
時には私に暴力を振るいながら泣き続けることもありました。
そのたびに「どうしたらいいの?」と悩み、「どうしてうちの子だけこんなに大変なの…」と落ち込んでいました。
ですが、「こだわりには理由がある」ことを知り、対応を変えてみたら、少しずつ落ち着いてきたのです。

2.「こだわり」が生まれるワケ
マイルールのような多少のこだわりは私たち大人にもあるものですが、それが強く出ているのは「変えることのできないこだわり」があるためです。
特に不安の強いASDグレーゾーンの子どもにとって、「いつも同じ」が安心するのです。
「変えることのできないこだわり」の背景にある3つの特徴をお伝えします。
①ルールを作ることで安心する
大人でも「朝はコーヒーを飲む」「右足から靴を履く」などの習慣がありますよね。
それと同じように、こだわりの強い子どもは、自分の中でルールを作ることで安心感を得ています。
「ボタンを押すこと」や「決まった道を通ること」は、子どもにとってのルーティン。
これを守ることで、不安を減らし、心を落ち着かせているのです。
②予測不能なことが苦手
こだわりが強い子は、変化や予測できない出来事に対してストレスを感じやすい傾向があります。
「いつもと違う道」「違う順番」「違う服」が受け入れにくいのも、心の準備ができていないからなのです。
③ 否定されると逆効果
親が「そんなの気にしないで!」「いい加減にしなさい!」と言えば言うほど、子どもは余計にそのこだわりに固執してしまうことがあります。
なぜなら、安心のためにやっていることを否定されると、不安が増してしまうからです。
このように、安心感を得るためにマイルールを作り、それにのっとって同じ行動を繰り返すことが「こだわり」となって現れています。
ですので、そのルールが崩されてしまうと強い不安を感じ、気が気ではありません。
私たちから見たら、小さいことのように思えるかもしれませんが、本人にとっては一大事なのです。
それでは、こだわりの強い子どもにどう対処していくのがいいのでしょうか?

3.こだわりが強い子どもには「見守る」ことがいちばん大事!
こだわりが強い子に対して、多くのママが「このままで大丈夫なの?」「いつか困らない?」と不安を感じるかもしれません。
でも、先に述べたように無理に直そうとしたり、「なんでそんなにこだわるの?」と指摘したりすると、かえってこだわりが強くなってしまうこともあります。
実は、こだわりを減らすいちばんの方法は 「見守る」こと。
見守ることで、子どもは自分のペースで少しずつ柔軟になり、自らこだわりを手放せるようになっていきます。
「見守る」と聞くと、「ただ放っておくこと?」と思うかもしれません。
でも、見守るとは 「子どもが安心できる環境を作りながら、そっと支えること」 です。
たとえば、エレベーターのボタンを押したがる子どもに対して、
NG例:「毎回ダメと言う」
「今日は押しちゃダメ」「みんなで順番にしよう」と言い続けると、子どもは「押さなきゃ気が済まない!」とますますこだわるようになりがち。
OK例:「押せるときは押させる」
「押したいんだね」と共感しつつ、タイミングを見て押させると、子どもは満足し、少しずつ他の状況にも適応できるようになります。
このように、子どもの気持ちを尊重しながら、無理にこだわりを否定せず、できるだけ希望を叶えてあげるのが「見守る」ことのポイントです。

4.見守ることで変わった息子
私自身、「見守る」ことを意識してから、息子のこだわりが少しずつ柔軟になってきました。
以前は 「エレベーターボタンを押したい!」と大騒ぎしていた 息子も、「押せないときはしょうがないか」と少しずつ受け入れられるようになってきたのです。
また、「同じ道を通りたい」「1番がいい」といったこだわりも、 親が変えようとしなかったことで、本人の中で「今日は違うのもアリかも」と思えるようになったのかもしれません。
見守るだけで、子どもは自分のペースで変わっていくんだなと実感しました。
こだわりの強い子どもに向き合うのは、親にとっても負担が大きいものです。
「これで大丈夫?」と不安になりますが、 焦らずじっくり見守ることを意識すると、ママの心も少しラクになります。
「こだわりが強くて困る」と思ったとき、まずは 「見守る」ことを意識してみましょう。
これだけで、 子どもは自分のペースで成長し、少しずつこだわりを手放していくことができます。
あなたのお子さんにも、きっと変化が訪れると思いますよ!

執筆者: 渡辺 さくら
発達科学コミュニケーション アンバサダー